2017年にロンドンの出版社から刊行された私の「生きがい」に関する英語の書籍が、今年になってドイツでドイツ語版がブームになり、今週で通算18週ノンフィクション部門で1ベストセラー1位となっています。たいへん驚くとともに、ありがたいことだと感謝しています。

 

日本で言えば「相棒」にあたる国民的人気刑事ドラマでも、私の本がとりあげられたようです。ドイツのメディアからの取材も増えています。

 

世界のさまざまな方とかかわるようなかたちで仕事をすることは子どもの頃からの夢でしたが、私が大好きな国、ドイツで、このようなかたちで自分の著作が受け入れられることになるとは思っていませんでした。

 

私の「生きがい」の本は、日本語を含めて、30あまりの言語で翻訳されて、世界的に読まれるベストセラーとなっています。

 

「生きがい」は、ウェルビーイングの視点からも注目されています。また、最近Lex Fridman podcastでも人工知能の発達に伴う「生きがいリスク」が議論され、AI alignmentの分野でも注目されています。世界的に一つのfranchiseとなったikigaiについて、今後、理論的展開、データ分析の関連研究も進めていくつもりでおります。

 

「生きがい」についで2冊めの英語の本となった「なごみ」も、現在10ほどの言語に翻訳されて出版されています。ドイツではベストセラーリストに入っているようです。また、つい昨日、3冊目の英語の本、stoicismの原稿を書き終えたところです。初めての日本を離れたテーマでの英語の本となります。ロンドンの出版社から刊行されるまでには、少し時間がかかるかもしれません。

 

世界でももっとも長い伝統と豊かな文化を持つ日本を拠点に、これからも、世界のさまざまな方に届く仕事をしていきたいと考えています。機会のある時に、ときどき注目してくださればうれしいです。

 

また、科学者としては、引き続き、ライフワークである脳から意識が生まれるメカニズム、さらには現在とりくんでいる集団的知能(collective intelligence)、AI alignmentの研究に邁進していきます。

 

いろいろと至らぬ点がある私ですが、みなさまからさまざまなかたちで学ばせていただければうれしいです。

 

2024年6月23日

茂木健一郎

脳科学者、作家、ブロードキャスター

ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー

東京大学大学院客員教授、東京大学大学院特任教授

屋久島おおぞら高校校長