婦人科便り 術後検診って何のためにするんですかね?② | 婦人科備忘録

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ある婦人科医の独り言です

ネタ提供ウェルカムですが
最近ご質問内容が
すでに記事になっていることが多くなってきました。
お手数ですが、まずはブログ内をご検索ください。

入院中にしつこく採血されると思うが

これはひとえに

出血により貧血になってないか?

細菌感染により炎症反応が高くなってないか?

場合によって

腎機能が悪くなってないか?

などを震えながら見ている。

 

卵巣嚢腫の手術なんかでは

ぶっちゃけ、臓器損傷などの大きな合併症は

夢にも思っておらんので貧血チェックだけでよいが

子宮摘出ともなると常に尿管さまには気を配っている。

一般的に、尿管さまを知らずに

結紮や切断をしてしまった場合

術後5~7日でクレアチニンという数値が爆上がりする。

たまに、もともと術前から腎臓の機能が

ほんとはあんまりよくないマダムも一定数おられる。

そういったマダムが手術のストレスで

同じ現象を起こしていることもあって

これまた実に悩ましく、

主治医の心拍数もせわしない。

 

そういった術直後のもろもろが

すべて合格レベルに達すると

晴れて退院許可が下りる。

 

そのあとはたいてい2~4週間後に

顕微鏡検査の結果のお知らせとともに

術後検診が設定される。

病院によってはここでフォロー終了。

忙しいので二度と来るな言われる。

 

ところでよくあるご質問に

「いつから仕事いいですか~」がある。

忙しいマダムはすぐに職場復帰しようとするが

その実、分刻みで動くアメリカ大統領以外は

いてもいなくても世界は変わらない。

日本の首相くらいだったら

一時的にはご本人でなくても

治安に問題は生じない。(・・と私は思っている)

その点を十分ご理解いただき、

「わたくしがいなくては」

などと間違っても思いこまないことだ。

だいたい主治医は術後検診まで

マダムが自宅で養生していると思い込んでおり

「すでに職場復帰しております」

とか言うと心底驚いちゃうので

おとなしく自宅で花でも生けててほしい。

 

たまには花でも愛でようではないか。

 

ちなみに私はしつこい女なので

子宮摘出と筋腫核出のマダムについては

術6か月くらいまでは自分で創を点検する。

思うにどうも、しつこいなあ・・・元気やし!

と思われているフシもあり

半年後ともなると、予約を忘れているマダムもいる。

まあ、なんでも忘れている、

というのが一番元気で健やかに違いない。

なんかあったら見せに来るやろ、

と放置プレイにしているが

半年後によう頑張りましたな、卒業でっせ言うのを

ちょっと楽しみにしているので

お暇だったらぜひ寄ってもらいたいもんである。

 

んで、可能であれば元気になりました、

手術がとっても上手でしたと言ってもらえたら

明日への活力になろうというもの。

誉め言葉と笑顔は無料。

お金かからないボランティア。

そこんとこ、よろしく頼む。