8.16 犬の心単独ライブ「嘘をつく」inルミネtheよしもと
を、お送りする予定でしたが、今回は予定をがらっと変更して、
神保町花月「籠の城」をキクオ的切り口でお届けします。
おもいっきりネタばれですので、読みたくない方は、するーしてくださいね☆
むちゃくちゃ長いので、要注意です
ここは支配する城
ここは支配される籠
壁に囲われ外界から隔離された地域
どちらも同じ場所である
支配する者は城と呼び
支配される者は籠と呼ぶ
城と呼ぶ人間は、籠と呼ぶ人間を支配し
籠と呼ぶ人間は、城と呼ぶ人間に支配される
籠側の人間は城側の指令に従って生きる。
指令に従えば衣・食・住、必要最低限の生活に困ることはない。
それと共に、籠側の人間に自由はない。
城側の人間は籠側の労力によって生きる。
時間によって定められた指令で籠側の人間を支配する。
人はある形を必要としたときに存在を造り上げ
必要無くなったとき存在を喪う
こんなかんじかな- きくお的、籠の城の概要。
田所ワールドが垣間見えた一瞬
前半のストーリーからイメージしたのは【北朝鮮】
人が人を支配するというと、どうも北朝鮮のイメージが浮かぶ
ここで、キャストとキャラクター紹介。
ウミネコ 押見泰憲
城側の人間によって籠に運ばれてくる以前の記憶がない謎の男
伝達から、自分はウミネコと呼ばれいた、と告げられる
ヤマシギ 村上純
モズ 林大介
ヤツガシラ 関町知弘
籠側の人間
城側の人間は役職がそのまま名前になっている。
伝達 池谷賢二
伝達と呼ばれる城の人間
必要事項を籠の人間たちに伝達する。
先日ウミネコたちのいる地域に配属されてきた。
前にいた配属先などについては、話したがらない。
監視 中澤章吾
監視と呼ばれる。籠の仕事を監視する。
評価 池田一真
評価と呼ばれる。籠側の仕事を点数化して次回の仕事量を決める。
刑罰 林克治
刑罰と呼ばれる。籠の人間が犯した罪の刑罰を決める。
支配される籠の人間
記憶を無くした謎の男【ウミネコ】が、籠に運ばれて来たことから物語は動き始める。
籠の人間はすべての行動を指令によって支配されているため、
食事・睡眠・排泄など、生活のすべてを意思とは無関係に過ごしている。
云わば、人間としての意思を持たない、従うだけの人形なのである。
最初は、支配される不可思議な生活に疑問を抱いていたウミネコだが、
次第にこの生活に慣れ、 ウミネコが籠に来て一ヶ月が過ぎた。
ある日ウミネコだけに伝達の部屋の掃除をする指令が出される。
指令に従い掃除をしていると布団の下から旅行記を発見する。
伝達の部屋から旅行記を持ち出したウミネコはその日夜に全てを読み終えた。
旅行記にはウミネコの知らない外の世界について様々なことが記されていた。
外の世界を知らないはずのウミネコだったが、頭の中に浮かぶ映像が鮮明かつ美しいものだった。
旅行記を読んだウミネコはすっかり外の世界に心を奪われ、外に出てみたいと願うようになった。
そして翌日、同じ籠の3人に”外に出てみないか?”と提案するが、
ヤマシギとモズはウミネコの話を相手にしなかった。
そして、ウミネコはヤマシギから"籠と外を繋ぐ門には頑丈で大きな扉があり鍵がかかっているから
簡単に外に出ることはできない"と告げられるのだった。
ウミネコの話を聞いたヤマシギとモズは呆れてその場を去る。
しかしヤツガシラはその場に残った。
ヤツガシラは、ウミネコの話す「海」や「山」の話に興味を持った。
外の世界のあれこれを、談笑の時間になるとウミネコに聞いてまわるようになり、
ヤツガシラは次第に外の世界に惹かれるようになる。
ある時、外に世界を思いながらテンションががってダンスを踊る。
踊っている拍子に、ヤツガシラは旅行記を読みたくなり、伝達の部屋に忍び込んだ。
しかしちょうどその時、伝達に用があった監視と評価に忍び込んでいる現場を見つかってしまう。
ヤツガシラには、忍び込んだ罰として、刑罰から「銃を自分に向け引き金を引け」と、
自ら命を断てと指令を出されてしまう。
しかし、ヤツガシラはその指令に歯向かったのだ。
籠の人間が城の人間の指令を拒んだのは、ヤツガシラが初めてのことであり、
気が動転し、怒り狂った刑罰はヤツガシラに向けて引き金を引いた。
ヤツガシラはその場に倒れた。
翌朝、昨夜の出来事を知らされる3人。
ヤマシギとモズは従わなかったヤツガシラを哀れんだが、
ウミネコはヤツガシラが死んだのは自分のせいだとその場に倒れ、涙を流した。
ウミネコはヤツガシラの取った行動についてヤマシギとモズに問う。
「外の世界に惹かれ、自由を願い、ひとり行動に出たヤツガシラに対してどう思っているんだ!
お前らのなかで初めて自分の意思で行動したんだろ!」
「自由を求め、自分の意志を持ったヤツガシラがいったい何をしたんだ、
あいつはただ、自分の意志に従っただけじゃないか、
あいつがいったい何をしたっていうんだ!!なぁ答えろよ!」
ウミネコの言葉に揺れ動いたヤマシギが口を開く。
「俺だって外の世界に出てみたいよ!」
モズも続く。
「俺だって…でも、大きくて丈夫な扉には鍵がかかっているんだ、
城のやつらが開けてくれるとは思えないし、外に出ることなんて不可能だよ…」
ウミネコが口を開く。
「おれたちは自由を勝ち取るんだ!」
「…でも、どうやればいいんだよ。」
「旅行記には、自由を勝ち取るためには戦えと書いてあった!」
「俺たちは自由のために戦うんだ!!」
3人は外に出る決心した。自由のために城側と戦うことを誓ったのだ。
ある日、作戦は実行された。
硝子工場で仕事の評価を受け終わったその時だった。
作ったコップや皿を割り、床に散らばった鋭い破片を手に取り評価に詰め寄った。
扉の鍵を開けるために評価を人質にしたのだった。
城全体に連絡するための放送室まで評価に案内をさせ立てこもりこう言った。
「1時間以内に扉の鍵を開けろ、さもなければこいつの命はない!」
放送を聞いた伝達・監視・刑罰は動揺する。
「…んふっ。こいつら全員処刑だ!!!!!」
城側の人間たちがそれぞれに動き出す。
人質に取られた評価。
「お前らのやっていることに意味はない…」不敵な笑みで言った。
「お前らが俺を人質に取ったところで何も変わらないんだよ。
つまり、鍵なんて開くことはないのさっ。はっはっはっは」
「なぁ、ヤマシギ、その扉ってのは、俺ら3人で押して開けられるものなのか?」
「いや、近くで見たことがないからわからない。ただ、他のやつらが言うには
大きくて頑丈な扉に鍵がかかっているってことだけだ。」
「じゃぁ、どんな鍵かもわからないのか??」
「うっ、うん、ごめん、聞いた話だから、わかんないんだ」
肩を震わせて笑う評価を見てウミネコが気づく。
「まっ、まさか!」
ウミネコが口を開いた。
「ないんだな、鍵なんて?」
笑いながら、評価が口を開いた。
「ふっ、ようやく気づいたか、あぁそうだよ、鍵なんてどこにもないんだよ。
外への扉を塞ぐカギと扉なんてどこにもありゃしないんだよ!!」
外へ出ようとしない籠の人間たちは、見たこともない門に、
勝手に見えない頑丈で大きな扉に鍵をつけたのだ。
今までに誰一人としてこの籠の外に出ようとした者はいない。
外に出ることは許されないと、決め付けていたのだった。
それを聞いた3人は評価を放送室に残して門めがけて走りだした。
長い道のりを走り、ようやく扉も鍵もない、壁が見えた場所までやってきた。
「はじめて壁の近くまで来たけど、本当にただ壁が途切れているだけなんだな。
あそこには本当に何もないな。」
息を切らしながらヤマシギが言う。
「さぁ、急ぐぞ!」
しかし、自由という名の壁を目前にしてモズが立ち止まる。
「オレ…、やっぱり駄目だ。」
「ここまで来て戻るつもりか?!
戻ったってどうせヤツガシラみたいに殺されるだけだろ?」
「俺、外に出るのが怖いんだ。…外でやっていける自信がねぇんだよ。」
「そんなことでいいのかよ!…だめだ、無理やりにでもお前を外に連れていく!」
強引にモズの手を引くヤマシギ。
「ヤマシギやめろ!戻りたいと決めたのはモズだ。これも立派な意思じゃないか。
…モズ、お前には見えるのか?」
やさしくウミネコが問う。
うなずくモズ。
「俺には、見えるんだ、大きくて頑丈な扉と鍵が見えるんだ…」
「よし、お前は戻れ、元気でな、またいつか…」
「あぁ、またいつか…」
モズが元来た道を戻ろうとしたその時だった。
伝達が現れた。
ヤマシギはモズとウミネコの手を引き、伝達から離れ、3人は身構えた。
しかし伝達の取った行動は意外なものだった。
伝達はウミネコに旅行記を手渡した。
「ほら、これ。忘れ物、持って行け。」
予想外の状況を理解できないウミネコ。
「え?どういうことだよ、」
混乱している。
「そういうことだ。ほら、早く行け」
「どういうことなんだよ?説明しろよ」
ウミネコは問い続ける。
すると伝達は話し始める。
「先日、ある若い旅行者があの門の前に倒れていた。
そいつはだいぶ衰弱しきっていて、記憶がないことがわかった。
刑罰は新たな籠の労働力になるだろうとその旅行者を城の中に入れることを決めた。
このとき荷物は没収され、衣服も着替えさせられた。
そいつはウミネコと名づけられた。そう、お前のことだよ。」
「え?!俺が、外の人間だというのか?!」
「おぃ、ウミネコが…どおりで最初、わけのわかんねぇこと言ってたのか!」
「ここにいる人間たちはみんな臆病ものなんだよ。
だから、籠側の人間は外の世界に出なかった。
城側の人間は外に出ることを恐れ、
籠側の人間の自由を奪うことで存在価値を見出してたんだよ。
籠側の人間は、意志を持って成長することを辞め、
城側の人間は、籠側の人間を成長させようともしなかった。だからウミネコ、
俺はお前に賭けてみたんだよ。
この間違っている籠と城を変えてくれるんじゃないかって。
だから、掃除をさせてわざとお前に旅行記を読ませたんだ。
記憶が戻るんじゃないかって思ってた。でも、結局何も変わらなかったな。」
「変わったじゃないか!ヤツガシラは自由を求めて意志を持った。そして、お前らに殺された!」
「いや、ヤツガシラは死んでいない。正しくは、死んだと思って眠っているだけだ。」
「おぃ、どういうことだよ!生きてる?
ヤツガシラが生きてるのか?銃で撃たれたんだろ?」
「ヤツガシラは死んだと思って、自分の部屋で眠っているさ。
自分が死んでいないことがわかれば、すぐに目覚めるだろう。
ここにある拳銃のすべては空砲だからな。
銃で撃たれる=死亡ではないんだよ。籠の人間が作り出したただの思い込みさ。
第一、今までに反乱がおきたことのないこの地域に、
人を殺傷する道具は必要ないのさ。
だから、ヤツガシラは死んだと思いこんで眠りについたんだ。
ここの人間と同じだ。出ることが出来ない、と勘違いして、
この場所から逃げようともしなかったんだよ。」
「ヤツガシラが生きてるんだな!よし!じゃぁ、俺起こしてくる、
ヤツガシラにここのことを伝えて、あとから外に出るよ!」
モズがそう言って走り出そうとしたその時、現れたのは刑罰だった。
「やぁ~みんなお揃いで!おっ伝達が足止めしてくれてたのか!
助かるぜ~さぁ、お前らの命はない!!!ここで死ね~!!!!」
空砲の銃を乱射する刑罰。
真実を知った3人は微動だにしない。
それでも、乱射し続ける刑罰。
しばらく乱射し続ける。
刑罰もなんとなくこの空気に気づく。
「もしかして、みんな…知ってるの?」
うなずく伝達。
「さっき、全部、言っちゃったんだよ」
「も~だったら、最初に言ってよ!はずかしいじゃん!
おれ、だいぶ乱射してたよ?!止めるタイミングあったでしょ!!」(笑)
現状を把握した刑罰はその場を去る。
「よし、おれ行ってくる!」
モズが言った。
「もう、大丈夫なんだな?モズ、」
「おう!」
「じゃぁな、モズ、またどこかにで会おう!」
城に戻っていくモズ。
もうモズには大きくて頑丈な扉も鍵も見えてはいないのだろう。
ウミネコが口を開く、
「そうだ、これ、あんたに渡すよ。
俺たちみたいに、この旅行記をきっかけに、
意志を持つやつらがいるかもしれないだろ?」
「あ、あぁ、わかった。」
伝達はウミネコから旅行記を受け取った。
モズが去ったあと、頭上には鳥の大群が空を埋め尽くす。
それを見上げたヤマシギは、
「わ~すげぇ、俺、先に行ってるよ!」
「おう!」
外の世界に向かって走っていくヤマシギ。
この場にウミネコと伝達が残る。
「お前、その旅行記を城に戻したら、一緒に外の世界に行かないか?」
「……それは無理だ。」
「そ、そうか。わかった、お前にもいろいろやることがあるもんな。」
「人は、何かを必要とした時に、ある形を形成する。
時にその形は、みんなの胸の中にも同じく作られる。
しかし、必要なくなった時に、その形は存在をを失い、
存在しなくなるんんだよ。そういうもの。」
「ふ~ん、そうか。よくわかんねぇけど、ありがとう。じゃぁ、」
前を向いて歩きだすウミネコ。
ウミネコが去ると、伝達は持っていた旅行記を落とし、沈黙する。
そこへ評価と監視が現れる。
「あれ?おかしいな、ここには人っ子一人いねぇじゃねぇか!」
(私たちには見えているはずの伝達は、評価と監視の目には映っていない)
「おぃ、探せ探せ!!!」
「ん?なんだこれ」
落ちている旅行記を手にする監視。
その場にいるはずの伝達の姿は2人には見えていない。
二人はそのまま城のほうへ戻っていく。
沈黙した伝達はその場を動かない。
必要なくなった時に形を失くし、存在しなくなったのだ。
沈黙した伝達は暗転した舞台の上で一人スポットライトを浴び沈黙を保ち続ける。
ほんの何十秒という短い間だが、笑顔になり、笑顔から暗い表情になりうつむく。
そして、また顔をあげにこやかなやさしい笑顔とともに、終幕した。





