「難治性歯肉口内炎」は猫の難病です。
口腔内に重度の炎症が起こり、口が痛くてご飯が食べられなくなります。
人間の口内炎とは異なり、ビタミン不足や疲労でなるわけではありません。
自然治癒するわけではなく、極めて深刻な病気です。
猫自身の歯に対する過剰な免疫反応が原因では?とされています。
従って根治治療は「抜歯手術」となることが多いです
詳しくは過去の記事をご参照ください。
<実例紹介>
5歳の猫、Iちゃんは「口が痛くてご飯が食べれない」とのことで来院されました。
上顎と下顎の奥歯に歯石が付着して傷んでおり、その周囲に歯肉炎を起こしていることがわかります。
したがってこれらの歯を抜歯することにしました。
さて、抜歯の前に重要なのが、歯科レントゲン撮影です。
レントゲン撮影せずに、適切な治療はできません。
なぜなら目で見えるのは歯の一部でしかなく、歯根の状態はレントゲンでしかわかりません。
レントゲン撮影をしないで抜歯するのは、地図もなく登山するようなものです。
口にフィルムを入れて、パシャリ!
撮影したレントゲンはこのような感じ。
レントゲンからは様々な情報が得られます。
情報収集をしたら抜歯手術を実施します。
猫の抜歯は非常に難しいです
なぜなら、歯根は非常に小さく、米粒ほどの大きさであることも。
しかし歯根を残してしまうと、口内炎は治癒しにくいです。
(先に述べてように、原因は歯根なのですから)
したがって慎重に、細心の注意を払って抜歯をしていきます。
その際に様々な器具を使用して、何度もレントゲンを見直しながら作業を進めます。
抜歯が終わったら縫合して終了です。
抜歯後は数ヶ月以内に炎症が治ることが多いです。
Iちゃんお疲れ様でした
<猫の飼い主さんに知っておいてほしいこと>
① 猫の歯肉口内炎は治療が大変!
②多くは抜歯手術が必要になる!(抜歯なくして薬では完治しない)
③症状としては、食欲低下、口の痛み、よだれ、口臭が代表的!
歯肉口内炎が疑われる場合は早めに動物病院へ!!