#シラスフロントロー 

第42回 

青崎有吾『地雷グリコ』

最優秀批評家賞 Shinpei440

平均点50点(最低0点、最高70点)。

批評コンセンサス

誰もが良く知るゲームのルールを複雑に奥深く進化させ、さらにその攻略を巧みにハックする作者の情熱と強度には舌を巻く。「神の視点」を思わせるゲーム実況のような地の文や、キャラクター造形など、現代の日本のマーケットで受けるフォーマットを追求する作者のプロ意識にリスペクトを抱く。人生というゲームはジョイスの描くように複雑で、「ゲーム」に回収できない部分も含むが、そのような文学性は現代日本的ではないことはこの作品が直木賞候補になったことからもわかる。ラノベから始まった日本文学変質の一つの到達点。「麻雀放浪記」の人間観との対照はすぐれた批評をもたらすだろう。ここから日本の文学は、なによりも才能あふれる作者はどこに向かうのだろうか? 現代的価値観からすれば特に英語圏に翻訳する時にはネックになるポイントもいくつかあったが、それが日本のマーケットでは魅力として受容される。

 

議論の詳細(番組アーカイブ)

https://shirasu.io/t/kenmogi/c/kenmogi/p/20240601102912