26歳で劇的なことが起こる。横浜がその物語のスタート――黒潮“イケメン”二郎インタビュー | KEN筆.txt

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鈴木健.txtブログ――プロレス、音楽、演劇、映画等の表現ジャンルについて伝えたいこと

過酷なワンナイトトーナメントとなったWRESTLE-1 GPを制し、横浜文体のメインへコマを進めた黒潮“イケメン”二郎。王者・芦野とはまったくの対照的なカラーをまといつつ、そのオリジナリティーあふれるセンスとファンの支持を力にしてここまで昇ってきた。強さの象徴を下し、WRESTLE-1に新たなる風景を描けるか――。

 



W-1 GPで肋骨骨折、全身打撲
それでも気運が自分に向いていた


――横浜文体の前に、黒潮“イケメン”二郎というプロレスラーが強さを競う一発勝負のトーナメントで優勝したことを客観的にどう思われるかを聞かせてください。
イケメン 強くなったな~、俺(ニッコリ)。もともと僕は自分のことを弱いと思っていないんで。イケメンファイトに没頭しすぎて負けてしまうというイメージなんですけど、お客さんから見たらあいつは弱いから負けたってなるんでしょうね。でも今回はイケメンファイトのままで優勝したんで、強くなってますね、明らかに。
――デビューして5年半のキャリアを積んだところで強くなると。あまり認識されていないですけど、現在24歳という年齢を考えれば伸び盛りなんですよね。
イケメン あとはそういう風が吹いていたというのが実感です。
――気運というやつですか。
イケメン そう、気運! それが自分に向いているなあっていうのもありました。そういうのって、自分でどうにかできるものじゃないんですよね。いろんなピースがハマることでそっちの方に物事が流れていく。今の僕が感じていることって、まさにそれなのではないかと。俺しかいない!っていうのは、2年前から思っていましたし。
――トーナメントは一日3試合、すべてヘビー級との対戦でした。
イケメン 翌日起きたら全身が痛くて、特に肋骨が痛かったんで病院にいったら「これ、肋骨にヒビが入っていますよ。あと全身打撲ですね。交通事故に遭ったんでしょ?」って医者に言われました。
――全身打撲って普通はあり得ないですよね。
イケメン あまり見ていて伝わらないと思うんですけど、WRESTLE-1のリングって密かに日本で一番硬いそうなんです。肋骨もどこでやったのかわからないんですけど、たぶん河野さん(決勝戦)の雪崩式バックフリップの時だと思います。
――よく、そこからも試合を続けましたね。
イケメン プロですから、エヘ。お客さんも応援してくれていますし、やめるわけにもいかないですからねえ。でも、俺にとって特に必要な骨じゃないんで、2週間ぐらい経ったらウェートも再開できて、今は治りました。
――横浜文体のメインで対戦する芦野選手がWRESTLE-1チャンピオンシップ王者になってからは、どう映っていますか。
イケメン 芦野って、昔から自分は天才じゃないけれど誰よりも努力しているんだっていう思いでやってきたやつなんです。それを俺は知っているし、だからこそのあの強さであることもわかっている。対角線上で向かい合った時に怖さを感じるのは芦野だけですね。それほどの殺気をまとっている。まずはそれに負けないようにしないと、芦野の世界に飲み込まれてしまう。
――イケメンワールドを覆われてしまう。
イケメン 横浜を迎えるまでに何回か前哨戦をやったんですけど、イケメンムーブを出す余裕がなくなるぐらいにしっかりとレスリングでやり合おうとしたんです。だけど、どうやってもあいつが6、僕が4でそれを変えられていない。強さでひっくり返せないんだったら、巧さでやるしかないじゃないですか。強くなったという実感はあったとしても、トーナメント優勝から文体までの1ヵ月半でそこからさらに急激な伸びはさすがに望めないと思うんで、向こうが持っていないもので勝負した方がいい。それが攻略法というものです。
――それは具体的な形で自分の中に見えているんでしょうか。
イケメン 見えてます見えてます。アンクルロックを仕掛けてきた時が、あいつの最後です。
――それ、試合前に言っちゃっていいんですか。
イケメン 黙っていたってかけてくるんですから、いいんですよ。勝負に出たところで、最大のスキが生じる…プロレスはそういうものです。
――ただ、アンクルロックを出すということは、その時点で相当なダメージを与えているわけで、その時に想定通り自分が動けるかどうかですよね。
イケメン ……そこは俺の頭の中にある『芦野祥太郎攻略本』を見れば大丈夫です。どうスタミナを残しておいて、アンクルを狙ってきたところでどうするかが書いてありますから。

スペシャルな入場シーンとして
馬に乗ることを考えたが…


――自分が年間最大のビッグイベントでメインを務めることに関しての思いは?
イケメン 去年の飯伏幸太戦のように今年もにぎやかしというか、話題性で一番となるようなカードに入った方がいいのかなとも思ったんです。じっさい、WRESTLE-1 GP前にファンの声としてイケメンvs丸藤正道が見たいなんていうのもあったし。でも、WRESTLE-1を見続けてきてくれたファンの皆さんはこのタイトルマッチを楽しみにしてくれていると思うので、それには完ぺきに応えたいと思います。
――主役ですよ。あこがれのスペル・デルフィン選手も横浜文体のメインは経験していないと思われます。
イケメン 昔、有明コロシアムでデルフィンさんと(ザ・グレート)サスケさんがやりましたよね。スタンド席で親父と見ていたんですけど、自分が座っていた隣の入場口からヨネ原人が登場したんです。やっぱりビッグマッチといったら、その日だけのスペシャルな入場シーンですよね。
――おおっ!?
イケメン 強くなりたいという思いをこめて、兵士になって入場したいと思います。
――兵士…。
イケメン 馬に乗った兵士がいいんですけど、会社が馬を用意してくれるかどうか。
――馬はさすがに難しいんじゃないですか。会場が許可するかどうかもあるわけですから。ポニーじゃダメですかね。
イケメン ポニーじゃ絶対負けるように見えるじゃないですか! 白馬で入場したいんですよ。古代ローマの兵士みたいな。
――白馬にまたがり派手なジャケットを着た長髪の男が福山雅治の『HELLO』が流れる中を登場するって、冷静に考えたらメチャクチャですよ。
イケメン ウヒャハハハハッ! 槍持って入場してくるのに『HELLO』という。これができるかどうかは馬に懸かっています。大和ヒロシさんが千葉の牧場とかに顔が利くんで頼んでみようかな。「大和さん、千葉の牧場で馬借りられませんかね?」「馬? 馬刺しか」って言われるかも。どうしても無理なら牛でもいいかな。
――竹ノ塚に牛はいないんですか。
イケメン いないですよ! とにかくそういうところから楽しんでいただいた上で勝ちたいんで。黒潮“イケメン”二郎のワンマンショーですよ。
――芦野選手に勝てばWRESTLE-1という団体のトップへ立つことになります。
イケメン でも、僕が目指しているのはプロレス界のトップなんで。団体のトップにはとっくになってなきゃいけなかったんですよ。それでもあせることなくやってきたんで、ここはちゃんと押さえて…まあ、トップにもいろんなタイプがあるじゃないですか。僕は誰にも負けない強さによるトップというタイプではないと思っているんで、ほかのことでプロレス界のトップになります。
――ほかのことというのは?
イケメン 有名。なれると思っています。それには今のスタイルを貫くことですよね。これを変えてしまったらオリジナリティーをなくしちゃって届くわけがなくなる。あとは、WRESTLE-1という器そのものを大きくするところから有名への道は始まります。プロレス界だけじゃないところに届けばその分、お客さんを呼べるわけだから。あと1年半ほど経ったら、何かが劇的に変わると勝手に思い込んでいるんですよ。神のお告げじゃないけど、ずっと前から21歳と26歳で何かが起こるという意識を持ち続けていて、そこが人生の転機になるんです。
――21歳の時は何があったんですか。
イケメン WRESTLE-1に移籍した年で、イケメンキャラがワーッと知られるようになったじゃないですか。26歳では、それよりもっとデカいことが起きるはずなんです。そこに向けての物語のスタートが、この横浜になるのではないかと。なのでわたくし黒潮“イケメン”二郎は、今日の試合に勝ってチャンピオンベルトを巻いてWRESTLE-1をもっともっと盛り上げることをここに宣言します。平成29年9月2日、黒潮“イケメン”二郎…以上!

 

〔関連リンク〕

ファンが選ぶベストバウト第1位:芦野祥太郎vs黒潮“イケメン”二郎

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