米公聴会でVWが排ガス不正ソフト問題で追求されたニュースが報道されていた。
VWは今後莫大なリコール費用や、制裁金、更には損害賠償まで要求されて深刻な事態に陥るであろう。
一番深刻なのはブランドに対する信用の失墜である。今後大幅な販売の落ち込みは覚悟しなけばならない。米国はもとよりおひざ元である主戦場のヨーロッパ自体での販売落ち込みは避けがたい。
ヨーロッパではディーゼルエンジンの普及率が高いが、今回の事態はディーゼルエンジン自体への不信を増大させた。
ディーゼルエンジンは燃費効率がいいのが特徴だが、その反面窒素化合物を多く排出するのが難点である。窒素化合物を減らす方法が無いわけではないが、今のところ利用者の負担が増大する方式にならざるを得ない。
VWはこの不正ソフトをポルシェから提供された。ポルシェからはテストの時だけ使用して、一般販売車には搭載しないようにとくぎを刺されていたという。実際今回の事態でポルシェ社も同様ソフトの搭載が疑われたが、そのような事実はないことが確認されている。
VWはなぜこのような不正ソフトを一般市販車に搭載するという不正を行ったのだろうか?
VWは今回の事態で辞任に追い込まれたヴィンターコーンCEOが就任して以来急速な売り上げの拡大を図ってきた。目標はトヨタを追い越すことだったようである。
VWは欧州とアジア市場での売り上げが83%を占めて残りの17%を北米と南米で分け合う形である。巨大市場である北米で売り上げを伸ばすことが至上命令であったのである。
北米市場で売り上げを伸ばすためには厳しい米国の環境基準をクリアーしなければならない。ディーゼル車がわずか3%ほどしか普及していない米国でディーゼルエンジンが主流となっているVW車の売り上げを伸ばすためには米国の環境基準をクリアーすることのできる車を開発しなければならない。
VWの技術者は環境基準をクリアーする技術開発をすることより安易に不正ソフトを搭載することを選んだのであろうか?
そうすると今は否定している、ヴィンターコーン前CEOが果たしてこの不正を発言しているように知らなかったのかどうか?という疑惑が浮上する。
ヴィンターコーンCEOは技術畑出身で、車の性能や技術については極めて細かい人物であったと伝えられている。
そういう人物がことの事態を知らなかったというのは考えられないというのである。
さて、もう一人注目の人物がある。それは前会長のピエヒ氏についてである。1993年から2002年までVWグループの社長を勤めたフェルディナンド・ピエヒ氏はVWグループの32%を保有するポルシェ社の大株主であり、2002年から今年の4月までVWの監査役会長を勤めた。このピエヒ会長は自らがヴィンターコーン氏をVWのCEOにしたにも関わらず、米市場での売り上げ低迷を理由にヴィンターコーン氏のCEO解任を画策した。しかし、逆に自らが取締役会で否定され辞任に追い込まれる事態となった。今回米国で不正が発覚してヴィンターコーンCEOが辞任に追い込まれたのはピエヒ前会長の逆襲ではと声もある。果たしてどうなのか?
今回の事態はVWのみならず、ドイツ企業全体への不信の拡大にまで発展していっている。技術大国として知られたドイツ製品が今後世界市場で深刻な後退を余儀なくされる可能性が大である。
VWのディーゼル車はその燃費性能の良さからタクシーにも多用されているが、今後不正の実態が明らかになっていけば、車の税金も上がる可能性がある。そうなるとさらに事態は深刻になっていく。
いずれにせよ不正な方法で得た利益や権益はいずれその結果の報いを受けなければならないことを今後VWとその指導者たちは実感していかなければならなくなるであろう。他人ごとではない。
国内だけではない。世界規模の制裁を受けざるをえない。
ブログ村の人気記事米本氏による「火の粉を払え」ブログでは、統一教会の清平役亊が始まった裏話が紹介されている。明らかに不正な方法で築き上げた基盤や利益はその不正の事実が明らかになることによりそのすべてを失うようになっているのは人の歴史には当たり前のことである。
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