現在のボクシング界最高のカード。
スペンスvsクロフォード
WOWOWの視聴者予想は概ねクロフォード6、スペンス3、引き分け1といった感じで、オッズは11−8でクロフォード有利だとか。
会場にはハーンズ、タイソン、ワイルダー、ロイ・ジョーンズ、ザブ・ジュダー、サーマン、サンタクルス、メイウェザー、パッキャオetc.ボクシング界の大物レジェンド達が揃い踏み。さすが世界が注目する究極のビッグマッチって感じです。
そして試合の方はというと、いやいや物凄いといいますか、悪い意味ではないですが、予想をかなり裏切る内容になってしまいました。ここまでワンサイドになるとは誰も予想できなかったと思います。
1Rはイーブンでどちらにつけてもいいような立ち上がり。ラウンドマストでどっちかに振るなら攻勢でスペンスか。
そして2Rに早速試合が動く。
残り21秒のところで突き刺すような右を入れてクロフォードがダウンを奪う。この時点ではスペンスに深刻なダメージは感じられない。
続く3Rは挽回しようとスペンスが前に出てくるが、クロフォードが上手く捌いてペースを渡さない。そしてここからラウンドが進むにつれてじわじわとクロフォードがペースを掴む。
そして7R、残り2分のところでクロフォードのアッパー気味の右フックがスペンスの顎にクリーンヒット。
スペンスの腰が砕けたところに追い打ちのようなテンプルへの右フック
たまらずスペンスがダウン
そして残り5秒を切ったところでクロフォードの右ダブル
スペンスがこのラウンド2度目のダウン。これでほぼ試合の趨勢が見えてくる。
ダメージが大きいスペンス。いつ止められてもおかしくないような状態で試合が進み、ラストとなった9Rを迎える。残り40秒を切ったところでクロフォードがラッシュ
スペンスが滅多打ちになったところでレフェリーが試合を止めた。ストップは妥当、スペンスのダメージを考えるともっと早くてもアリではあったが、レフェリーもよく我慢したと思う。
内容的にはクロフォードの完勝。世界が待ち望んだ頂上決戦はまさかのワンサイドゲームになってしまった。
試合前のリング上で見た二人の印象はクロフォードが冷静そのもの、対するスペンスはやや緊張気味に見えた。会見映像でもスペンスには気負いが見えたけど、クロフォードは淡々として余裕すら感じさせた。結果論ですが、そんな印象がそのまま試合に出たように思う。
クロフォードが宿敵スペンスを相手に見事なまでに完勝して見せての史上初2階級4団体統一。これはPFP1位も確定かな。ちょっと他の人達とはレベルが違いますね。なにせあの最大の宿敵と目されていた強者スペンスを一方的に叩きのめして勝ったのだから。
ウェルター級にはスター候補のエニスが居るけど、こんなに強いクロフォードが相手ではまだまだ歯がたたないでしょう。解説の村田諒太も言ってましたが、最大のライバルであったスペンスを相手に一方的に勝ってしまった今、もう周辺階級でこれといった強敵が見当たらないクロフォードは今後いったいどこに向かっていけばいいのだろうか。
年齢は35歳。今どき引退という歳でもない。スペンスは再戦を口にしたけど、今日の内容からすると再戦と言ったところで盛り上がるとは思えない。それほどのワンサイド。私的に再戦は不要だと思ってる。
テレンス・クロフォード
PFPという妄想ランキングに意味はないとは思うけど、こんな試合を見てしまうと、文句無しでPFPの1位はテレンス・クロフォードだと言わざるをえない。
全階級を通して最強はクロフォード。
そう言い切っても過言ではないと思う。今日の試合でボクシング界最強と言っていいほどの強さを世界中に見せつけた。あの屈強なスペンスを相手にほぼノーダメージで完勝できるボクサーがいたなんてね。勝敗予想を2回連続で外している私が言うのもなんだけど、こんな結末は全く想像すらできなかった。
クロフォードは想像を超える強さだった。
今日の試合はそれを思い知らされたような、滅多に見ることができない世界のボクシング史に残る歴史的な試合だったと思う。