スーパーで買い物をしたあと、レシートを見る。

そこには商品の値段とともに、消費税の額が書かれています。

 

もし食料品の消費税率が8%から1%になったら、この数字は当然小さくなります。では、私たちがレジで支払う金額も、本当に同じだけ下がるのでしょうか。

 

金曜日から始める「日本経済を考える」シリーズ。第1回は、この身近な疑問から考えてみたいと思います。

「8%から1%」と聞くと

現在、スーパーなどで買う飲食料品には、原則として8%の税率が適用されています。政府はこれを2年間、1%に引き下げる案を示しています。ただ、2026年9月時点では、まだ法律として成立していません。

 

毎日の食費が少しでも軽くなるなら、ありがたいことですよね。私も、家計の負担を減らすことには大賛成です。

 

たとえば税抜き100円の食品が、税抜き100円のままだとしましょう。税込み価格は108円から101円になります。

 

これを見ると、「税率が下がれば、値段もその分下がる」と思うかもしれません。

しかし、この計算には一つの前提があります。

 

税抜きの販売価格が変わらないことです。

値段を決めるのは誰か

商品の価格を決めるのは、国ではなく、販売する事業者です。

 

店は仕入れ値、運送費、光熱費、人件費、周りの店の価格、お客さんの買い方などを見ながら、値段を決めています。

 

税率が1%になれば、レシートに表示される税率も変わります。

 

けれども、仕入れ値や光熱費が上がっていれば、店頭の税込み価格を同じ幅だけ下げられるとは限りません。

 

税込み108円の商品が、税率変更後も108円で売られることもあり得ます。その場合、レシートの税額は小さくなっていても、買う人の支払額は変わっていません。

 

もちろん、競争によって価格が下がることもあるでしょう。ここで言いたいのは、レシートの税率が下がることと、私たちが払う価格が同じだけ下がることは、同じではないということです。

スーパーの隣の飲食店では

買い物帰りに、近所の食堂の前を通る場面を想像してください。

 

この案では、スーパーなどで買う食料品は1%になっても、店内で食べる外食は原則10%のままです。

 

「家で食べれば安い。外食は高い」

 

そう感じる人が増えれば、食堂のお客さんが減るかもしれません。食堂が値下げを求められても、家賃や人件費、光熱費まで1%になるわけではありません。

 

飲食店が必ず苦しくなると、今から決めつけることはできません。ただ、家計への利点を語るときに、こうした現場への影響を見落としてよいとも思えません。

 

政府の検討でも、外食産業への影響や資金繰り支援が課題に挙げられています。

減税なのに、負担が生じる可能性がある事業者に対する支援策が検討されていること自体、おかしな話ですよね

 

私は、食料品だけの税率を下げるこの制度は、別の事業者へ負担を押しつけかねないと考えています。

誰かの犠牲の上に成り立つ減税などあり得ない

政府が「減税」と言うとき、私たちは家計にとっての良い面をまず思い浮かべます。

けれども、その裏で飲食店や小さな事業者が苦しくなるなら、本当に良い減税と言えるのでしょうか。

 

誰かの犠牲の上に成り立つ減税など、あり得ない。

 

だから私は、食料品1%という数字だけで、この政策を判断したくありません。

 

実際の値段はどうなるのか。誰に利益があり、誰が負担を引き受けるのか。そこまで見て考えたいのです。

 

そして、そのためには、そもそも消費税がどのような仕組みなのかを知る必要があります。

 

レシートに書かれた税額は、そもそも何を表しているのでしょうか。消費税を国に納めるのは、本当は誰なのでしょうか。

 

次回から、一つずつ確かめていきたいと思います。

 

関連するnote記事:
「食料品消費税1%は、本当に減税なのか」

 

参考資料:
国税庁・財務省「消費税率引下げ特設サイト」
内閣官房「社会保障国民会議」