偉大なスーパーチャンピオンIN東京ドーム | ボクシングのこと~好き勝手に語るブログ~

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ボクシングについて自分の考えを好き勝手に書いてます。人は人、自分は自分。何事も考え方は人それぞれというのが私のスタンス。自分の考えを人に押し付けたり、自分こそが正しいという変な勘違いをされている方はご遠慮ください。よろしくお願いいたします

 今回もまた「勝てる相手」ですね。

さすが結果的に老ドネアさん以外では苦戦すら皆無のスーパーチャンピオン。


さて、ここからはいつも通り好き勝手な事を書いてゆきますのでご容赦を。あくまでも私的意見、考察であることをお断りしておきます。

 

ルイス・ネリ

元々のニックネームはパンテラ(豹)。しかしながら日本では山中との試合経緯から「悪童」なんて呼ばれてる印象の悪いボクサーです。強打者と言う人もいるようですがスーパーバンタム級ではパンチ力は並。相対的に見たらこの階級では特に強さが際立つという程ではない普通の世界ランカーです。山中と戦ったバンタム級時代の勢いはもうありません。もともと粗いボクシングでしたが、階級上げてからは更に雑に見えるグダグダな試合を繰り返してるイメージ。そして何と言ってもボディが弱い。これがこの対戦における勝敗期待値を低くする最大の要因です。強烈なボディショットを持つ井上にとっては、何とも都合が良いカモにすら思えます。井上はボディ打ちが得意ですからね。

 

今回もいつも通りパワー、スピード、テクニックと全てにおいて相手より井上が上です。だからこの試合の勝敗はほぼ見えてる。ネリでは井上が負ける要素が見当たらない、というか皆無に近いという印象だ。敢えて敗戦リスクを言わせてもらうとすれば、ネリが回転の早い連打を乱暴に振り回してたまたま当たるかもしれないラッキーパンチを被弾してしまった場合か。でもその可能性は極めて低いだろう。

 

どー考えてもまたスーパーチャンピオン井上が普通に勝ちますね〜コレは。見どころは万が一の番狂わせとネリが何ラウンドまでもつかだけ。当然のようにオッズはいつも通り井上が圧倒的有利と出るでしょう。なんだかね。私的にはやる前からほぼ勝敗が見えてしまっているような試合です。

 

楽しみにしている方には申し訳ないけど、個人的にはこういうマッチメイクって正直つまらないんだよね。やる前から結果が半ばわかってしまってるということで、私が重視している勝負事として最も肝の部分である勝敗への興味があまり感じられない試合だから。私的に言わせてもらうとこの試合は営利目的主体の興行、井上が勝つという前提に行われるエンタメって感じ。陣営からすれば、興行面を考えると今のスーパーバンタム級ではこのマッチメイクがやはりベストってことになるのかなぁ。それは私にもわかる。プロボクシングは興行だからそういう考えは否定できないからね。


今回はスーパーチャンピオン井上が勝つべくして勝つという、山中時代に遡って紡ぐ、勧善懲悪のストーリー。民衆の敵ネリを豪快にスーパーヒーロー井上チャンピオンが成敗するのだ。圧倒的な力の差を見せて。まぁこういうスーパーヒーローが「勝つべくして勝つ!」という試合を見て喜ぶ人たちもいるんだろうけど、私にはちょっとね。井上の圧勝劇はもうお腹いっぱいだから。試合までの前振りとして、今までの日本を舞台にしたネリストーリーを絡めた大袈裟な宣伝が始まるかもしれないね。

 

この試合は大きな興行収益を目的とした壮大なエンターテインメントだね。メインの井上vsネリは勝負事としての期待値はどうしても低く、それに伴って試合自体の醍醐味も低そう。なれど興行収益を考えると、今回のマッチメイクはプロモーターにとって理想的な形ってことになるのかな。王者にとっては敗戦のリスクが少なく、人気低迷中のプロボクシングにおいて、この試合は比較的話題性も高い。何より安心安全に稼げそうなこの試合は我が国において皆が幸せになる素晴らしいコンテンツなのかもしれない。井上は既にこの階級では4団体統一をしてるので、この試合は肩書獲得目的ではなく、大きな会場で行われる輝かしいキャリアのセカンドストーリー。興行規模的にはこのところ何年も無かった日本プロボクシング界におけるビッグショーになりそうだしね。なにせタイソンvsダグラス戦以来の東京ドームなのだから。

 

この試合の良いところ。

それはなんと言っても興行規模とお金かな。ネリが相手ということで、日本では話題性の高いストーリーマッチになるから世界的には不人気の軽量級でも日本開催ってこともあって興行規模はここ数年のボクシング興行では我が国において最大級になりそうだ。そしてこの試合で井上・ネリ共お互い大金を稼げるのでその点はWINWINでしょう。

悪役ネリは金目当てで喜んで日本にやって来る。やや落ち目にも見えるネリにとってこれはキャリア最大報酬となるであろうラッキーなボーナスマッチ。今までの井上の対戦相手同様、仮にネリはこの試合に負けたとしても人生では勝者になるのである。


https://news.yahoo.co.jp/articles/d3bd7d6ad3c341042b42aaacca6d8d39f9d418d4

 

この試合は井上にとっては稀代の悪役ネリをどう成敗するか、そしてその結末をどのタイミングでどう魅せるか。要はどんな勝ち方をするかってこと。今回もいつも通り序盤から安心安全、余裕を持った流れに乗って相手を追い詰め、タイミングを見て倒す。いつも通りさほどハラハラすることのない比較的楽な展開に見える試合になりそうです。

 

私は井上にはいつも勝つか負けるかの冒険マッチを期待してるんですけど、残念ながら未だ一度もそれらしいものは見られていない。戦前のオッズでは常に有利と出る試合ばかりで、戦前から勝敗期待値が高くなるようなオッズ五分五分、あるいはやや不利と出ることはまずありません。これを井上が強過ぎるからと取るか、マッチメイクの妙と取るかは受け手側によるだろう。理由はどうあれ極力リスクを回避して、決して危険は犯さずなるべく安心安全にキャリアを積むというのは戦略的にはありです。寧ろそのやり方こそがボクシングという危険なスポーツをプロとして長く続けて栄光の道を歩む理想的なキャリア構築とも言えるでしょう。危険を冒してまで、更に階級を上げて、勝てるかわからないような強豪と対戦するというのは見る側からすると最も胸踊る最高のシチュエーションなんだけど、やる側からするとわざわざそんな危険を冒すのは普通に考えて得策ではないからね。ピーク時にそんな厳しい戦いを自ら望んで繰り返していた異次元の怪物クラス、黄金の中量級レジェンドやパックメイは例外中の例外だったってこと。本物の怪物的な化け物ボクサーでなければ強豪ひしめく人気階級であんなハードなマッチメイクは無理。だから悪いけど井上をパックメイと同列に語ることは私的には?なんだよね。敢えて茨の道を選ぶよりも低リスクで話題性もあり、結果はやる前からほぼ決まってる方がよほどの想定外がない限りほぼ安心安全。戦う当事者からすれば、今回のマッチメイクは最良の選択と言えるのかもしれない。

 

無敵の怪物スーパーチャンピオンの2023年

2階級連続の4団体統一

ESPN最優秀選手

CBS最優秀選手

リング誌最優秀選手

ワールドボクシングニュース最優秀選手

ボクシングシーンコム最優秀選手

トップランク最優秀選手

等々、主なボクシング関連の賞レースは井上が怪物的な総なめ状態。いやいやこれは凄いね。やはり強くなければこうはいかないからね。スーパーチャンピオン井上は識者の中ではそれなりに評価されているのだろう。完璧に見えるキャリアを遂行できるところは本当に素晴らしいと思います。

 

だけど…

毎度の如くオッズ有利の相手に圧勝の繰り返しではね。スーパーチャンピオンの試合は序盤から余裕すら感じさせるような展開がここ最近では特に多い。酷い時は逃げ回る格下を相手にタイミングを図りながら追い詰めるという(典型例がバトラー戦)、戦前から想定される筋書き通りの展開。どう見ても力の差は開始直後から歴然で見どころはいつ倒すのかってだけ。こういうのって試合自体の勝負事としての魅力や醍醐味は全く感じられないので個人的にはつまらないと思う。残念ながら井上の試合ではどっちが勝つかわからないようなドキドキ感を一度も感じたことがないんだよね。実力者同士ならではの手に汗握るような興奮を覚えたこともない。能力が劣る相手との戦い。そんな戦いはやる前から半ば勝つのはわかっているから興奮度がどうしても低くなる。まぁどんな相手でも勝負事は何が起こるかわからないから、結果論といえば結果論なんだけど。


毎回ハードマッチメイクをしろとは言わないが、毎度圧勝ばかりではね。こんなのばかり見せられても正直飽きてしまうよ。だから既に無双状態になっているスーパーバンタム級での戦いはもういいんじゃないのって個人的には思うんだ。今のスーパーバンタム級では井上以外に抜きん出た強豪が居ないからね。実力が拮抗するような相手も見当たらない。なんか報道によると次もその次もスーパーバンタム級で予定しているとか。しかも相手が誰であろうとこの階級での戦いは井上が全部勝つことが前提みたいな書きっぷりだ。まぁ今のこの階級の面子では誰と戦っても井上が勝つ予測しか立たないから当然っちゃ当然なんだけど、そんな圧勝の繰り返しを見ていったい何が面白いのだろうか。軽量級は元々選手層が薄いけど、過去には歴史に残る強豪が存在した時代もあった。しかし残念ながら現時点のスーパーバンタム級で井上と実力が拮抗するようなライバルと呼べる強豪は存在しない。まぁこれだけは時代の巡り合わせもあるから仕方ないんだけどね。


しかし井上がスーパーバンタム級に残ればそれはそれでいいのかもしれないとも思う。なにせこの階級では勝てる可能性がほぼ無いのに対戦に名乗りを上げる人達が後を絶たない。なんで?そりゃそうだよね。井上と戦えば負けても世界の軽量級相場では考えられないような大金を稼げるから。常に井上陣営主導で行われる日本開催の軽量級で井上はカネロだ。試合の選択権は常に井上にある。そして井上からしても現時点ではよほどの強豪が彗星のごとく現れない限りこの階級でまず負けることは無さそうだから、無敗というキャリアを低リスクで無難に維持できる可能性が高い。軽量級王国日本の顔として井上は国内ボクシングを盛り上げていきながら輝かしいパーフェクトキャリアを築き、対戦相手は軽量級としては破格の大金を得られる。これはお互いにとって幸せな選択と言えるだろう。


そして最近何度かニュースになってるこの記事

https://news.yahoo.co.jp/articles/4a3d14210dfe8b3e96b7a88e3f04f28072ac8c80

いろいろ書いてあるけど、正直これって単にアメリカでは軽量級の需要が無いってだけでしょ。かつて海外志向だった井上も向こうで何戦かやってみて本場での軽量級の現実に気付いたみたいだし。なにせテレビ局関係者に井上なんて誰も知らないと言われるほど、軽量級が軽視されている本場アメリカで、注目を集めることもなく安いファイトマネーで戦わなければならないという現実。そんな何も得られないところで実現しそうにない夢を見ながら無理してやるよりも日本でやった方があらゆる面で良いに決まってる。そんなことは最初からわかってる。マニー・パッキャオという規格外の化け物と井上を一緒にしてはいけないよね。

 

さてさてそんな軽量級で無敵の荒野を行くスーパーチャンピオン井上は将来的にオールタイムPFPではどんな評価をされるのだろう。歴代PFPでの評価は肩書や戦績より「誰と戦ったか」だと思う。この点について井上の評価は識者にどう見られるのか。井上は強い相手と戦ってるけど、強過ぎるから結果的に弱い相手と戦ってるように見えるだけだという意見もあると思う。それは確かにそうかもしれない。なれどボクシングは相手次第で強くも弱くも見えてしまうスポーツだ。そんなスポーツだから井上が強過ぎるのか、単に相手が弱いからなのかは見る人の受け止め方によるだろう。私的見解で言わせてもらうと、現時点では正直井上の今までの対戦相手の質は何か物足りないような気がするけどね。老ドネア1以外では勝つか、負けるかといった勝負になったことが無いからね。


いつも圧倒的な強さを見せる井上。

そう見えるのは井上がずば抜けて強過ぎるから?

巧みなマッチメイクで勝てそうな相手としか戦わないようにしてるから?

元々階級の選手層が薄く、同時代にたまたま強いライバルがいないから?

どういう見方をするかは個人の自由だ。

 

今までのキャリアの中で井上はオッズが拮抗するような強豪と試合を組む機会が何度かはあったと私的には思ってる。五分五分、もしかしたら負けるかもしれないと思える相手との試合を組もうと思えば組めただろう。しかしそんな相手との試合が組まれることは今までに無かった。触れられることの無いそのことに気づいてる人は気づいていると思う。それが何だっていう人も居ると思うけど、私は正直その点について個人的に未だ非常に残念に思ってる。陣営が巧妙にスルーしたのか、組めなかったのか、やる必要性を感じなかったのか。それは当事者にしかわからないことだ。

 

井上は確かに強いと思う。今までの日本人世界王者の中では突出した存在と言ってもいいだろう。その肩書や勝ちっぷりから世界のオールタイムベストにランクイン、階級別でも世界バンタム級歴代最強という見方をする人もいるかもしれない。しかし対戦相手の質という点ではどうか。私の見立てで言わせてもらえば、ぶっちゃけそんなに高くないというのが正直なところだね。果たして井上が将来オールタイムPFPでどんな評価をされるのか。その答えはいつか出るだろう。

 

我が国では全盛期当時の注目度と知名度でマイク・タイソンが歴代最強のボクサーだと思っている人が一定数居ると思う。しかし本場でのタイソンの評価はそれほど高くないように見える。オールタイムPFP、ヘビー級歴代最強、そのランキングのどちらにおいてもさほど上位には来ていない。その理由は恐らく対戦相手の質。ライバルの不在。繰り返しになるがボクシングは相手によって強く見えたり弱く見えたりするスポーツだから。さほど強くもない相手にどんだけ派手で豪快にKOの山を築こうとも、歴代最強を決めるとなると、やはり対戦相手の質が問われるようだ。

 

話を戻そう。この試合を楽しみにしている人には申し訳ないけど、今回のこのビッグエンターテインメントマッチは私的には「しらけタイトルマッチ」という括りになる。はっきり言ってメインは胸踊るマッチメイクとは言い難い。その最大の理由はこの試合の勝敗に殆ど興味が持てないからだ。この試合はやる前から半ば結果が見えてる。勝負事だから何が起こるかわからないけど、井上が負けることはほぼ考えられない。それは勝負事で最もエキサイティングに感じる部分が無いということになる。だから私はこの試合がPPVだったらまず買わなかったね。勝敗に興味が持てないマッチメイクに勝負の醍醐味やロマンは感じられないから。だからそんな試合はリアルタイム観戦でなくてもいい。私的にはディレイで充分。はっきり言ってこの試合は勝つか負けるかという勝負事として見るボクシングの魅力に欠ける。試合を指折り数えて待つようなワクワク感と興奮は、残念ながらこの試合からは感じられないんだよね。


34年ぶりにボクシングが東京ドームでねぇ…それに関してはは本当に凄いことなんだよなぁ。あのミドル級の村田でさえ東京ドーム決戦は無かったからね。でも米国ではいつも通りESPN+の生配信なのね。

放送媒体であるESPNで最優秀選手に選ばれたボクサーの東京ドーム決戦なのにねぇ…。

なんか最優秀選手という評価に対しての対応が矛盾しているというか、普通になんでって感じだよね。またこんなこと書くと怒る人がいるけど、ぶっちゃけ米国では注目度が低いってことなのかな。あちらでは人気度に対して放送はPPV>テレビ>ネット配信の順だからね。井上はスーパーバンタム級はさっさと卒業して、早くフェザー級に上げた方があちらでの注目度が今よりは少しだけ上がるのではないかと思うけどね。

 

また長々と井上に対して思うところをそのまま正直に書いてしまった。井上ファンの方に怒られそうでそれを考えるととても恐ろしい。「お前は井上が何をやろうが難癖をつける」とかね。

井上は最強でそのファンは最恐だから。


でもこれだけは言っておきたい。私も井上は強いと思ってる。だからこそ、強い相手と戦っているところが見たい。その方が見る方にとっては面白いと思うし、見応えもありそうだから。私はどっちが勝つかわからないというドキドキするような勝負が見たいんだ。やる前から勝てると予測できる相手との圧勝劇は個人的にはもういい。


当日は井上vsネリ以外に世界戦が3試合行われる予定となっている。4大世界戦となるが、内容的には勝敗に興味が湧くのは武居vsモロニーくらいか。この対戦カードはキックから来た武居にとって真価が問われる試合になりそうだ。井上兄弟、ユーリ阿久比は順当に勝つと見る。


東京ドーム4大世界戦は興行規模は大きくなりそうだけど、試合に対する興奮度は全体的に見たら私的には低い。なれど興行規模が大きいのでそれなり魅力的でありボクシングファンとしては大成功してほしいという気持ちはある。


かつて若き日の井上尚弥はこう言い放った。

「強い相手としか戦わない」

これからの井上に期待したい。