海抜の高い地域は桜の満開時期がずいぶんと遅いということで、当方は遅めの花見にわざわざ出かけました。
気温の低い山奥だと平地よりは2週間以上開花が遅れます。
山の中腹まで車で行って、それから先は坂道を歩いていきました。
途中で珍しく野生の狸と遭遇しましたが、何か餌でも探していたようで当方にはまったく無関心の様子でした。
まるまるとした狸で、木々の間から大きな尻尾が見えました。
狸はそこらをしきりに嗅ぎ回っています。
最初は子犬かと思いましたが、のそのそ歩く狸さんでした。
狸さんはこちらの方へは一向に振り向かずに、そのまま森の奥へ去っていきましたが、後を付いていくよう感じで森の中を歩いて行きました。
ここらでは野生の鹿もよく見かけますし、イノシシ用のワナなども見かけますので、ワイルドな気分にも浸れます。
やがて目的の桜の並木道の脇に到達しました。
ちょうど晴天のこの日は、風に乗って桜の花弁が優雅に少しだけ舞い散っていました。
随分と遅咲きで、全体的には桜はまだ八分咲きというところでしょうか。
ここでの桜吹雪はもう少し時期的には先になるはずです。
周囲にはまったく人影はなく、桜並木の林道だけがづっと森の奥まで続いていました。
久し振りにこのような桜の並木道を歩きました。
それこそ桜の時期になればここ訪れる人が多いような気がするのですが、ここ数年のコロナ禍もあってか予想に反してこの公園は意外と人出は少ないようです。
山裾にも桜の木は沢山目にするだけに、地元の人はすっかり見飽きているのだと思います。
こんな山奥までわざわざ花見には来ないのか、それともここはいまだに知名度が低いままなのかのどちらかです。
地方の田舎というところは、得てしてそういうものなのです。
日頃からこのような桜の名所があることさえもわざわざ報道もされませんから、かえって自然な風情が保たれていていいわけです。
だからここは本物の隠れた桜の名所なんだと思っています。
桜の並木道が何百メートルも続いている感じで、それこそ行けども行けども桜の並木道です。
そして、聞こえてくるのは小鳥の囀りだけですし、どこまでも桜並木が続いていて、これは壮観です。いや贅沢な景観です。
何だか桃源郷を覗いたような感じがしないでもないわけで、何やらこれも狸さんと遭遇したからかもしれません。
本当にどこまでもどこまでも続いているような桜の並木道ですが、さらにこの先に行くと広い桜公園の広場があります。
規模から云えば、もっと豪華な景観も楽しめるわけです。
それなのに桜の広場に行き着く前に、この桜並木で春をすっかり満喫してしまいそうです。
ふとここで坂口安吾の「桜の森の満開の下」という小説を思い出してしまいました。
満開の桜の木の下では、人の心が狂うという平安時代の話しでしたが、たしかそれを原作にした岩下志麻さん主演の映画もありました。
天下人秀吉が桜の花見を愛でるまでは、桜はそれほど庶民には注目されていなかったように思えます。
しかしながら、古典文学的には「源氏物語」には頻繁に登場しますから、もともとは貴族趣味であったのでしょう。
Trailer - 桜の森の満開の下 (1975) 篠田正浩
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