[源氏物語女君] 空蝉 【第2帖・帚木他】 | コンデジ片手に出かけよう

コンデジ片手に出かけよう

私の旅の思い出を紹介します。


源氏物語に出てくる女気味の一人・空蝉(うつせみ)。名前の由来は、一度は光源氏と契ったが身分の違いから再びやってきた光源氏から逃げるために「蝉の抜け殻」の様に着物を脱ぎ捨てて逃げたことからきています。


◇空蝉について(人間関係)◇ Wiki等からの抜粋
・元々は上流貴族の娘(父は中納言兼衛門督)として生まれ育った。
・父の死で後ろ盾を失たために、希望していた宮仕えが出来なかった。
・伊予介(伊予国の役人:受領)を務める男の元に後妻として嫁ぐ。
・伊予介と空蝉は年齢が親子ほど離れていた。
・伊予介の前妻の娘・軒端荻がいるが、ほとんど同年輩
・空蝉の幼い弟の小君も共に引き取られてた。
・受領の妻という下の身分に零落したことを恥じており、夫への愛も薄かった。
・夫に前妻の息子がいる。
※写真は土佐光則筆「源氏物語画帖」の空蝉の図



彼女のモデルに関しては、境遇や身分が似ているため、紫式部自身がモデルではないかと思っています。 
◆空蝉の登場場面◆
・第2帖・帚木:紀伊守の屋敷(中川の家)で、光源氏と一夜の契りを結ぶ。
・第2帖・帚木:光源氏に竹取物語の「なよ竹(かぐや姫)」に例えられる。
・第3帖・空蝉:紀伊守の屋敷で、義娘(軒端荻)と碁を打っている部分を光源氏に覗かれる
・第3帖・空蝉:寝室に忍び込んだ光源氏を避けるために、着物を脱ぎ逃げる。
※空蝉が逃げた理由は、光源氏との身分や年齢の違いと考えれます。


・第16帖・関屋:夫に伴って常陸国へ行った 
・第16帖・関屋:夫の任期が終わり、都に戻ってくる
・第16帖・関屋:逢坂の関付近で、石山寺詣でに出かけた光源氏と出会う
・第16帖・関屋:空蝉と光源氏は文(和歌)を交わす
・第16帖・関屋:夫・伊予介が死去する
・第16帖・関屋:継息子の懸想を避けるため出家
・第16帖・関屋:光源氏は尼となった空蝉を二条東院に迎えて住まわせた。
・第22帖・玉鬘:光源氏より歳暮の布配りを受ける



◇空蝉のキャラクター設定◇
空蝉のキャラクター設定は、紫式部自身ではないかと言われることが有ります。人物設定が似ている部分が有りますし、都を離れて再び都に戻って、そして心惹かれる人と再会している部分がそうです。
そうする時になるのが「中川の家での一夜限りの契り」これの参考になりそうなものが、紫式部集に書かれています。



<参考情報:紫式部集に見える方違え>
紫式部が空蝉のモデルかもと言われる理由に紫式部集に書かれている「方違え」に関する事が書かれているからです。場面としては、方違えのために式部が住む藤原為時の邸に泊まった男性に関するする出来事。どうやら紫式部姉妹の寝室に誰か忍び込んだ様子です。
そして忍び込んだ男性ですが、紫式部の夫・藤原宣孝ではないだろうかともいわれますね。

 


【原文】方違へにわたりたる人の、なまおぼおぼしきことありて帰りにけるつとめて、朝顔の花をやるとて
「(女性の和歌)おぼつかな それかあらぬか あけぐれの そらおぼれする 朝顔の花」
 返し、手を見わかぬにやありけむ
「(男性の和歌)いづれぞと 色わくほどに 朝顔の あるかなきかに なるぞわびしき」
【訳】方違えで来た人がなんだかはっきりしないことがあって帰った翌朝、朝顔の花をやるといって
「(女性の和歌)なんだかはっきりしない。そうであったのかなかったのか、明け暮れにぼんやりしていた朝顔の花、あなたの顔は」
 返歌、手跡を見分けなかったのであろうか
「(男性の和歌)どちらかと区別している内に、朝顔があるかなきかになったのが侘びしいこと。」