牛乳石鹸 カウブランド 無添加ボディソープと無添加せっけんの解析2 ボディソープ解析編 | 化粧品犬が化粧品開発を模索するブログ

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大手会社の開発に勤務していましたが、好きな化粧品を好きなだけ追求するため円満退職。
ノラ犬となった化粧品犬が、面白いと思った情報を発信していくブログです。
化粧品コンサルタントとして仕事も受けています。
パームアミノ・ラボ合同会社 imori@palmamino-labo.jp

化粧品犬です。

牛乳石鹸さんのカウブランド 無添加ボディソープと無添加せっけんの解析をやっています。
今回はその2回目です。
無添加ボディーソープの処方の解析を行います。
この製品です。


一応いつものように、解析前の前口上として、DPG(ジプロピレングリコール)について書いておきます(^_^;)
無添加ボディソープは、この無添加シリーズ共通の重要成分である、DPG(ジプロピレングリコール)を多めに配合する事で、水分の活性を下げ菌が繁殖しにくくすることで、防腐剤無添加を実現している商品です。
これについての牛乳石鹸さんの、公式ページでのコメントはこちら
防腐剤を抜いたら商品が腐りやすくなるのでは?
http://www.cow-mutenka.jp/web/question/0209102616/
またDPGは、ネット上では安全性に懸念が寄せられている成分なのですが、化粧品犬は安全性には問題ないと思っています。
それについての化粧品犬のエントリーはこちら。
牛乳石鹸 カウブランド 無添加シャンプー・トリートメントの解析 番外編 DPGの安全性
http://ameblo.jp/kesyouhinken/entry-12115752613.html
さて前口上も終わりました(^_^;)

この無添加ボディーソープは着色料、香料、防腐剤、品質安定剤 など全て無添加が売りの商品ですから。
成分数が少ないので、普通にやると簡単に終わっちゃいます(^_^;)

そこで、何かと比較しながら解説していこうと思うのですが、この無添加ボディーソープは防腐剤が入ってなかったり、皮膚刺激が極端に低い設計になっていたりして処方の個性が強いです(外観は何となく地味ですけど)。
なので、何と合わせるか色々なやんだのですが、結局、製品概要編でも出したんですが、防腐剤の入っていない製品と言うことでスピカ全身シャンプーEX(スピカココ社)を選びました。

それと、洗浄成分が石けん系(脂肪酸)のみ、と言う事でコーセーのサボン・ド・ブーケ エッセンスボディソープを選ぶ事にしました。
サボン・ド・ブーケ エッセンスボディソープの製品詳細については、こちらのエントリーをご参照ください。


では早速いつものように、裏面に書いてある処方を整理してみます。
無添加ボディソープの処方と共に、スピカ全身シャンプーとサボン・ド・ブーケの書府も併記します。
整理した表を、下記に示しました。


では表の上の方から見ていきましょう。

まず洗浄剤のパートです。
無添加ボディソープはミリスチン酸、パルミチン酸といった刺激の低い脂肪酸(石けんの成分)に、低刺激なアミノ酸系洗浄成分であるアシルグルタミン酸を併せる組み合わせです。
また、コカミドMEANという成分も入っていますが、これは別名を脂肪酸アルカロールアミドというノニオン界面活性剤と言われる成分の一種です。スピカ全身シャンプーに配合されているコカミドDEAという成分も類似の成分です。
沢山入れても泡は少ししか立たない成分なのですが、製品全体のの増粘助剤及び増泡助剤的な効果を発揮する物です。脂肪酸アルカロールアミドは刺激も低いのですが、たくさん配合すると、泡立ちが悪い割にべたついてさっぱり感は無くなってくるので、普通はたくさんは配合されません。

無添加ボディソープの特徴は、ミリスチン酸が一番多く配合され、普通は入っているはずの泡立ちの良いラウリン酸や、ラウリン酸を含むヤシ油脂肪酸(ココナッツ油)やパーム核油脂肪酸と言った成分が配合されていない事です。
ラウリン酸は泡立ちは良いのですが、入れすぎると刺激の原因になってしまう成分なのです。
よってこの製品は、「ボディソープって刺激が強いよね」・・・って思っている化粧品犬のような人間には、本当にありがたいです。

そう言う意味では、サボン・ド・ブーケも、ミリスチン酸主剤で中々低刺激です。しかし、サボン・ドブーケは同様にミリスチン酸主剤であるものの、こちらはミリスチン酸以外にヤシ油脂肪酸Kが配合されていますね。
実はヤシ油脂肪酸は、50%近くがラウリン酸で出来ているので、これを配合するとラウリン酸を配合する事になってしまうのです。まあヤシ油脂肪酸の配合順位は低いのでたいした量では無いと思うし、サボン・ド・ブーケを使っても、体がにも痛い・・・という程の刺激はありません
しかし、サボン・ド・ブーケと無添加ボディソープを使い較べると、サボン・ド・ブーケにあるような、肌のちりちり感のような微妙な刺激は無添加ボディソープの方にはありません。
サボン・ド・ブーケには、ヤシ油脂肪酸の刺激だけでは無く、防腐剤やエタノールや香料なども含まれているのでそれらの合わさった刺激かもしれません。

まあ、サボン・ド・ブーケに香料(香り)とか大好きですけどね(^_^;) 無添加ボディーソープは、においしないし。
サボン・ド・ブーケに刺激がある風に思われてしまうかもしれませんが、これは比較の問題なので。
サボン・ド・ブーケも普通のボディソープと較べると全然低刺激で、香りが良くて癒される製品だと思います。

またこれらと比較すると、スピカ全身シャンプーはコカミドプロピルベタインが主剤なので、脂肪酸(せっけん)主剤の無添加ボディーソープやサボン・ド・ブーケに比べて泡立ちが悪いです。コカミドプロピルベタインは脂肪酸系の補助として使うと良い感じになるのですが、主剤にするとかなり泡立ちが悪い感じです(^_^;)
スピカ全身シャンプーはは裏面を見るとラウリン酸も配合されているのですが、とにかくスゴく低刺激な製品ですので、そこから逆に考えると、ラウリン酸の配合量は相当に少ないと思われますね(^_^;)配合順位も低いです。
また余談ですが、スピカ全身シャンプーは防腐剤を配合してないんですよね。無添加ボディーソープのようにDPG(を配合しているわけでもない。成分数もとても少ないので、その中でから考えると、コカミドDEAを多く配合して、防腐しているのでは無いかなと思います。いってみれば液状であるコカミドDEAに、無添加ボディーソープにおけるDPGと同じ役割をさせるわけです。中々巧妙です(^_^;)
ただ前述したようにコカミドDEAは、単独では泡立ちも良くなくさっぱり感が落ちてしまうので、あまりボディーソープ向きでは無いですね。

次はコンディショニング剤オイル類のパートです。
たいした物は入っていませんが(^_^;)
ジステアリン酸グリコールは、製剤にパール光沢を付けるためによく使われている成分です。
とりえあえず固形油として分類しています。

次は防腐剤のパートです。
、無添加ボディーソープは何も入っていません。
そのためにDPGという保湿剤を多く配合して腐りにくい環境を作っています。
スピカ全身シャンプーも無いも配合されていません。
前述のように、コカミドDEAにDPGと同じ役割をさせていると思われます。
サボン・ド・ブーケはサリチル酸、フェノキシエタノール、安息香酸Naと色々入ってますが、防腐剤としては普通レベルだと思います。無添加ボディーソープとスピカ全身シャンプーが、変わった処方なのです。

最後に保湿剤香料類のパートです。
DPGが多いです(^_^;)
DPGについては前述の通り。誤解の多い成分ですが、化粧品犬には明確に問題あるとした、ちゃんとした文献は見つけられていません。逆にメーカーがきちんと取った、皮膚刺激はないというデータはあります。
詳しくはこのエントリー冒頭のリンクでどうぞ。
PEG-9Mはポリエチレングリコールと呼ばれる成分で、増粘・増泡助剤の効果のある成分ですがそれ自身は泡が立たないのでここに分類しました。

これで終了。

最後になりましたけど、この処方はミリスチン酸主剤という所が本当に良いです。
ミリスチン酸はラウリン酸以外では唯一、泡立ちが良い脂肪酸なんですよ(ラウリン酸ほどは泡はたたないが)。
しかも刺激も無い。でも、ラウリン酸はヤシ油やパーム核油にたくさん含まれているので簡単に採れて値段も安いんですが、ミリスチン酸はたくさん含有している植物ってあまりないんです。精製しないといけない。
なので少し値段が高いのが難点でもあるんですよね。
しかしそれだけに、天然油をけん化させた石けんを越えた商品が出来る可能性があるわけですよ。
この無添加ボディーソープのようにミリスチン酸をたくさん配合しようと思ったら、天然素材だけだったら一緒にラウリン酸もついてきちゃいます。
例えば石けん素地を使って、低刺激なボディーソープを作ろうとしても、石けん素地は天然だけどミリスチン酸だけでなくラウリン酸も入っているので、完璧な低刺激は無理、みたいな(^_^;)
逆に工場で、石けん素地からミリスチン酸を精製するっていう方法の方が、刺激の低い製剤作りに有効かな、と思えるのがちょっと皮肉な感じです。

次回は無添加石けんを解析する予定です。