春のフィラテリック・イベントを終えて | 郵便・切手から 時代を読み解く

郵便・切手から 時代を読み解く

切手コレクター必見! 経済評論家にして郵便・切手評論家でもある池田健三郎が、辛口トークと共に「ゆうびん」や「切手」を通じて時代を読み解きます。
単なる「切手あつめ」や「郵便物コレクション」とは次元の違う、奥深き大人のライフワークの醍醐味をお伝えします。

既報の通り、先週末から今週初にかけ、新設のNPO法人郵趣振興協会の初の公式事業である「郵便制度史展2017」はじめ、個人的に楽しみにしていた、「国際展ルール勉強会」やその後の「スタンペディア オークション」など、押上・浅草エリアで行われた一連の郵趣イベントが終了しました。勿論、制度史展の「裏番組」である「スタンプショウ2017」も堪能してきました。

 

まず、スタンプショウ2017ですが、今年はベルばら特集ということで、6階の展示会場は多くのファンの方で賑わっていました。

 

審査基準が公表されず心配していた、初回の「日本切手フリースタイル コンテスト」も楽しい作品がたくさんあり楽しませていただきました。

 

トピカル展では、喜望峰のウッドブロックの刷色エラー2種揃いをみることができ、眼福でした。

 

特筆すべきと思ったのは、切手商ブースと研究会(旧部会)ブースが並ぶ7階フロアは、6階とはまったく客層が異なり、とても単一のイベントとは思えぬ様です。6階だけを観て帰るひとには、ぜひ7階にも上がってもらい、こういうdeepな世界があることを実感していただきたいものです。

 

(スタンプショウ会場入口にて)

 

日曜日は朝9時間半から東武浅草駅近くのビルで「国際展ルール勉強会」があり、参加してきました。

 

朝から30名もの参加があったことにはびっくりですが、皆さん、それだけスコアの向上に高い関心があるということなのでしょう。

 

内容も非常に示唆に富んだもので、インポータンスに関する概念を頭の中できちんと整理する良い機会になったと思います。

 

結局のところ、自分が集める対象を変えることはできないので、マクロ的インポータンスは変えられないが、同じ分野のコレクションの中における自分の作品位置、すなわちミクロ的インポータンスは改善する余地があるということが結論だと自分なりに受け止めています。

 

今後「アートの領域に入れても違和感のない作品」をどう作ろうかと、いろいろと思案し始めています。

 

今回の勉強会は、どちらかというと「作品づくり原論」に近い理論に重点をおいた講義だったので、今後はどこかで「実践編」の講義やワークショップを開催していただけるとありがたいと思いました。

 

(国際展ルール勉強会にて)

 

勉強会のあとは、僅か30分のインターバルで「スタンペディア オークション」があるので、大急ぎで昼食をとり会場に戻りました(せめてランチ休憩は60分欲しいです)。セール開始後はオークショニアの木戸さんは、概ね手際よく進行していましたので安心して参加することができました。セールは一部のロットでは結構盛り上がり、落札総額も規模に対してまずまずの結果だったのではないかと感じました。私も小さいものを3点ほど落札。

 

(新オークショニアの木戸氏)

 

売り物が洪水のように出てくる時代ですから、私よりも若いオークショニアが誕生し、持続可能なビジネスを展開してくれることは心強いものです。日本関連の郵趣品の資産価値が将来にわたって維持されないとなれば、わが国におけるフィラテリーの魅力はかなり減衰すること必至なのですから。

 

というわけで、上記の春の郵趣イベント期間中、多くの皆様と交流させていただく機会がありました。お世話になった皆様、どうもありがとうございました。