お師匠様!わたくしは修行の身でありながら戒律を破ってしまいました! | モモナゲットの和風寄せ鍋エッセイ

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当初は東洋医学を主体に各種健康情報を紹介していく予定でしたが、
いつの間にかエッセイや歴史情報なども織り交ぜて書いております。
当面「いいね」にも対応して柔軟に題材を絞っていきますのでどうか
よろしくご笑覧のほどお願い申し上げます。

「蛇越峠」といわれる怖い名所

大分県由布市湯布院町の市街から少し離れた山中に、蛇越展望所という場所がある。

「蛇越え峠」(じゃごしとおげ)という怖い地名伝説が残っているところであるから、車が通れる道路ができる以前であれば人里から離れた山奥に位置していたはずである。


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峠を越えてようやく湯布院の町が見えてくるというところであるのだが、場所そのものは高速湯布院インターから降りてすぐのところにある。

名称が「蛇越え峠」であるから、そこそこ不気味ではあるのだが、意外にもここからの眺望が素晴らしい。

道路沿いに専用駐車場もあって、展望所兼自然公園のような観光施設になっている。





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「蛇越え峠」といわれるだけに、この峠には古い伝説が残されている。

この地に残されている平安期の伝説によると、むかし、この山の麓にある立石池の近くで若い修行僧が草庵に籠もって熱心に修行をしていた。

彼は近隣の者からは通称立石坊と呼ばれていたが、修行僧でありながら人目を引くたいへんな美男子であったという。

そこへ、あるとき何の前触れもなく、それも夕暮れ時に一人の娘が修行僧の房舎を訪ねてきた。

近くの山里に住む娘であるらしかったが、修行僧はその娘の容貌を目にして驚いた。


山里の住人にしては娘は目鼻立ちが整い、見た目にも垢抜けしているではないか。

その娘が余りにも美しい姿形であったことで、たちまち僧は己が修行の身と云うことを忘れてその娘に強く惹かれてしまう。

若い娘を前にして赤面しつつも、修行僧は挨拶を交わすと親しげに話しかけてみた。

娘は山菜摘みに来た帰りに道に迷い、修行僧の宿坊に偶然行き当たったのだという。

恥じらいがちに話す娘の言葉使いも何やら上品で、会話の途中でころころと笑う表情も瑞々しく愛らしい。

そのような出会いがあってからのち、娘は修行僧の下へ何度も訪ねてきたのだが、それはいつも決まって夕暮れ時であった。

娘もイケメンの修行僧に惹かれているようで、そうやって逢っているうちに二人はとうとう情を通じてしまう。

会うほどに、互いの想いが燃え上がっていくようであった。

それ以降、毎夜のように訪ねてくる娘に修行僧はますます心奪われてしまうのであるが、どうしたことか娘が夜にだけ訪ねてくることが気になり、僧は次第に不審を抱くようになる。

何故にあのように美しい娘がこのような山奥まで、夕暮れ時に一人で訪ねてこられるのだろうかと、ふと怪訝に思ったのだ。

修行僧はそのことが一旦気になり出すと、そのままじっとしておれなくなった。

次の夜、修行僧は娘がやってくる頃合いを見計らって、森陰に隠れて待ち構えていることにした。

すると娘がやって来るであろう時刻になると、遠くから何やら近付いて来る気配と物音がしてきた。

そうこうするうちに夜更けの山奥からは、突然生あたたかい風が巻き起こると同時に、巨大な大蛇が現れ山を這い上って峠を越えてくるのを修行僧は目にする。

暗闇の中でも、大蛇の目はらんらんと赤く恐ろしげに燃えているように見えるではないか。

その妖気がただよう大蛇の姿を見て修行僧は驚愕し、たちまち体が打ち震えて総毛立つ想いであった。

何と若い修行僧は大蛇に魅入られていたわけで、毎夜通ってくる美しい娘が恐ろしい大蛇の化身であることを知った修行僧は、驚き怖れてそのまま動けなくなり石になってしまったという。

これが、当地に残されている蛇越峠伝説なのである。


その大蛇が越えてきた峠が、まさにこの「蛇越え峠」ということになるのだが、このように素晴らしい眺望の場所がどうして怖い大蛇伝説と繋がるのかはどうにも合点がいかないところではある。

考えてみるにこの辺りは霊山として知られる由布岳にも近いことから、ここらは古来より豊後での仏教や修験道の格好の修行地であっということで、山麓には修行場として房舎がいくつも点在していたのだという。

この地に若い僧が住んでいれば、時たま近隣の村娘とも顔を合わせるだろうから、若い男女同士が心惹かれるということもあったはずである。

そこから男女の恋愛に発展すれば、修行そのものは頓挫してしまうことになる。


そういう不祥事を避けるための戒めとして、こうした怖い話しが意図的に創られたのではないかと思う。

そのような話しで男女の想いがどこまで抑えられるのかは分からないのだが、当時もそうした色恋に惑わされる若い修行僧が少なからずい居たことが想像されるわけで、それには何となくほっこりさせられるではないか。

周囲は森林に囲まれてはいるが、「蛇越え峠」自体、特段陰気な場所でもないし荒れた土地というわけでもない。


ここには大きな岩や石ならそこらにいくらでもあるのだが、果たしてどの石が修行僧のものなのかは分からないだけに、思わず周りの岩の方に目がいってしまう。

出来たら「蛇越え峠」伝説として、観光地らしくイケメン修行僧の石像モニュメントでもしっかり置いて欲しいところである。

蛇越展望所は下の駐車場から山に向かって階段と坂道を上っていくのであるが、割と急勾配であって最後の石段部分で、私めは迂闊にもつま先が引っかかって無様に前のめりに転倒してしまった。


しかも転倒した拍子に、手にしていたデジカメを石段の端にゴツッとぶつけてしまった。

一瞬デジカメが破損したかと案じたのだが、幸いにも本体の端が凹んだだけで済んだ。

もしかしたら、この蹴躓いた石が伝説の修行僧のものなのかも知れないのだ。

展望所に辿り着いて周囲を見渡したのであるが、いつ来てもここからの見晴らしは格別である。

「蛇越え峠」からは観光地湯布院の町が一望の下に見渡せる。






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真ん中中央に活火山の由布岳が見える。

その真下に広がるのが温泉地として知られる湯布院盆地であるが、ここは太古の昔は巨大な湖であったとする伝承も残されている。

有史以前の話で、さしずめ「由布湖」がここには存在していたと云うことになるのだが、由布岳を囲むように広大な湖が広がっていたのかも知れない。


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由布盆地の手前に張り出して見えるのが、亀山である。

その向こうに湯布院町の市街が広がっている。





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由布岳の手前左側の山稜には、広大な別荘地やゴルフ場が広がっている。






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右側の山稜には広大な森林や牧場がある。



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観光地湯布院は
コロナウィルスの騒ぎが終息してきたこともあって、最近また以前のように中国や韓国、タイなどからの多くの観光客で賑わっている。










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