文化審議会著作権分科会で、スクリーンショットを含む「違法」コンテンツのダウンロードが違法とされるという方針が決まったというニュース、いろいろとわからないことがある。


 まず、いわゆる「フェアユース」としての引用などとの線引をどこに置くのかということ。


 一般に、日本での議論は、フェアユースについての認識がきちんと定式化されていないと感じることが多く、今回のニュースもそのようなニュアンスで受け止められているように思う。


 学校のレポート制作のために引用として画像を張ったり、会社のプレゼンのためにパワポで引用したりすような行為は、フェアユースの中に入るのだろうと思うけれども、そのあたりの線引がよくわからない。


 刑事罰の対象にするかどうかという話ではなく、そもそもフェアユースは違法ではないとはっきりと記すべきだし、社会的な合意も形成すべきだ。


 著作権分科会のメンバーがどのような構成なのか存じ上げないが、インターネット上の情報流通や二次創作などの利用の実態について、委員の方がどれほどの見識、ないしはヴィジョンを持っていらしたのか、疑問を持たざるを得ない。


 そもそも、単にネットにアクセスしてあるページを見ている状態と、それをスクショしていわば「メモ」している状態が、実質的にどれだけ違うのかという疑問がある。


 ネットはパブリックの空間であり、そこにあるものをスクショすることは、街を歩いていて周囲の景観を撮るのと何が違うというのだろうか。


 また、メディアでは、この審議会での方針決定が法案化に事実上つながるというような報道の仕方をしているけれども、それはおかしい。


 一般に対して広くその審議過程が公開されているわけではない、いわば「密室」での審議会の決定が法律に直結するというのはいかがなものだろう。


 選挙で選ばれた議員による国会での議論を通して、法律案の内容は詰められていくというのが本来のあり方だろう。


 たとえ、日本の国会の実態が実質的には政府提出法案の追認にとどまっているとしても、それを前提に報じるメディアの姿勢には疑問を抱かざるを得ない。


(クオリア時評)


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