請う、ご期待!! 音楽舞踊劇 『チェジュ・パラ』 | 朝鮮問題深掘りすると?

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初老の徳さんが考える朝鮮半島関係報道の歪み、評論家、報道人の勉強不足を叱咤し、ステレオタイプを斬る。

久しぶりに「鑑賞したい!」と思わせる作品に出会いました。いえ、8月の28日に行われるのですから、出会ったというのは少し先走りのようです。管理人の期待が大きいためでしょうか。


音楽舞踊劇「チェジュ・パラ」がそれです。「チェジュ・パラ」?何のことかと思われるでしょう。管理人も「あれ?」と思いましたが、チラシにハングルで보름(チェジュ・ポルム)と書いてありましたので、すぐに理解することが出来ました。


「チェジュ・ポルム」とは「チェジュの風」と言う意味ですが、副題が「故郷はパラダイス」となっているので、パラとはこのポルムと、パラダイスをかけた言葉のようです。風のことをポルム(보룸)と呼ぶのはチェジュ島の方言で、標準語ではパラム(바람)と発音します。李朝時代の「・」の発音(ハングルではㅏ,ㅓ,ㅗの中間音であり、日本語ではア、オ、ヲの中間音と考えればよいでしょう)が、そのまま方言として残ったように思われます。


チラシ(写真が間に合いませんでした。次回の紹介でアップしようと思います)では、ストーリーを次のように紹介しています。


10年以上も前にしんだ祖母が幽霊になって孫娘の前に現れた!?
死んでも死にきれず、幽霊になってまで叶えたかった祖母の夢とは?
故郷の済州島が恋しくて,死後も故郷に帰りたいと願う祖母と、三河島で生まれ済州島を知らない孫娘の故郷探しの珍道中が始まる


さらに裏面には次のように書いています。
「故郷に帰りたくても帰れない人たちがいる。
生まれ育った土地を故郷と呼べない人たちがいる。
   故郷―――――
    誰もが思い描くその光景はいつも暖かく懐かしい。
     もしかしたら、故郷はそれぞれの心の中に存在するのかも知れない。
      故郷を求める度は自分探しの旅でもあるのだから。


「チェジュ・パラ」の主題がよく理解できる文面です。


プロデユーサーの康明姫(民族器楽団主宰)氏によれば、出演者は済州島を故郷とする人たちで固めたといいます。チラシに書いてある「故郷に帰りたくても帰れない」「生まれ育った土地を故郷と呼べない」人々が、夢の中で故郷の姿をどのように描いているのか、どのように愛しているのか、故郷に帰れずに死んでも死にきれなかった祖母の思いとはどんなものだったのかをはじめて知ることになる孫娘の心境とは?


三河島のある荒川区は足立、台東と共に済州島を故郷とする在日コリアンが、東京で1番多く在住する土地です。大阪の生野区の鶴橋や桃谷などと比肩される地域です。先に書いたように、プロデユーサーの康氏をはじめ、出演者らの多くはこの三河島出身の済州島を故郷とするコリアンで、実に興味津々な舞台になると思われます。


ところでこの作品、荒川区が共催しており財団法人荒川区地域振興公社の協力を得ています。調べてみたら荒川区は済州島と姉妹関係を結んでいるとのことです。


いわゆる「ニューカマー(韓日協定後に日本に移住あるいは一時在住のコリアン)」とは違う、植民地時代に徴用などで強制連行された朝鮮人、勉学のために日本に来たまま帰れなくなった人々、生きる糧を求めて渡日した在日コリアンとその子孫たちのあり方、考え方、生まれた土地を故郷とは呼べない彼、彼女たちの故郷に対する思いがよく分かると思います。


是非一度、ご鑑賞されることをお勧めします。


プロデュース 康明姫(民族器楽団主宰)
企画製作   民族工房
舞踊振り付け 金英蘭
音楽     朴勝哲、河栄守
脚本・演出  文玉仙
総合監督   菊池寿剛

公演日時及び劇場  2011年8月28日(日) 17:00(開場16:30)
サンパール荒川
-JR日暮里駅から 里22亀戸行き→荒川区役所 歩2分
                     草63浅草雷門行き→荒川区役所 歩2分
            -日比谷線三ノ輪駅下車 南千住方面改札を出て、明治通りを王子方面へ 歩12分
            -東京メトロ千代田線町屋駅から都電荒川線で荒川区役所下車
            -JR王子駅で都電荒川線乗り換え荒川区役所下車 歩2分

チケット料金  指定席 3,300円(ACC友の会3000円)、自由席2,800円
連絡先:政策委員会(担当カン) 080-3124-9806