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越前おろしそば


小野寺昭憲オフィシャルブログ - 破壊と創造の記録 --越前おろしそば


 福井県人なら毎日のように食べると云われているのが「越前おろしそば」。むろん私も、帰郷以来毎日食しております。やきとりの名門 秋吉竹田の油揚げ水羊かん に続く【福井の味】シリーズ第4回は、「越前おろしそば」をお送りしましょう。──


 かつては“蕎麦が打てなければ嫁には行けない”と云われていたほど蕎麦を愛する福井県人は、小学校の時から越前そば発祥の地である今庄そば道場 へ遠足に行き、そこで自ら手打ちした蕎麦を食し、また昏倒する同級生を見ては蕎麦アレルギーの何であるかを目撃する文化があります。


 蕎麦の生産量全国第5位の福井県において、福井を代表する料理として国の郷土料理百選に選定 され、更に日本三大蕎麦の一つに数えられる「越前おろしそば」の歴史は、今より500年以上を遡ります。米に比べて種蒔きから収穫までが早く、しかも土地を選ばないことから非常食としての栽培を奨励したのは、戦国時代に越前国を治めた朝倉氏7代当主・孝景でありました。


 当時は「蕎麦掻き」として食されていましたが、慶長6年(1601年)に天下人・徳川家康の次男・結城秀康が初代福井藩主に任ぜられた際に、御附家老として従った本多富正、そして蕎麦師・金子権左エ門らが現在の「蕎麦切り」の形に発展させ、更に蕎麦と同時期に収穫できる大根に着目、薬効としての大根おろしを加えるに至ったと云われています。


 事実、蕎麦殻までも粉砕し練り込んだ福井の蕎麦の蛋白質は大豆を上回り、脂質は玄米に匹敵、食物繊維はうどんの倍以上という栄養価の高さを誇り、抗酸化作用を持つポリフェノールや脳卒中を防ぐルチンなどが豊富に含まれており、非常食には持ってこいの食材なのです。また大根は澱粉を分解し吸収するジアスターゼ、そして穀物の消化を促進するアミラーゼが含まれており、更にルチンの働きを強めるビタミンCをも含有するという相性の良さであります。


 また「越前おろしそば」の名の由来は、先日の記事 でもご紹介しました昭和天皇の全国御巡幸の際、昭和22年10月に福井にて召し上がられたおろしそばを大変お気に召された陛下が、後々まで『あの越前の蕎麦は大変おいしかった』と仰られたことに起因しており、まさに先帝陛下御命名と云っても過言ではない郷土料理なのであります。


 福井に来られた際は是非「越前おろしそば」をご賞味下さい。鰹の効いた出し汁にピリッと辛い大根おろしの卸し汁ごとぶっ込んで、コシの強い麺と共に小粋に啜り上げるのが蕎麦通であります。