ちょうど10年前にもイギリスのエジンバラに行った時もとても寒かった。7月だったが、到着した空港でロスバゲにあい、服を着たまま寝たのを覚えている。この9月、ロンドンは朝は10度くらい、昼もせいぜい20度で日本に比べてとても過ごしやすかった。
朝早く着いたので、ホテルに荷物を預けてテート・モダンへ。新館ができたので楽しみにしていたが、常設はほとんど本館だけのようだ。印象派以降を網羅するパリのポンピドゥー・センターと違い、テート・モダンは近代以降というより現代アートが中心である。それでもマーク・ロスコのコレクションもあり楽しい。テート・モダンの立地は古くはテムズ河南の荒れた地域。そこを再開発し、モダンな、垢抜けしたお店も、というのも少し前の話。ただ、美術館北側はちょうどテムズを挟んでセント・ポール大聖堂を臨み、ミレニアム・ブリッジが架かるピクチャレスクな眺望である。ハリー・ポッターではブリッジが「死喰い人」に破壊されるが、それはお話。雨さえ降らなければロンドン随一の名所間違いなし。
テート・ブリテンへ。ターナーなど近世絵画のコレクションで有名だが、であるから、ラファエル前派もこちらに。《オフィーリア》(ジョン・エヴァレット・ミレイ 1851-52)にはさすがに人だかりがしていて近づくのに少し時間がかかった。大きな作品ではない。しかし、ラファエル前派や、ヴィクトリア朝を解説される際に必ず紹介される歴史的作品である。それは、ヴィクトリア朝という絶対王政の時代に、社会主義者ウィリアム・モリスと親交を結んだラファエル前派という、いわば上流知識層が、人間の愚かさをこれでもかと露わにしたシェークスピアとの親近性を示し、自分らの理想を結実した姿ではなかったろうか。初日は朝も早かったのでさすがに疲れ果てて、テート・ブリテンは後半を残し、おしまいとした。
翌土曜日は、バースへ。ジェーン・オースティンゆかりの地にて、生誕250年ということもあり、例年以上に盛大なフェステバルが催されると聞き、訪れた。見所のメインは、18世紀の装束にて、通りをそぞろ歩きするコスチューム・パレード。要するにコスプレ。参加者はエキストラ料金を支払い、腕に参加証ブレスを巻いてもらう。その数3000人とも。壮観この上ない、というか、その装束は時代考証的に?も含めてわんさか歩く。それを撮る観客はもっと。日本ではコスプレ大会など行ったことはないが、これはこれで楽しい。まあ、若いコスプレさんがどれだけジェーン・オースティンの作品に親しんでいるかはさておき。日本の戦国武将や忍者コスプレも同じようなものだろう。
昼前にはパレードも終わり、装束のまま街でランチや、歩き回っているのもおかしい。ジェーン・オースティンの顕彰的なセンターを訪れた後、バースと言えば、温泉で、ローマン・バスへ。もう温泉は沸いていないが、ここがとても良かった。というのは、時代背景説明と遺構の解説がわかりやすく、丁寧であったから。今も水面が保たれている湯殿?に手をつけてみたが、もちろん冷たかった。街に足湯はあるらしいが、そこまでは。
(右は、テート・モダンから臨んだミレニアム・ブリッジとSt.P大聖堂。左はJ・オースティン フェスティバルのパレード)

