閑話休題:結局のことろ(医療関係者向け) | 婦人科備忘録

婦人科備忘録

ある婦人科医の独り言です

ネタ提供ウェルカムですが
最近ご質問内容が
すでに記事になっていることが多くなってきました。
お手数ですが、まずはブログ内をご検索ください。

全国のマダムより

担当医からひどい目にあった!

的なタレコミが続いている。

 

機嫌が悪かったに始まり

話を聞いてもらえなかった

説明がなかった

馬鹿にされた

卑猥なことを言われた・された(これは犯罪なのでは)

怒鳴られた

などなど・・・

ドクターの暴挙の例にいとまがない。

 

結局のところ、

医者がー

患者が―

マダムがー

ということより

人間なのでは?Byまるぽこ。

これに尽きる、と睨んでいる。

 

人は

人と人との間があるからこそ

「人間になる」のであって

「間」が抜けたら

間抜けなんだYO

おい聞いてるか野郎ども。

 

かつて大学で指導医をしていた時

鵜飼よろしく何匹かのレジデントたちの紐を握っていたのであるが

とにかくコミュニケーションの取り方がまずい子がいて

マダムたちとのトラブルが絶えず

私の胃袋がどうにかなりそうであった。

 

頭は抜群に切れる、シャープな子であったため

彼がひとたび彼に向けられた言葉に反発しようもんなら

100万倍くらいにして返すので

号泣かつ激怒したマダムらが

「担当医を替えてください!」言うので

指導医であったにも関わらず、担当医が増えに増え

激務がさらに激務になりストレスが半端なかった。

 

彼は彼で

「あの患者がひどいことを言うから」と憤激していたが

(そして悪びれない)

彼がうっかり忘れているのは

 

相手は重病人なんだよ!

 

という点。

ありていに言えば、

重病人とは普通の精神状態ではない人なのである。

話をよく聞けば、患者さん側も

かなり無茶を言っていた。

彼のことを

「所詮レジデント」などと侮っているがゆえに

不埒かつ不遜な言葉を彼に放ってしまい、

それがもともとの原因だった。

同業者として深く同情する。

 

ただ忘れてはならないのは

人は満たされ、幸せだと思っているとき

相手を攻撃したりはしないということなのだ。

具体的に言えば、

健康な体でなんの心配もなく

ハワイにファーストクラスで運ばれ

酒池肉林、飲めや歌えの大騒ぎにご招待されれば

全員、きっとご機嫌になれる。

それが叶わないからこその失礼千万、傲岸不遜なので

そこらへんはプロとして

言ってはならない言葉

してはならない行為

をわきまえるのも

給料の中にコミコミと心得ねばならない。

 

私も偉そうにこんなことを

こんなところでつらつら書いているが

あまりの理不尽やわがままに頭に血が上り

患者さんとカルテを投げつけあって

喧嘩したこともある。白状

いやなに、こぶしとこぶしで分かりあう、的な

暴力が医者・患者関係にあってはならないが

医療機関が単純に営利団体である限り

ある種の軋轢はうまいこと

人間力を発揮し落としどころを探るしかないので

むやみやたらに腹を立てず

落ち着いて人の話を聞こう?→自分。


くだんの彼は結局のところ

人間関係に疲れ、

うちの医局を辞め一人上京して行った。

人間が人間である限り

コミュニケーションは取り続けねばならず

彼の周囲が暴言と失礼ではなく

思いやりと労り、そして気遣いに溢れるよう

日本列島の端っこから祈っておこうと思います。