年頭にお伝えしたい思いと、年賀状の情景 | KEN筆.txt

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鈴木健.txtブログ――プロレス、音楽、演劇、映画等の表現ジャンルについて伝えたいこと

BGM:鈴木常吉『思ひで』

 

今年も新年は後楽園ホールで明けました。「年越しプロレス」のサムライTV生中継です。毎年、大晦日と元旦をプロレス会場で迎えられるのはとてもしあわせなことだと思います。

 

年末年始は海外からのファンの皆さんが連日のように後楽園ホールへやってきて、日本のプロレスを満喫している光景が見られます。この日もそうだったのですが、前の晩に徹夜で考えたアントーニオ本多選手のごんぎつねがサク裂した瞬間、サミ・ゼイン似のガイジンさんが嬉しそうにしていたのを目にし、プロレスには言葉を超越したものがあるんだなと改めて思いました。

 

そんな2017年を終えたタイミングで、お伝えしたい思いがあります。9月のTAKAYAMANIA発足から各団体や関係者の輪が広がり、今も高山善廣さんへの支援活動がおこなわれています。

 

募金活動が始まった以後、承諾を得た範囲でその団体さんの会場へ取材にいったさい、支援を呼びかけさせていただいています。もちろん選手の皆さんに募金箱を持っていただいた方が、ご協力していただくファンの皆様も喜びます。ただ、場合によっては人手が回らず箱が置かれているだけという状況もあります。

 

そんな時、誰かが高山さんの代わりに直接感謝の意を伝えられたら…そう思いました。こうして新年を迎えた今も、孤独な闘いを続けている帝王。もしも自分で動けたら、支援してくださった皆さん一人ひとりに「ありがとう」と言いたいはずです。

 

私はプロレスラーでも団体関係者でもないので、高山さんご本人の言葉とは比べものになりません。それでも顔を合わせて感謝の思いを伝えれば、ご協力いただいた皆様も高山さんのために動いたという実感が少しでも持てるはず。

 

大日本プロレス、J STAGE、全日本プロレス、DDTグループ、WWE日本公演、WRESTLE-1、プロレスリングNOAH、KAIENTAI DOJO、プロレスリングFREEDOMS、東京愚連隊、年越しプロレスと、これまでお願いした団体さんのすべてが呼びかけすることに理解してくださいました。試合開始前、休憩時間中、大会終了後とそれぞれ選手が募金を持つさいにも、その傍らについて頭を下げさせてもらっています。

 

所属選手でもスタッフでもないにもかかわらずそれを認めていただけたことに対し、この場を借りて心より御礼申し上げます。そして何よりもこの4ヵ月間、本当に多くの皆様から支援のご協力をいただきました。大晦日から新年にかけてもです。

 

本当に…本当に、ありがとうございます。

 

2018年も皆様の支援のお気持ちを、直接お預かりさせていただきたく思います。そしてお預かりしたお気持ちは、各団体さんを通じ募金という形で高山さんにお伝えいたしますので、引き続きTAKAYAMANIAへのご協力を何卒お願い申し上げます。

 

さて、今年は珍しく12月中に年賀状を送ることができました。皆さんも毎年、どういった図柄にするか頭をひねっていることでしょう。

 

さまざまな団体さんへお世話になっている私のような立場は、セレクトするさい気を配ります。特定の団体や選手のイメージが強い写真だと、それ以外のところへ送るのは失礼になってしまうので、風景や全景、あるいはイメージ画像といった方向に絞られてきます。

 

では、2012年以後に使用した写真をまとめてみます。言うまでもなく、すべて取材を通じ自分で撮影したものです。

 

 

2012年は、前年9月27日に栃木・法得幼稚園にて催された愚乱・浪花選手の一周忌追悼試合より。ヨネ原人が浪花さんのマスクを被りコールされると、同幼稚園に通うチビっ子たちが風船を飛ばしました。浪花さんが園児の頃に見ていた青空へ、無数の風船が吸い込まれていく情景は、みちのくそのものでした。

 

 

2013年は前年9月22日、青森・平内町夜越山スキー場にておこなわれた「AOMORI ROCK FESTIVAL '12~夏の魔物」におけるDDT提供試合。ライヴ用ステージの上からオーディエンススペースに向かって飯伏幸太がミサイルキックを放った瞬間を、現場実況しながらカメラで押さえました。半円のようにして観客が囲むその向こうには緑の山という、ゴールデン☆スターと自然が融合した一枚。

 

 

2014年は前年7月21日、蕨のレッスル武闘館におけるガンバレ☆プロレスの風景。この年の3月に1万5000円で旗揚げしたガン☆プロはカルト的人気を博し、6戦目にして異様な盛り上がりに。小さい会場ながらその一体感は凄まじく、とにかくワンショットだけで元気が湧いてくるということで選びました。2016年10月、後楽園ホールへ初進出した時に見せつけたガン☆プロパワーの源流はここにあります。

 

 

2015年は前年10月13日、仙台・夢メッセみやぎ西館ホールにておこなわれたみちのくプロレスより。東日本大震災の被害を受けて使用不可能となっていた同会場(当時は仙台港ビジネスサポートセンター・アクセル)にプロレスが戻ってくるということで、ニコニコプロレスチャンネルでドキュメンタリー番組を製作(現在も無料視聴可)。じつはこのカット、スティール撮影ではなく番組用に撮った動画から落としたもの。試合に対する期待感から思わず立ち上がり、少しでも近くから見ようとする少年の吸い寄せられるような後ろ姿が印象的でした。これもまた、みちのくならではの風景であり、プロレスの魅力を物語っていると思います。

 

 

2016年は前年6月30日の札幌テイセンホール最終興行。北海道だけでなく全国のプロレスファンに親しまれた同会場における最後のプロレスは、大日本を中心に各団体から選手が出場しラストにふさわしい熱気で包まれました。全試合終了後、出場選手がリング上へ集まり、詰めかけた1144人(超満員札止め)の皆さんと記念撮影。これと同じショットが週刊プロレスに見開きで掲載されました。

 

 

2017年は前年8月11日のWRESTLE-1横浜文化体育館大会。やはり飯伏幸太という男はプロレスの凄さ、素晴らしさ、華、楽しさをひとつの技で体現できる稀有な存在。文体のスタンド席から飛んだムーンサルト・アタックへ見入るオーディエンス一人ひとりの表情にこそ、このシーンの妙があります。

 

 

そして今年の年賀状は、2017年7月1日、両国国技館でおこなわれたWWE日本公演よりブレイ・ワイアット入場時の全景。今回、これがやりたくて足を運んだユニバースも多かったでしょう。アメリカでも定着したスマホのライトを掲げる幻想的シーンは、考えてみればたった一人の観客が思いつきでやったことから始まり、それがやがて世界中に広がったのだから素晴らしいです。

 

以上、この数年の年賀状で使用した画像を並べてみました。改めて見ると、プロレスは試合だけでなく風景で語れる文化なのだと再認識されます。皆さんもずっと心に残るシーンを求めつつ、2018年もプロレスを楽しんでいただきたく思います。本年もご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。