韓国大法院が日本戦犯企業に賠償命令の判決 | 朝鮮問題深掘りすると?

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韓国大法院(日本の最高裁判所に当たる)が去る23日、日本帝国主義による朝鮮人強制連行(徴用)被害者らが、日本企業を相手に起こした損害賠償請求訴訟で、原審を破棄し企業の損害賠償責任を認める判決を下しました。


十数年にわたって日本で行われてきた同種の裁判では軒並みに原告の敗訴が確定し、安堵の胸をなで下ろしてきた日本企業でしたが、今回の判決によって、植民地下朝鮮人に対する無制限の搾取を糾弾されることになり、針のむしろに座るはめになりました。管理人は当然のことであり、今更の感がしないでもありませんが、(ここで今更というのは、よくもこれまで真実を隠し通し、知らぬ存ぜぬを決め込んできたものだと言う軽蔑の感情が込められています)とにかく歓迎できることです。


昨年8月30日に韓国憲法裁判所が日本軍「慰安婦」被害者らを支持したのに続き,今月24日には日本企業らに対してはじめて日帝時期の強制徴用被害者らにたいする損害賠償を命じる判決を下しました。この日韓国大法院(最高裁判所)は三菱重工業と新日本製鐵を相手に損害賠償を要求して上告した原告らの主張を受け入れた判決を下しています。判決は1965年の韓日請求権協定と「時効」などを理由に原告敗訴の判決を下した原審を覆し、釜山高等裁判所とソウル高等裁判所に差し戻す判決を下しました。


裁判部は「1965年に締結された請求権協定は日本の植民地支配の賠償を請求するための交渉では無い」とし、それは「国家権力が関与した反人道的不法行為や植民地支配と直結した不法行為による損害賠償請求権が請求権協定の適用対象に含まれていると見ることはできない」と明らかにしました。


さらに先に日本の裁判所で原告らが敗訴の確定判決を受けたことと関連して、「(日本での判決)の理由は日本が朝鮮半島と朝鮮人に対する植民地支配が合法的という規範的認識を前提として、日帝の国民総動員法と軍民徴用令を朝鮮半島に適用するのは有効だと評価している部分が含まれている」としながら「これは、日帝強占期強制動員自体を不法だとしている韓国憲法の核心的価値と正面から衝突する」とし、このような判決理由が含まれている日本の判決をそのまま承認する結果が韓国の社会秩序に違反するのは明白」だと一蹴しています。


この判決はさる2005年8月、当時の総理主催の「韓日会談文書公開、後続対策関連民官共同委員会」で1965年協定とは関係なく「日本軍慰安婦問題など日本政府、軍、などの国家権力が関与した反人道的不法行為については請求権協定により解決したと見ることはできない」とし「日本政府の法的責任が残っている」と明かしたのと軌を同じくするものです。


つまり、国外強制動員被害者(原爆被爆者も含む).強制労働被害者ら(800万人)、日本軍「慰安婦」被害者(20万人)らの日本企業や日本政府に対する損害賠償請求権は1965年の請求権協定には含まれないことを明白にした点で意義のある判断だと言ってよいでしょう。歓迎すべき判断です。最小限の民族的良心が残っていたようです。


歓迎すべき判断が下されましたが、強制徴用被害者に対する賠償に知らぬぞんぜぬを決め込んできた戦犯企業は、事実これまで韓国で莫大な利潤を上げてきました。自由先進党のリ・ミョンス議員は昨年の9月と今年2月に194の日本戦犯企業の名簿を発表していますが、ここには三菱以外にも日産、トヨタなど日本を代表する企業が名を連ねています。先月18日に日本の「弾道弾ミサイル」に載せられて種子島から発射されたアリラン3号の発射用役受注企業も三菱重工業でした。戦犯企業に大枚をはたいて衛星を発射してもらったという実に情け無い話です。


これら194企業はすべからく強制徴用(労働)被害者らに対する賠償を拒み続けた上に莫大な利潤を上げたのです。こうした日本の戦犯企業の態度はドイツの企業と実に対照的です。フォルクス・ワーゲンなどドイツの16企業は1990年以来、「過去の罪悪を決して忘れない」とし、ドイツ政府と共に100億マルクを隣国などの強制労働被害者150万人に対して賠償の義務を果たして来ました。


しかし、このような日本の戦犯企業の破廉恥極まりない姿だけが問題ではありません。
それ以上に外交的摩擦を恐れ、日本政府と戦犯企業に対して謝罪や賠償を要求するのを控えている李明博政権こそが問題です。憲法裁判所の判断が降りた今に至っても、在韓日本企業に対していかなる要求も行っていないのが現実です。実兄に「骨の髄まで親米であり、親日だ」と評価された李明博にそれを望むのは当初から無理なようです。