アシュトンマニュアルについての個人的な見解 | khyrzukiのブログ

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整形外科医師です。ベンゾジアゼピンなどの問題、日本の医療などをざっくりと語ります。

最近、体調も落ち着いていてベンゾジアゼピンから意識が離れつつあります。でも、ベンゾジアゼピン減薬患者さんをかかえているために最近アシュトンマニュアルを読み返して改めて思った事を書きます。

アシュトンマニュアルは、1999年にイギリスのヘザー•アシュトン教授が数百という患者の統計をとり、ベンゾジアゼピン減断薬についてまとめたマニュアルです。本当に素晴らしい内容です。

ただ、少し疑問に思う点があったのでそれについて述べてみたいと思います。


疑問1

ジアゼパム置換の必要性


これは以前に個人的見解で述べたので詳しいことは割愛しますが、ベンゾジアゼピンは種類により作用する部位が微妙に異なると考えられるため、離脱症状が悪化したり別の症状が現れたりするリスクが大きいと思われるからです。なぜかといえば、まず自身が身をもって体験しているのもありますが、数種類のベンゾジアゼピンを内服している人の減薬体験などを見ると、種類によって離脱症状が強くでたりすんなりと断薬できたりしているからです。


疑問2

超短時間作用型(トリアゾラム、ゾルピダムなど)の薬に関しては、かなり速く排出されるために毎日離脱していることになるので急断薬が可能であること


これも個人的には少し疑問です。であるなら短時間作用型や中間作用型も時間の差こそあるものの薬が残存していない時間もあるので、何時間までなら大丈夫なのか線引きは困難だと思われるからです。

もちろん、アシュトン教授も離脱症状が現れた場合はマニュアルに沿って漸減していくことをすすめてはいます。


疑問3

減薬スケジュールのスピード


これもよく言われてることですが、アシュトンマニュアルでは減薬スピードが少し早いのではと思われます。減断薬の体験を読んでみると、一年でも少し早く一年半かけたほうがいいと言う人の意見を散見します。もちろん個人差が大きい事ですのでこの辺は何とも言えないのですが、長期にするほうが安全であるかなとは思います。


あとベンゾジアゼピンの作用機序に関してですが、離脱症状は、ベンゾジアゼピンにより余分なGABA受容体が廃棄されるというよりベンゾジアゼピンが長期間作用したGABA受容体自体が変化してしまうことによるものが大きいのではと思っています。変化したGABA受容体は、変化の度合いにより脆弱性が異なるために離脱症状の症状も分かれてくるのではないでしょうか。その変化はもとに戻るのか永続的に続くものなのかは分かりません。ただ、人間の治癒力は身体に不都合はものは改善するように働くものです。それを信じれば、脆弱したGABA受容体もさらに自然に変化していくことにより改善する可能性は十分あると信じてます。


以上、おこがましいですが個人的見解をまた述べさせて頂きました。僕のような専門外の医師が述べるのもどうかと思いましたが、少しでも参考になる人がいれば幸いです。