婦人科便り163 医療費削減!を意識していますか | 婦人科備忘録

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ある婦人科医の独り言です

ネタ提供ウェルカムですが
最近ご質問内容が
すでに記事になっていることが多くなってきました。
お手数ですが、まずはブログ内をご検索ください。

ネタ提供ありがとうございます。

 

この国の政治の闇に一歩踏み込んだお題を頂戴した。

 

Q. 病院の先生方は、医療費削減についてどの様に指導されているのでしょうか?

     又は、ご自身で意識している事などがあるのでしょうか?

 

厚生労働省の関係者?とか勘ぐっちゃったが

どうやら違うので安心してお答え。

 

私たちの学生時代もまっっっったく

医療費の削減とか保険診療とかの授業はなかったが

うちのコムスメ(医学部6年生)に先ほど確認したら

最近でもまっっっっっったくそんな学びはないらしい。

基本的には医者になってから押し寄せてくるしがらみの一つと思われます。

ぶチョーになってからはこればっっかり考えてるYO!

 

医師になるにはまず毎年2月にある医師国家試験に合格する必要があるが

その後、病院で勤務し、保険制度の範囲で診療するにあたり

都道府県に申請して「保険医」に登録することが必須です。

この登録が受諾されて初めて、

健康保険で診療が可能になるんだYO!びっくり

いやまあ、全部自費で診療すれば医師免許だけで十分なんですが

安価で優良な医療が保険の範囲内で提供されているのに

わざわざ自費診療で!と言い張る人は皆無なので

みんな大好き保険診療を行うべく、

ほぼ、100%保険医を申請すると思われます。

 

私自身は病院は水道や電気・ガスと共に

インフラたるべし、と思っておりますが

そうは言っても霞を食らって生きてはいけないので

ほとんど全ての病院は営利団体。

つまり、ボランティアではないため、

ある程度の利益は上げないといけません。

手術や麻酔、その他診療にかかるお金は

保険制度に則ってそのお値段が決められており

患者さんから1〜3割(年齢や加入している保険団体で割合が異なる)

残りを保険団体からいただいておるわけです。

 

で、驚くなかれ、使う道具や機械、糸、絆創膏、管や薬に至るまで

保険の範囲が決まっており、それを超えると病院が自腹を切ってるんだ YO!

このご質問をお寄せくださったマダムは

驚くほど軟膏を処方してくれる医者がいる、と情報を寄せてくださっているが

多分、おじじやない?昔は保険もザルだったと聞く。

無茶苦茶な処方の仕方などすると、「査定」と言う名の値切りが待ち受けており

「それ、そんなに出したらあきまへん。お金返しなはれ」と

保険団体から病院に通達され、身包み剥がされます。

患者さんにも請求が行きます(基本的に)

言うこと聞かんかったら「保険医資格抹消」の憂き目に遭い

患者さんを保険制度で診療できなくなるため

その医者が行う外来、入院費、手術、処置は全て自費になる。

まあ、そうなると患者さんも「ほな、他行こか」になるでしょうから

文字通り、「仕事がなくなります」。ホラー

 

若い頃はちいとも気をつけずに

湯水のように糸使ったりええ道具を使ったりしておりましたが

私が使っているそのお金は健康な方が納めている保険料から

支払われるわけで、いわば、他人のお財布を任されているようなもの。

これに気がついてからは爪に火を灯すような節約を心がけ

できるだけお金がかからず、しかも安全で満足がいくレベルを保つ

という、まるでシルク・ド・ソレイユみたいな手術を心がけております。泣

いつか、お金に糸目をかけずに

バンバンええ道具を思いっきり使う手術をしてみたいですーそんな日来るのかなー泣

みんなも他の人のお財布借りてると思って

軟膏もう一個くれへん?てわがまま言わんよ。

軟膏くらい薬局で買い。

 

ところで、お気づきな方もいらっしゃると思うが

最近、お上がさらにギョーカイに締め付けをしてきておりやして。

 

どうも個人のクリニックをかかりつけにし

総合病院はそこからの紹介を受けるというシステムにしたいのか

総合病院での初診、再診料金を一斉に値上げ。

気軽に大病院には受診できない方向へ

どんどん制度が変わってきてるので

気軽に術後の患者さんの「経過観察♡」ができなくなりつつある。

うちの病院はかろうじて再診料の値上げをしない病院(規模が小さいので)なのですが

異動元の病院は3ヶ月の再診ごとに420円から3500円になった。一大事

ピルだけ貰うのに処方箋切ってもらったら自動的にプラス3500円ってどうよ?酷くない?

1年に4回受診すると仮定すると

14000円の出費増。ファミリー焼肉一回分と考えると恐ろしい金額である。

 

みんな政治家の動向にはお気をつけあそばせ。

賄賂がどうの、政治献金がどうのと目眩しされている隙に

大事な政策が誰からも咎められたり検証されたりすることなく

バンバン決まっておりますことよー

清き一票はか弱いが、その与えられた権利すら放棄するのではなく

諦めず名前を書きに行くことを切に希望する。

病気になった時くらいお金の心配をせずに

心豊かに治療に専念できるよう、医療機関をぜひ、

インフラとして整備して欲しいものです。

 

誰か立候補して偉くなって。頼む。