婦人科便り169 子宮頸がん検診①  | 婦人科備忘録

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ある婦人科医の独り言です

ネタ提供ウェルカムですが
最近ご質問内容が
すでに記事になっていることが多くなってきました。
お手数ですが、まずはブログ内をご検索ください。

ネタ提供ありがとうございます。

 

子宮頸がん検診についてお尋ねが

多数寄せられております。

 

婦人科で健診するならともかくとして

健診センターなんかだと

結果の詳しい解説とかしない印象なんで

まとめて解説しておきますね。

 

子宮頸がん検診は、子宮の入り口の細胞を

綿棒もしくはブラシで擦って採取

ガラスの板(プレパラート)に塗り付け

パパニコロウ染色、という

特殊な染色方法で染め染めして

「資格を持った人間」が顕微鏡で見て診断しています。

 

ひと昔前までは、判定は

クラス分類で、Ⅰ~Ⅴまで5段階に振り分けていました。

・・・んが、資格を持った人間というのも所詮人間

迷うこともあれば間違うこともある。

そこで分類を新しく見直したのが

ベセスダ分類、という

資格を持った人間の迷いを吸収すべく

立ち上げられた分類が作られました。

 

ベセスダ分類では、大まかに4段階に分けています。

①NILM:Negative for Intraepithlial Lesion or Malignancy

②LSIL:Low Squamous intraepithlial Lesion

③HSIL: High Squamous intraepithlial Lesion

④SCC : Squamous Cell Carcinoma

 

ギョーカイで

LSILはエルシル、HSILはハイシル言います。

そこらへんはどうでもいい。試験には出ない。

①は大丈夫、また来年健診に来てね

②は軽度の異常(軽度異形成)の可能性、精密検査へ

③は中等度から重度の異常(中等度~高度異形成もしくは上皮内がん)の可能性

 精密検査、下手したら治療

④は誰が見てもがん、さっさと病院へ行け

の、意味です。

 

それに加えて、

 

⑤ASC-US: Atypical squamous cells of undetermined significance 

通称:アスカス

⑥ASC-H: Atypical squamous cells, cannot exclude high-grade Squamous intraepithlial Lesion

通称:アスクエイチ

 

は、それぞれ

 

⑤ようわからんけど、軽度の異常があるかもしれない。

 でも気のせいかもしれない

⑥ようわからんけど、中等度以上の異常があるかもしれない。

 でも気のせいかもしれない

 

の解釈です。

 

つまり、人間の「自信はないけど、気になる」というのを

検査に反映させることができる分類なんですね

→ベセスダ分類。

人間の「胸騒ぎ」は

現代の科学技術では解明できていないが

このギョーカイ、

数々の「根拠のない胸騒ぎ」を無視しなかったことで

危険を回避し、事なきを得た経験が

長いお勤め中、幾度となくあるはず。

少なくとも私にはある。

外れもあるけどNE♡

 

また、子宮頸がんは95%くらいが

扁平上皮がんでして

つまり組織の一番表層に

がんが発生する傾向にあるのですが

残り5%くらいに腺の部分に

がんができることがあり

こちらの扁平上皮ではなく、

腺の部分に異常があるかもよ、ってのが

 

⑦AGC:atypical gandular cells

 

と表記されます。

ただ、子宮頸部と子宮体部は国境を接していますので

子宮体部から細胞がこぼれてきただけなのか

それとも子宮頸部の細胞そのものなのかは

さらなる検索が必要です。

 

これでがん検診の結果が

解説されずともわかるはず。

アルファベットを確認し、どれだったか見てみそ。

 

長くなるので次回に続きます。