明治から昭和にかけて活躍された画家、中村岳陵の有名な作品に「気球揚る」があります。
切手にもなっていますので、ご覧になった方も多いと思います。
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この作品、実際には縦に長く、中央の女性を中心にしてトリミングされています。
この洋装の女性の背後に和装の女性も描かれているのですが、ちょっとわかりにくいです。
そしてトリミングされた左上の部分には、ちゃんと気球が揚がっているのです。
「気球揚がる」と題されているのに気球が無いのはそういった理由です。
せっかくの名画なんだからトリミングせずに全部出せばいいようにも思いますが、中には絶対に切って正解の絵画もあります。
それが、この2つです。
こちらは、帝政オーストリアで活躍したクリムトの絵画、そしてこちらはルネサンス期のベネチアで活躍したジョルジョーネの絵画です。
実はこの2つ、同じ女性を描いています。
トリミングされる前のオリジナルの作品には、男性の生首が描かれています。
クリムトの方は生首を抱え、ジョルジョーネの方は左足で踏みつけています。
この絵画の主役ユディトは、、旧約聖書外典の1つである『ユディト記』にしるされたユダヤ人の女性です。
ユディトは攻撃してきた敵司令官を酒で酔わせた上で討ち取り、司令官の短剣でその首を切り落としたという伝説があります。
ちょっと切手として貼るには、生首はマズイですよね。