「鬼と呼ばれた男」~「国から何か貰うのでなく、自分達が国を儲けさせ民を豊かに」松永安左ェ門 | キビコジのブログ

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NHKの放送90年ドラマ「経世済民の男」シリーズ5回目「鬼と呼ばれた男」~録画してあったのを昨日見た。
この「経世済民の男」シリーズ最初の2回は高橋是清、次の2回は小林一三、そして最終回が「鬼と呼ばれた男」松永安左ェ門である。このシリーズは東京、大阪、名古屋の各局が担当、戦前戦後の日本の経済に貢献した人物を取り上げたシリーズである。
高橋是清は日露戦争の戦費の調達に奔走したり、世界大恐慌の折に取りつけ騒ぎを鎮めたりした逸話が有名であるが、戦前日本の経済のかじ取りを中心的に進めてきた人物である。最後は2.26事件で凶弾に倒れた。
小林一三は関西財界の中心人物で阪急電鉄を核に様々な事業を展開、宝塚歌劇団の生みの親でもある。
さて、松永安左ェ門とは?
戦前民営の「東邦電力」を率いて「電力王」と呼ばれた人物である。太平洋戦争時の統制で会社が国家統制下に置かれるようになり、埼玉県の山奥でお茶三昧の隠遁生活を送っていた。
その松永に吉田首相の命で電気事業再編成審議会の委員長の役職が委嘱された。時に松永翁74歳、彼は電力の安定供給のためには電力会社の分割民営化が不可欠だと力説した。しかし他の委員は全員国策会社の日本発送電の温存を図ろうと主張した。
彼の分割民営化案は国会にまで提出されるが、結局電力料金の値上げを恐れる議員たちによって彼の案は廃案に追い込まれる。しかし松永はひるまなかった。GHQにまで直談判、また当時大蔵大臣兼通産大臣だった池田勇人のもとに押しかけ、数字と論理を展開して「分割民営化」を訴えた。

松永の考えはこうだった「私は商売をして儲けようとは思わない。国を儲けさせ、国民全部に良い生活をしてもらいたいんだ!」彼の熱意はマッカーサーに通じた。吉田首相に電気事業再編成の命が下った。

松永の晩年の写真は強烈だったという。彼は自分を捨てて捨て身で電気事業の分割民営化が今後の日本には不可欠だと訴え続けた。
彼は多くの委員たちが結局自らの権益のために国営化を守ろうとしていることを見抜いていた。

印象に残るのは「我々が国から何かをしてもらおうと考えるのではなく、われわれが国を豊かにして多くの人々を幸せにしていくんだ!」という強烈な思いである。
当時の日本は電力の国家統制で電力料金は低く抑えられていたが、電力インフラの整備が遅れ停電が相次いでいた。これでは今後増大する電力需要を賄うことはできず、日本の戦後経済の復興に重大なマイナスをもたらす危険性があった。
しかし「日発」(日本発送電)の権益にあずかる人々はその権益を失うことになる分割民営化案に反対した。

そもそも「経済」という言葉が「経世済民」・・・民をいかに豊かにさせていくか!という言葉から出発していることに思いを致すべきであろう。
大半の人が国から何かをしてもらうことばかりを考えている。

さすが「松永安左ェ門」の名はほかの地方ではあまり知られていないが、中部名古屋ではとても有名な人物である。
今でも中部圏の経済人は進取の気性に富、トヨタ自動車に代表されるように日本の経済をリードする役割を担ってきた。松永翁の気性が引き継がれているのかとも思う。だだてぃなん

松永の戦前のエピソーソの一つに、軍閥の「戦争しかない!」という動きに「戦争に訴えなくても日本は生きていける成算がある。」として、電力の国家管理に反対し、軍閥に追従する官僚たちを「人間のクズ」だと非難して激しい攻撃を受け「手を引かないと危ないという忠告も受けたという。
晩年、トインビーの「歴史の研究」の翻訳・刊行に尽力したことでも知られている。

物事を国や他者に依存するのではなく、自ら国を豊かにするため、人々を幸せにするために積極的に活動するものが今は求められていると思う。

今回のドラマは強力な印象を私に与えてくれた。
国のために、人々のためにという熱い思いで事を進めることの大切さを学んだ気がする。


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