冬の季語にラグビーが入っている事が
日本人の懐の深さだなあと思うし
松任谷由実の「ノーサイド」は
何年経っても胸に沁みるものがある。
ああ寒いなあと手を擦る日々が
徐々に暖かくなり、
おいおい今でこんなに暑かったら
この夏どうなるの!?という期間が
ラグビーのハイシーズンなのだから
やる方はもちろんのこと、
見る方にもある種の覚悟を迫る。
熱戦がいくら繰り広げられても
足元は確実に冷えるし、
腰や膝は冷えから痛いし、
手先はなるべくポケットに突っ込み
さらに姿勢が悪くなるのだが
それでもフィールドを見つめる
その目線からはとばしる熱は本物で
やはりいいスポーツだな、と
毎度毎度感じる。
さて、今シーズンの大学カテゴリーの
全ての日程が、先週終わった。
関東協会の狙い通りのマッチメイク
決勝は伝統のカード、ドル箱確定。
国立のくせにネームライツ
しているあたり、
浅ましさを拭えない
MUFGスタジアムという過分なハコを
5万人近い観客が埋め尽くす。
このカードは例年、ラグビーファンと
早稲田・明治ファンのカオスであり
正直、少し食傷気味でもあるが
其れでも臙脂と紫紺の戦いは
毎度何が起こるかわからないから
不思議で面白いので
熱狂を少し斜めから見る自分とは
裏腹に、不覚にも見入ってしまう。
ジャイアントキリングが最も起きにくい
競技といっても過言じゃないこのスポーツで
今シーズンの対抗戦の勝敗は異常だった。
それだけ拮抗していたし
それだけ未完成だった、とも言える。
チームビルドにおいて、
どのチームにも伝統というマンネリと
革新という不明確さを
いい配分で混ぜないと勝てない
というのが近年のトレンドであり
今年はそのチューニングを
どのチームも苦労していたように思う。
そんな混沌とした中、
終盤に勝ち切った明治が1位で通過
早稲田は最終戦の早明戦での
敗戦の影響で3位になった。
素材は明治、実力は早稲田と
予想しており、例年以上に
激しい試合になるだろうと予測したが
蓋を開けると、まさかまさかの
明治の横綱相撲であった。
早稲田目線でいうと、
準備してきた戦術が
反則の影響で緩まったことと
パニックになったときに、
個の力で打開しようとし
そうできなかったこと。
何より、セットプレー
ラインアウトの不安定さが
試合をより難しいものにした。
このチームを大きく分けたのは
今日の題名である、個性と没個性。
有名選手が有名選手たるラグビーを
展開した早稲田は個性を活かした戦略
世代を代表する選手群の中で
勝ち取ってきた選手たちが
15人、23人でメイジを体現した
没個性の戦略
その結果、文句なしの出来で
明治に軍配が上がった。
俺がやらねば誰がやる。
という気迫溢れたプレーは
ともすればスタンドプレーになってしまい
誰がやらずも、俺がやる。
という組織を意識したプレーは
一枚岩となり、何人たりとも通さない。
古いサッカーの言い回しで言えば
イタリアの伝統的主義カテナチオ。
取られなければ、負けることはない、
という、ともすれば消極的にも聞こえる
鉄壁の戦術、退屈な体現は
世代スター選手がずらり並ぶチームには
ふさわしくないようにも思うが
誰かのために、自分が身を呈す
というラグビーの基本原則に則るのなら
明治の徹底されたそれは、あっぱれだった。
チームづくりを軸に解説する
元日本代表の二人が、公然と早稲田を
口撃したのも、
チームとしての直向きさ、完成度、
そして一体感が欠如していることを
端々のプレーから感じたからだろう。
どれだけいい素材を集めて
どれだけいい機材を揃えて
どれだけいいレシピを持っていても
カレーをかけたら、全てカレーになる
という言葉を最近僕は
自分に言い聞かせるように
テーマの一つにしているが
作り手の不手際、すなわち
チームビルド、マネジメント層に
勝敗の原因は帰結するわけだ。
そんな早稲田の監督は、
「自分の責任だ」と明言した。
素晴らしいことだと思う。
最良の敵は、良であり
創造的破壊が組織の新陳代謝には
絶対に必要なのだから
今回、ベスト4で負けた帝京にせよ
今回の準優勝の早稲田にせよ
その点を鑑みて
らしいけど、違うチームを
ビルドアップしてくるだろう。
終盤の早稲田らしさからのトライは
ブースター(16番以後のメンバー)が
今シーズン抱いていた
「らしさ」と「すべき」のギャップを
ぶち壊すようなムーブだったと思う。
選手に尊厳を持ち、
でも、だからこそ、その選手に
チームのために自発的に
没個性に向かわせられるのか。
これは、何もラグビーだけじゃなく
チームスポーツ、チームビルドの
永遠の課題であり示唆だと
改めて感じた、ナイスゲームだった。
両チームの選手、スタッフ、
関係者の皆様、大変お疲れ様でした。
また来シーズンも、楽しみにしてます。

