婦人科便り 術後検診って何のためにするんですかね?① | 婦人科備忘録

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ある婦人科医の独り言です

ネタ提供ウェルカムですが
最近ご質問内容が
すでに記事になっていることが多くなってきました。
お手数ですが、まずはブログ内をご検索ください。

待っていたが新鮮なネタが来ないため

こういうときお寿司屋さんは

どうしているんだろう、と思いを馳せつつ

自力でネタを抽出しています。

現時点でしけの後の魚屋さんのような状態。

よーするになんもない。

 

うんうん唸っておりましたが

 

そういえば

術前検査の意味については先日上梓したが

術後に何を診察しているんだ?ってのは

書いたことなかった♡てへ

と先ほど思いついたため

やおらキーボードを叩いています拝

 

手術というのは所詮「けが」に過ぎないので

結局のところ、どんな名医やブラックジャックでも

患者さんの自力の免疫力・治癒力がないと治らない。

こちらも心を込めて手術はしているものの

ことケガの治り具合は患者さんの底力に頼るほかなく

人事を尽くして天命を待つとはこのことで

この創、なおりますよーにー

と一所懸命お祈りする時間がもどかしい。

秒で治ってほしいがそうもいかないよね

人間だものbyみつを。

 

そんなマダムの術後診察はポイントがいくつかあって

① 血がちゃんと止まっているか?

② ばい菌が入ってないか?

③ 創がきちんと閉じられているか?

④ 手術による新たな不具合はないか?

に、大まかに分けられる。

 

血が止まらないことには手術がそもそも終われないが

「しみだす」血液というのは完璧には抑えられない。

包丁で手を切ったことを思い出してほしい。

絆創膏で押さえても、一日二日は

ちっと血がにじむでしょうが?

そんな状況がマダムの腹の中で

そこここに起こっているのだと考えてほしい。

緻密に縫えばええやん、と簡単に言いますが、

あんまり傷をきつきつに縫ったら血の流れが悪くなって

かえって創のつきは悪くなる。

よってふんわり、ちょうどよく、が大事なんである。

たいていの創は2~3日で線維芽細胞という

人間界で言うなら

手練れの大工さんみたいな細胞が寄ってきて

修復してくれていると信じる。がんばれ!

 

ただ、特に腹腔鏡手術だと

お腹の中に二酸化炭素を入れて、

だいたい8~10mmHgくらいの圧で

保って手術をしているため

小さい血管からの出血だと

それだけで抑え込まれている。

術後、気腹圧がストップしたことでそれが息を吹き返し

出なくていい血液が創の周りに

溜まることがときど~き、ある。

これがマダム、あなたが主治医から聞いた

「血腫」の正体。

術後のエコー検査は、80%くらいが

この血腫ができてないかどうか、

を一所懸命見ているんである。

どんどんサイズが大きくなるようだと

つまり出血が止まっていない!

という重大案件であるからして

再手術もあり得る、

まじでしゃれにならない事態なのであります。

術後、たぶん退院前くらいに

主治医が診察しましょ~と誘われると思うが

その大いなる目的はこれができてないかどうか。

もしできていてもサイズが

あまりでかくなく症状もなさそうなら

そのうち3~6か月でマダムの栄養となっていくので

また外来に来てね、と退院許可が出ると思う。

 

マダムにできること

それは早寝早起きあさごはん、たまにストレッチだ。

術前から術後にかけて

体調を整え、無理をせず

歯を磨き、顔に化粧水を塗り

ストレスをためず、笑顔でいること

これが術後経過良好!の秘訣であるため、

記載しておきます。