「賃上げ」がすべてだと主張する人たちは、社会主義者に違いない。

 

賃金は、企業業績に左右される訳で、分配財源がなければ賃上げはできない。

 

テレ朝の玉川なんかは、「大企業は内部留保で、お金をためている」と、京大卒業してもまだこんなあほなことをいう。内部留保=現預金ではない。設備投資や会社買収などの財源になるのだ。

 

海外では、左翼政権のもとで、最低賃金を異常な高さに引き上げたら、企業競争力は低下するし失業するという話になっている。しかし、一度、引き上げたら戻せない。

 

そもそも、本当に我が国賃金水準が低いのか、という問題がある。

よく過去〇年間の指数でみると、韓国にすら負けているなんていうが、出発点の日本の賃金はバブル期の高水準が出発点にある。また、問題は、消費者物価との関係での賃金上昇の問題だと気付けば、日本の賃金水準がどこよりも低いなんてことはない。

 

海外の先進国での勤務者に聞くと、賃料はバカ高(2倍ー3倍)、外食もバカ高、サービス料がバカ高、一方で、基本的な食糧費は日本より安いものもあるし、都市内交通は安いなど。外国で、残業しないのは、残業代より外食の夕食代の方が高いからだという。飲みに行くにも「ハッピーアワー」だけ。夕食は家で食べないと生活が成り立たない。そもそもドイツの主食は、じゃがいもとライムギパンである。

 

思い出せば、90年代、円高と人件費の高騰で我が国の工場の海外移転や海外直接投資が増加し、地方雇用は喪失して空洞化が進んだ。繊維分野など日本で縫製技術が残るところなどわずかであり、早晩、日本では誰もミシンが扱えなくなるのは確実だ

 

一方で、現在は、円安にあり、もし本当に人件費が安いなら、産業競争力のベースが上がっているのだから、なぜ生産性が向上しないのか。賃上げを抑制して、競争優位に立たないのか。短期的にはともかく、長期的にみれば、失地回復のチャンスだ。

 

現在、ドイツでは、人件費の高騰、エネルギー価格の高騰で、国内生産拠点が空洞化が問題となっていることは、全然報道されない。

 

みな、口々に、賃金は安すぎて、働く気がしないとか平気で口にする。

政府は、とにかくインフレにしたい。なぜか、1200兆円の国債の実質価値が減少するからだ。本来は金利もあがるはずだが、だからこそ、日銀に口をははさむのだ。

 

本来、金利は名目物価上昇率と連動してよいはずだ。せめて長期金利3%で当たり前のに、現在は1.6%程度。数年前はこれがゼロ%であった。長期金利+1%で、国債の利払いは12兆円増加する。消費税+6%相当である。これには、いきなり増える訳ではなく間違いだと大声で論案する人がいるが、現在の国債残高の平均残存年数は10年なので、10年後に向けて徐々にこうなる。もし+3%までいけば、+36兆円であり、これは社会保障費に匹敵する規模である。もちろん、利息は大半は直接間接に国民に落ちるし、税金にかかるから一部は国庫に戻るから、相殺される部分はある。

 

私は、リバタリアンではないが、精神的な自由権や経済的自由権でも、古典的なベースを尊重するべきだと考えるし、市場の失敗なんかより政府の失敗の方が罪が重いと考えている。マスコミも有識者とかいう人は、失われた30年とかいって論難するが、

なぜ、さらに政府関与を強めて社会主義を志向するのか理解できない。

 

財務省を解体するのではなく、そもそも、政府の役割を限定すればいい。単純に社会保障をやめれば、国民負担率は米国並みの35%くらいになるだろう。

 

一方で、社会は荒れるだろう。公的なセーフティーネットにかわり、個人の自立、そして家族や地域などの共同体によるセーフティーネットの復活、NPOなどの中間団体の担う役割が増加するほかなくなる。当然、出生率が回復しなければやっていけなくなるだ。また、平均寿命は短期化するが、正直、長生きしすぎ。75歳くらいなるだけでどれだけ公的負担が減るかちょっと計算すればわかるが、タブーとされている。多額の国の研究費を使って長寿化を試みる研究があるが、そんなの中国の金持ちの金でやれ。

 

最初のテーマに戻るが、賃金を上げたければ、投資(設備・情報投資など)を通じて、労働生産性をせめて先進国並みに押し上げるが第一で、目先の利益にとらわれると、また負け続けるだけだ。我が国の現状というのは、滅びゆく過去の地方名門企業みたいなものである。