婦人科便り200 更年期治療はどこで相談するか問題 | 婦人科備忘録

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ある婦人科医の独り言です

ネタ提供ウェルカムですが
最近ご質問内容が
すでに記事になっていることが多くなってきました。
お手数ですが、まずはブログ内をご検索ください。

ネタ提供ありがとうございます。

 

更年期治療は割と侮られがちで

裏を返せば若い連中は勉強しとらんなー

と感じている今日この頃。

ムズカシイお産に取り組んだり

がんと闘ったりする方が

かっこいいじゃん?

よってそちらに若人は群がりがち。

更年期治療の奥深さが分かるのは

実際に自分もお世話になってからのような気がする。

 

そこへマダムの血を吐くようなお尋ね来た。

 

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Q.

去年の秋に、子宮筋腫による大量出血が止まらずに、

子宮(卵巣片方)を全摘しました。
術後、リュープリン接種時よりも

ホットフラッシュや関節痛の痛みが酷くなり
検診のときに主治医

(30代後半 男性医師)に相談してみると、
ホルモン補充療法はやめ時が難しいですよ。

と、あまりオススメしない雰囲気で
とりあえず、エクエルを飲んでみてと言われ、

3か月飲んでみました。
が、汗は微妙に軽くなった気はしますが、

手や膝などの痛みはどんどんつらくなり
ホルモン補充でマシになるなら

治療を受けてみたいと思うも、
私の通う総合病院は、

地域でも婦人科の手術件数の多い病院で、

更年期の治療なんぞをお願いしてもよいものか?

と迷っています。

 

A.

そりゃ30代の男子に更年期の辛さわかれ、

というのが無理な話。

私たちが

彼らの

朝、勃起が続いてどうしようもない。

っていうお悩みを

絶対に理解できないのと同意義。

わかるマダム、一歩前へ。

・・・すごい。結構おる(テキトーに嘘)。

 

まあ、近隣のやさしーいおじーちゃん医か

自らも久光・エストラーナのお世話になっている

マダム女医を探すしかない。

そっちの方がマダムに同情的だし

親身になって治療すること請け合い。

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かつてワタクシめも大学病院に

いやいやながら勤めていたが

なかなかどうして、

更年期治療はすみ~っこの方で

細々・・・という感じであった。

地方の基幹病院なんかだと、

ほぼほぼ野戦病院みたいなもので

更年期?そこ黙って廊下に立っとれ!

みたいな扱いを受けると思われる。いつのがっこう

ドラマティックではないし、

ほぼ治療としては確立しているようだし

研究はしつくされた後でいわば出汁がら。

もう一回水につけてももうなんも出んので

誰も見向きもしない感、ある。

 

駄菓子菓子

 

実は更年期治療、わりとどころか相当難しいんである。

30代男子がほざいたように

いつやめるのか問題は常に付きまとうし

50代から60代の主力選手、ま~不平不満多いよねー涙

そして外来で話、なが!

ご近所トラブルから日本国の経済事情まで

話題が尽きず、わたしゃ勉強になるので好きだが

忙しい病院だと一人一人を満足させるほど

話はできまい。

 

更年期治療とは

井戸端会議的会話術が

要求される、そんな領域。

 

つっこむべきところは即座につっこみ

スルーすべきところは華麗にスルー。

そんな人間力の限界を試される更年期外来

若いセンセたちにはちょー不人気。っつーか若人には手に負えまい。

やはり、以前から口を酸っぱくして

申し述べておるように医者は用途別に使い分ける、それしかない。

そして世界最大最強のデータベース、主婦の口コミにお尋ねせよ。

たいてい、地域のおばちゃんたちは

心の中にマイ産婦人科を持っているはず。

無事、ホルモン療法が始まった暁には

塩豆大福など情報提供者に上納するようお勧めする。

おじぞうさんと地域のおばちゃんたちには

やはり甘いものが良いかと存じますです、ハイ。