[源氏物語コラム] 02:源氏物語は誰の訳が面白い? | コンデジ片手に出かけよう

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私の旅の思い出を紹介します。

Top写真は石山寺にある土佐光起筆「紫式部図」。様々なところで源氏物語や紫式部を紹介する際に出てきますね。もしかしたら「光る君へ」を見て、ドラマには源氏物語のネタがあるので実際に源氏物語を読んでみたいという人も多いと思います。ただ、54帖もある長編ですし、人物関係でごちゃごちゃになるので第12帖・須磨あたりで力尽きる人も多いみたいですね。



そこで読破するのに力尽きる前に全てのあらすじを知りたいという人向けに私が行っている例などを紹介します。まずは、いきなり源氏物語にトライするのではなく、マンガを使っているものはどうでしょうか? 大和和紀さんによる『あさきゆめみし』あたりから源氏物語を知るという人多いかもしれません(私は読んでいませんけど)。
他には「マンガでわかる源氏物語」なんかはおすすめで、私は愛読書(参考書)にしています。

 

 



「マンガでわかる源氏物語」では、次のよう賀ことが書いています。


<どちらの意味にもとれる和歌>
藤壺は光源氏との密通で不義の子・冷泉を産み落とし、次の和歌を詠んでいます。
袖ぬるる 露のゆかりと 思うにも なほ疎まれぬ 大和撫子
ここで「なほ疎まれぬ」は2つの意味にとれるということが昔から言われている。
「ぬ」を打ち消しとするなら”子供を疎めない”
「ぬ」を完了とするなら”子供が疎ましい”
なので、読み手によって考え方が異なる。


そんなことがあるので、源氏物語を読むには誰の訳で読むかは重要かもしれません。ただ、おすすめはやっぱり与謝野晶子さんの訳でしょうか?



与謝野晶子さんが源氏物語を訳されて60年以上経ちますので著作権は消滅。そのためWebで無料で全文読めますから。
私は源氏物語に出てくる様々な要素を検索するのに役に立つので愛読しています。
『角川文庫 全訳源氏物語(与謝野晶子訳))』で検索すると見つかるはずです。

 

 



あとは、谷崎潤一郎、円地文子、瀬戸内寂聴、角田光代などの名前が挙がりますが、個人的にはやっぱり瀬戸内さんの訳が面白そうかなって思っています。瀬戸内さんの経歴の中に「離婚」「不倫」「出家(天台宗)」と豊富なので、人生経験に基づいた訳をされているかなって思います。
※写真は2018/3/3に三十三間堂で見た瀬戸内寂静さん



与謝野晶子さんの宗派は阿弥陀如来と関連する「浄土真宗本願寺派」、瀬戸内さんは修行第一の「天台宗」。源氏物語では浄土思想(阿弥陀信仰)は、宇治十帖までの部分に出てきますし、宇治十帖では浮舟の出家がありますので、宇治十帖部分の解釈の違いなどは面白そうです。
※写真は京都大原にある勝林院の阿弥陀如来



瀬戸内さんの次のインタビューなんかは人生経験豊富な方だけあって面白そうです。
Web版有鄰 瀬戸内寂聴さんに聴く源氏物語、そして幻の一帖 「藤壺」 

https://www.yurindo.co.jp/static/yurin/back/yurin_444/yurin.html

 

 


このインタビューの中で、光源氏と関係する女性が出家することを相談したら「やめろ」と言うだろう、だって出家したらセックスができなくなるから、源氏にとっては都合が悪いから絶対とめるというあたりはおもしろいです。
※光源氏とセックスをして唯一出家しなかった(させなかった)ヒロインは紫の上です。