コーセー ジュレーム シャイニーリペア シャンプーの解析 | 化粧品犬が化粧品開発を模索するブログ

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大手会社の開発に勤務していましたが、好きな化粧品を好きなだけ追求するため円満退職。
ノラ犬となった化粧品犬が、面白いと思った情報を発信していくブログです。
化粧品コンサルタントとして仕事も受けています。
パームアミノ・ラボ合同会社 imori@palmamino-labo.jp

(2015.5.14保湿成分についての記載を修正しました)
化粧品犬です。
今回は、ジュレーム シャイニーリペア シャンプーをとりあげます。

ジュレームはラインナップは結構複雑で、5つの製品があるのですが、処方的に二つの系統に分かれています。

1)アミノ酸系界面活性剤が多く配合されているジュレームアミノシャンプー系2種。
2)アミノ酸系界面活性剤が少なく配合されているジュレームシャンプー系3種。

1)のアミノ酸系界面活性剤が多く配合されている系は、既に一品解析しました
今回は2)のアミノ酸系界面活性剤が少なく配合されている系を解析してみることにします。

@COSMEでは、クチコミ 313件ですが、クチコミ評価3.4点と(^_^;)
結構、低くとどまってます。
2)の系統は、実はトリートメントもノンシリコンという、ALLノンシリコンで統一感のある処方なのですが、どうしてでしょうか・・・というのが今回のエントリーのポイントです(^_^;)

まずは写真を上げますね。
今回も、トライアルセットを買ってます(^_^;)

値段は本製品は、シャンプー本体 500ml 900円と結構高め。
中身によらず、シリーズ統一価格です。

商品の説明は、以下の感じです。

1) 髪を芯から補修する、ALLノンシリコンのヘアケアシリーズ。
ノンシリコンなのに、これまでにない補修力。

2) 洗いながら髪を補修する浸透性に優れた天然アミノ酸誘導体と髪を包みこんでうるおいを逃さないヒアロベール(高密着ヒアルロン酸)配合
ラウレス硫酸Naフリー、弱酸性、無着色、ノンアルコール、無鉱物油、動物由来原料フリー。

3) 自然の恵みで髪をうるおす、森の恵みのうるおい成分配合。さらさらキラめく髪へ。
天然香料使用でこだわりの香りが長時間続く。穏やかにこころ癒されるような森の香り

だそうです。
先にやったジュレームアミノシャンプー モイスト&スムースとの違いは?という点で見ると。
まずは、シャンプー、トリートメントともにノンシリコン(これをALLノンシリコンと呼ぶようです)。そして補修力であると。

セールストーク的にはそういうことらしいのですが、本質的にはどこが違うのかが、興味の出るところです。

さっそく、処方を整理してみます。



まずは洗浄剤から見ていきましょう。
前に取り上げたジュレームアミノシャンプーでは、アミノ酸系界面活性剤のココイルグルタミン酸TEAが使われていたのですが、これが同じアミノ酸系のココイルメチルタウリンNaに変更されています。
また、配合量がぐっと減らされています。

このココイルメチルタウリンNaという活性剤は、アミノ酸系の仲間ではあるのですが、コンディショニング剤を髪に吸着させる、通常のアミノ酸系の活性剤の独特の効果には劣ります
また、逆に泡立ちはやや早い特徴があります。
これは、ベースになっているタウリンという物質が、普通のアミノ酸とは異なり硫酸基を持っていることに原因があると思われます。
乱暴にいってしまうと、使用感としては、アミノ酸系の活性剤とラウレス硫酸などのサルフェート系の活性剤の中間にいる活性剤なのです。(製造方法はアミノ酸的ですが)。

このココイルメチルタウリンNaを少量に使うことで、このシャンプーの使用感は、全体としてサルフェート系のオレフィン(C14-16)スルホン酸Na寄りになっています。
オレフィン(C14-16)スルホン酸Naについては、前エントリーを参照してください。
決して悪い成分ではなく、古い成分なのです(^_^;)
石油化学華やかなりしころの、遺産です(^_^;)
(以下、オレフィン(C14-16)スルホン酸Naは、化粧品でよく使われる呼称のAOSと呼びます)。

つまり、この処方はとっても泡立ちがよく、脱脂感もそれなりにある感じです。
悪いことばりりかりでなく、髪の根元が立ちやすいとか、比較的ふんわり仕上がるなどの特徴があります。

ちなみにタウリンとは、ファイト一発!疲労回復!のCMで出てくるあのタウリンと同じものです。
タウリンは、通常のアミノ酸と異なり、たんぱく質を構成することはできないのですが、体内で生成される活性酸素や過酸化水素の除去をやってくれたりする、重要な生態成分です。

そのタウリンから作られたココイルメチルタウリンNaですが、世の中に広く広めたのは資生堂さんのスーパーマイルドシャンプーでした。AMTといって大きく販促していましたね。
当初は資生堂さんが独占的に使用していましたが、資生堂さんの使用量も減ったせいか(^_^;)、今ではどこの会社でも使えるようになったいます。

残りの洗浄剤のコカミドプロピルベタインと、ココアンホ酢酸Naは、価格が安いのが特徴。これを併用することで、全体の価格が下がります。

また、PPG-2コカミド、ラウリン酸PEG-2、コカミドMEAは、増泡・増粘助剤です。

コンディショニング剤は、メインのポリクオタニウム-10とヒアルロン酸ヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドについては、ジュレームアミノシャンプーとかわらないので、前エントリーを参考にしてください。
違うのはアーモンド油とコーン油の配合ですね。

こういう、食品系のオイルで毛髪をケアするというのはヨーロッパ系のヘアケアではよくある手法です。
ヨーロッパ風の言い回しでは、「髪に栄養を与える」と言ったりしますね。毛髪は死んだ細胞なので栄養与えても仕方が無いだろとか思いますが、まあ、そういう言い回しなんですね。
これが、この商品のセールストークにある、「髪を芯から補修する」というところなんでしょう。

コーン油は珍しいですが、アーモンド油はスキンケアでもよく使われている油で実績もあるし、下手に合成油を使うよりは好感が持てます。

防腐剤に移ります。
メチパラと安息香酸Naですね。
メチパラは気になるのですが、コーセーさんはプロピルパラベンというもっとまずいものを使ったりしますから、それよりはましです。

保湿剤、香料に移ります。
前に取り上げたジュレームアミノシャンプーにも配合されていたトリプル保湿成分はこの製品でも健在です。
トリプル保湿成分とは、ヒアルロン酸ヒドロキシプロピルトリモニウム、加水分解ヒアルロン酸、ジラウロイルグルタミン酸リシンNaの3種のコンビネーションの事になります。
ですがシャイニーリペアシャンプーはダブル保湿成分になってます。
つまり、ヒアルロン酸ヒドロキシプロピルトリモニウム、ジラウロイルグルタミン酸リシンNaの2種に減って継続しています。

あと、6種類のエキスが並んでいますが、
これはコーセーさんに資料によっては、3種の赤い果実エキス(アセロラエキス、カニナバラ果実エキス、クロフサスグリ果実エキス)と、3種の根成分(アルテア根エキス、シャクヤク根エキス、トルメンチラ根エキス)と分けて説明してあるものがあります。

コーセーさんの資料では各エキスの説明は全く無いのですが、化粧品犬が勝手に調べたところでは(^_^;)、3種の赤い果実エキスは保湿・収斂・美白と言った効果が有り、3種の根成分には保湿・収斂のほか、抗老化作用があるようです。

前述のアーモンド油+コーン油+3種の赤い果実エキス+3種の根エキスを合わせた効果で、この商品の「シャイニーリペア」を達成しようとしていると思うのですが。
開発陣とマーケッターの仲が悪いのか、宣伝素材はいまいちだし、説明資料に統一性は無いしで、今一つ商品内容が伝わりません。
今回相当、想像で補ってしまったし(^_^;)
ちょっと残念です。


エキスがかなり入っているせいか、イソステアリン酸PEG-50水添ヒマシ油やトリイソステアリン酸PEG-20グリセリルという乳化剤が配合されており、全体を均一に混ぜる効果のある可溶化剤と言う成分が入ってます。

最後になりましたが、この製品、香りがかなり失敗していると思います
森っぽい香りにしようと思ったのでしょうが、ヒノキ水とクローブ?の臭いが強すぎて、日本人には合わない感じです。海外のナチュラル系にはある香りですが。
@COSMEでの批判も香りに集中しているようです。
もう少しフローラルに振るかウッディに振るかしたほうが良かったんじゃないかな(^_^;)
と思いました。

香りは大事ですよ。
普通の人に、香りはそれはそれとして使用感を評価してくれと言ってお無理ですしね。


本項は以上です。