資生堂TSUBAKIウインターモイスト シャンプー・コンディショナー の解析3 コンディショナー | 化粧品犬が化粧品開発を模索するブログ

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化粧品犬です。

 

今回は、資生堂TSUBAKIウインターモイスト シャンプー・コンディショナー の解析の第3回目です。

コンディショナーの処方の解析編をお送りしますす。

 

TSUBAKIウインターモイスト シャンプー・コンディショナーは、11月初旬から発売されている、恒例の冬季限定製品です。

 

これまでの関連エントリーはこちら。

資生堂TSUBAKIウインターモイスト シャンプー・コンディショナー の解析1 製品概要編

資生堂TSUBAKIウインターモイスト シャンプー・コンディショナー の解析2 シャンプー解析編

 

 

このウインターモイストは、容器も中身も、白いTSUBAKI(TSUBAKIダメージケア)に似ており、実質的に白いTSUBAKIの処方をマイナーチェンジ版になっています。

ウインターモイストは、TSUBAKIダメージケアに、単にショウガエキスなどを加えただけ、、、にも思えますが、TSUBAKIダメージケアはベースとして完成度が高かったため、このTSUBAKIウインターモイストもかなり使用感のいい処方となっています。

では、どんどん解析を進めていきます。

 

今回も、裏面の処方を整理します。

今回は対象品のほかに、冒頭でも言及した、白いツバキ(TSUBAKIダメ−ジケアコンディショナー)の裏面も整理しました。

TSUBAKIダメ−ジケアコンディショナーは2016年に出た製品が最新なので、これを取りあげます。

分かりやすいように末尾に2016年とつけました。

 

原料の配合順は裏面のまま変えずに、機能毎にパート分けし、共通の成分についてはできる限り近づけて書いていますが、場合によって近くに書けない場合もあります。

九通の成分は、共通欄に○印をつけました。

 

こんな感じです。

全体的には、ウインターモイストは、油の種類が減ってます。でも省かれた油は水添ポリイソブテンとか合成ワックスとか石油系の油が多いんですよ。だからまあいいかなぁ。

ただ同時にケア成分である、セラミド類似オイルのラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)も省かれてしまったのが、少しもったいないところです。

 

ではまず、ワックスのパートから取りあげます。

このパートは、コンディショナーではあまり変えようがないパートです。

どのこコンディショナーでも、大体似たものになります。

ウィンターモイストではべヘニルアルコールが省かれていますが、やや粘度が下がるぐらいの変更です。

 

次はコンディショニング剤のパート。

ほぼ同じ組成ですが、毛髪吸着性の高い補修用アミノ酸であるアルギニンが省かれています。

これは、ウィンターモイストは、TSUBAKIダメージケアとちがって、「ケア」をうたっている製品ではないので、やむを得ません。

全体的には、疎水基の鎖長の異なる3種類の4級カチオン(ベヘントリモニウムクロリド、ステアルトリモニウムクロリド、セトリモニウムクロリド)を組み合わせて、使用感を調節する・・・という、現在の資生堂コンディショナーの典型的な配合になっています。

 

次は変更が多かった油剤のパート。

基本となるシリコン油(ジメチコン)や、吸着力の高いシリコン油であるアミノ変性シリコン(アミノプロピルジメチコン、アモジメチコン)の配合には変更はないですが、他の油は結構変更されています。

しかし冒頭にも書いたように、省かれた油は水添ポリイソブテンとか合成ワックスとか石油系の油が多くて、省かれて惜しい油はセラミド類似オイルのラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)ぐらいです。この油はそのエモリエント効果や安全性の高さから、ちょっと惜しいけど、そもそも値段の高い油なので配合量は微量でしょう。

逆にウインターモイストは、それらがツバキ油と、エステル油(エチルヘキサン酸セチル)に集約されたと考えれば、それはそれでいいですね。エチルヘキサン酸セチルは滑りが良く、ファンケルのマイルドクレンジングオイルなど、最近のクレンジング製品には欠かせない油です。まあ詳しく調べると、エチルヘキサン酸セチルは、原料の半分は石油由来で、半分だけが植物由来なんですが(^_^;)

 

次は粉体のパート。

ここは配合されていません。

TSUBAKIダメージケアではトリートメント成分として尻コアが配合されていたのですが、コンセプトの違いからウインターモイストでは省かれたようです。

 

次は防腐剤のパート。

シャンプー同様、パラベンをサリチル酸に置き換えているようです。

サリチル酸はイボコロリで有名ですが、防腐性や刺激性はパラベンと似た成分なんですよ。

 

最後は保湿剤のパート。

ここでは、シャンプー同様に、ウィンターモイスト最大の特徴原料であるショウガ根茎エキスが配合されています。

またおそらくですが一緒に配合されているトウガラシエキスで効果を相乗させているところも、シャンプー同様です。

これらで、じんわりあったくなるようです。

その軽い刺激と言うか、ほんのり温かい感じは、感じる人と感じない人がいる程度の弱い感じです。

正直お風呂では分かりにくいのですが、頭皮の弱い人は、注意が必要でしょう。

ショウガ根茎エキスの効果は、化粧品的な物としては、血流促進、抗炎症、抗酸化等になります。

ケア成分のコンキオリン(真珠タンパク)は省かれています。前述のように、ウインターモイストはダメージケアをうたった製品ではないのでやむなしです。

アミノ酸の一種のメチルタウリンNaは、ケア成分だと思うのですが、なぜか省かれませんでした。シャンプーでアシルメチルタウリンを省いてしまったので、後ろめたくて残したのかな(^_^;)

 

また最近のTSUBAKIの配合と同様に、このコンディショナーでも保湿成分「椿麹S」が配合されています。

これは、アスペルギルス/ツバキ種子発酵エキス液+ソルビトールです。

詳しくは下の原料ごとコメントに書きました。

 

これで解析終わりです。

解析だけ見るとつまんないんですけど、使用感はなかなかですよ。

ケア成分を微妙に省いたのが、逆に髪への残り感が適度に弱まっていい結果を出してしまったような気もします。

こうなると、ショウガとかじんわりあったまるとかむしろいらない感じかなぁ。

頭皮の弱い人には進めにくい。

まあ目先が変わっていて安いので、特にTSUBAKIが食わず嫌いの人に、試してもらいたい製品です。

 

 

あとは、パート毎の成分についてコメントを書いていきます。

 

ワックス

・ステアリルアルコール:ヘアコンディショナーやトリートメントによく使われるワックス成分(固形油脂)のひとつ。やや硬めのクリームに仕上がる。

・セタノール:ヘアコンディショナーやトリートメントによく使われるワックス成分(固形油脂)のひとつ。

 

コンディショニング剤

・ベヘントリモニウムクロリド:近年では最も人気のあるトリートメント基剤。分子の形を見ると、水をはじく疎水基と呼ばれる部分が長いため、長鎖型カチオンと呼ばれることもある。以前よく使われていたステアルトリモニウムクロリドに比べ、油性感・しっとり感・仕上げの柔らかさに優れる。

・ステアルトリモニウムクロリド:一昔前はどの会社も使っていた、代表的なトリートメント基剤。くし通りがよく、柔軟な髪に仕上げることができます。

・セトリモニウムクロリド:一般的に使われているコンディショナー基剤で、四級カチオンと言われる成分の1つ。髪の柔軟化効果は油性感はやや低いが、すべり感は高い。

 

 

油剤

・ジメチコン;化粧品に使われている一般的なシリコンオイルのこと。化学的には直鎖状のシリコンを指す。

・アミノプロピルジメチコン:シリコンの吸着性を高めたアミノ変性シリコンの一種。

・ツバキ種子油;TSUBAKIの語源となっている素材。いわゆる椿油のこと。不飽和結合としてオレイン酸を多く含むため、比較的酸化されにくいという性質がある。

・エチルヘキサン酸セチル:顔料分散性に優れ、軽くさっぱりとした使用感の低粘性の油剤。エチルヘキサン酸とセチルアルコールを結合させたエステル油であるが、細かく調べると、エチルヘキサン酸は石油由来で、セチルアルコールは植物由来となっている。

・ミリスチン酸イソプロピル :軽く滑りの良い感触のエステル油。かつて薬事法で表示義務成分に指定されており、スキンケアで使用する場合は要注意。

・アモジメチコン;アミノ基をつけて毛髪への吸着力を高めたシリコン油。

・トコフェロール:別名ビタミンE。油性成分ですが、酸化安定剤として働きます。

 

防腐剤

・サリチル酸:殺菌作用が強く角質溶解作用もある防腐剤。化粧品の防腐剤としては0.2%以下の添加であるが、医薬品用の角質溶解剤としては、2〜50%配合の軟膏が作られている。また化粧品や医薬部外品のふけ防止用ヘアトニックや育毛用のヘアトニックの他、ニキビ防止用の製品人も用いられることがある。

・安息香酸Na:広く使われている、比較的低刺激な防腐剤。食品にも使われる。

・フェノキシエタノール:比較的低刺激な防腐剤。ナチュラル系の化粧品に使用される事も多い。

当ブログでは、安全性については以下のエントリーで詳しく書いてます。

ロピルパラベンの安全性についての文献を紹介

 

保湿剤、増粘剤他

・水:精製水のこと。化粧品では通常、イオン交換水が用いられている事が多い。

・イソペンチルジオール:別名をイソプレングリコールとも言う。名前は抗菌性の高いペンタンジオールと似ているのですが、それほど高い抗菌性はなく、BGと同程度の弱い抗菌性を有する保湿剤です。

・グリセリン:多価アルコールと呼ばれる、代表的な保湿剤。

・ソルビトール:糖系の天然保湿剤。資生堂のオリジナル成分「椿麹S」のSは、ソルビトールを意味しています。

・DPG:汎用的な保湿剤。各種成分を溶かす能力も高い。やや抗菌性がある。ネットでは安全性について疑問の声もあるが、ほぼ誤解だと思われる。詳しくは以下のエントリーに書きました。

牛乳石鹸 カウブランド 無添加シャンプー・トリートメントの解析 番外編 DPGの安全性

・乳酸:pH調整剤。AHAの一種でも有り、pHによってはピーリング効果を示すこともある原料。

・トウガラシエキス:育毛剤やスカルプシャンプーによく使われているエキス。刺激が強く血流促進効果が高い。

・ショウガ根茎エキス:ショウガから作られたエキス。その効果は多岐にわたるが、化粧品的な物としては、血流促進、抗炎症、抗酸化等が上げられる。

・アスペルギルス/ツバキ種子発酵エキス液:最近のTSUBAKIは保湿剤「椿麹S」配合、というのが売りです。「椿麹S」とは、「椿麹」と「S」の個雲号物という意味なのですが、このうち「S」は糖系保湿剤のソルビトールを指しています。処方からわかるように、この処方はソルビトールが多く配合されていますね。

残った「椿麹」が指しているのが、このアスペルギルス/ツバキ種子発酵エキス液です。

アスペルギルス/ツバキ種子発酵エキスですが、資生堂のHPの中に特集ページがあります(^_^;)

それによると、

「椿油を絞ったあとの豊富な美容成分が残っている椿の種に、麹菌を加えて発酵させ、そこから抽出したエキス」

とのことです。

特集ページ

・イソプロパノール:アルコールの一種だが、エタノールより強い臭いがあり、化粧品で使われる事は少ない。殺菌力もエタノールより強いが、安全性は同程度と言われている。トリートメント基剤となるカチオン活性剤の溶媒として使われている事が多い。

・メチルタウリンNa:pH調整のために配合される。アミノ酸の一種であり、保湿力は高い。タウリン合成時にアンモニアのかわりにメチルアミンを用いることで合成される。洗浄剤の原料の他、合成浸透剤や染料合成用中間体としても用いられている。

・エタノール:

・PPG-2-デセス-12:油の可溶化力が高い乳化剤の一種。乳化物では、粘度調整のために配合されていると思われます。

・EDTA-2Na、EDTA-3Na:キレート剤、製剤のpHを維持し、酸化や着色を防ぐなどの効果がある。

・BG :多価アルコールとも呼ばれる、グリセリンの親戚のような保湿成分です。若干の抗菌性があります。