12月11日(日)【8:07】

 

JIMIN >

 

 

「ジウヤ?」

 

何度か目をこすってみたけど

見える景色の中に

彼女の姿はなかった。

 

 

 

 

ん?

 

 

リビングにもいない

 

と思ったら・・

 

ソファ前のテーブルの上、

“因縁”の花札のケースの隣に

メモが置いてあった。

 

“外に遊びに行ってきます”

 

・・・・外

 

そのまま、窓へ視線を移すと

その先の景色は

 

雪、だいぶ積もったんだな。

 

ここに来た時より、

白に埋め尽くされていた。

 

何時に出たのかもわからないけど

 

どこまでいったんだろ

 

スマホ、持ってるかな。

ちゃんと、帰って来れるのか?

 

探しに行くか

 

上着・・

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・いや、いくつだよ。

 

彼女も、そんなに

遠くまで行く訳ないし

 

もう帰ってくるだろ

 

んーー・・

 

もう、目、覚めたし

 

 

よし、

 

 

“花札の約束”を果たす事にした。

 

1つめ・・

 

 

 

 

 

~・~・~・~

 

 

 

玄関が開く音がした。

 

結局、メモを見てから

40分は経ってたけど

準備するには十分だった。

 

「おかえり」

 

「あ、起きてたんですか」

 

「ん・・冷た、何時から行ったの?」

 

立ったまま、コートについてる雪を払う

彼女の頬に手を伸ばす。

 

「8時・・前だったと思います」

 

「なにしてたの?」

 

「雪だるま作ってました。

雪が降ったら、作らないと。

上手くできたから、

写真撮ろうと思って

カメラ取りにきたんです」

 

雪が降ったら、

雪だるまつくるんだ・・

 

雨降ったら、

何するんだろ・・。

 

そう考えると、

次の雨の日は

 

やっぱり

一緒にいたかった。

 

 

「後から俺も一緒に行くから、

先にゴハン食べよ」

 

 

 

「はい・・・・あ、もしかして」

 

脱がせたコートを壁のフックにかけて

水色のセーターの彼女の手を取って

リビングに向かった。

 

「はい、1つめ」

 

入って右側のダイニングテーブルに

並べた“朝食”にジウが素直に喜ぶ。

 

花札の約束の1つめ

 

“朝食の準備”

 

「あ、これ」

 

 

「思い出して作ってみた」

 


並べていたのは、

フルーツとオープンサンド。

 

このサンドイッチは

去年の旅行の時、リアンさんに

教えてもらったモノだった。

 

「あれ、すごく、

美味しかったです」

 

「ほんとに覚えてる?」

 

あの時は、彼女はゲーム中だった。

 

「お、覚えてますよ。ちゃんと、

美味しかったです。・・

いつ持ってきたのかな・・とは

思いましたけど」

 

 

「顔、変わってたもんね」

 

ん、と口を閉じたジウの頬に

軽く親指を滑らせる。

 

 

「可愛かったけど」

 

瞬間、熱を持った彼女は

とことん可愛かった。

 

 

スターJIMIN (2021年)



※画像お借りしました。