住宅業界最悪
Cross Word(My・Home)⑤
<神田珠玉ホーム>(翔に戻った翔)
翔)あっ部長、中谷・・・やっと夢が覚めた?
中)あ~戻った?八雲課長ですね?(
翔)中谷、俺、誰かと入れ替わってた?男?女?
中)女子ですね・・・私的には戻らない方が( 一一)
翔)という事は、夢じゃないって事だね?
翔)男子トイレに入る様な女子だけど、変態じゃなかった?
中)いや至って知的で美人でしょ?それに課長彼女の胸・・・嫌らしい( 一一)
翔)いや、いやいや・・・それには訳が・・・
中)図星( 一一)
細)彼女は如月舞、我々と同じ問題でこれ以上追求したらクビだって・・・
翔)僕たちと似たような境遇?・・・
<大阪多田野設計・男子トイレ>(舞に戻った舞)
舞)戻った?・・・けどいつもと違う、ここ男子トイレ??
あっあの痴漢やろー・・・何が課長だ、会ったらぶっ殺す!
怒りでドアを開けると、気取った多田野が鏡を見て髪をなでていた
多)わぉっなっなんや如月ィ~、お前どこから出て来てんねん!
舞)あっあっ所長・・・あの、あの・・・(最悪(>_<))
多)男子トイレで・・・変態か?( 一一)丁度ええ自宅謹慎やこの変態野郎!
舞)チョット待って誤解です・・・これには深い訳ありで・・・珠玉ホームの・・・
多)分け分からん・・・私をおちょくっとるんか?今から自宅謹慎や!
舞)はい・・・(ズーン・・理由言ってもなぁ、あいつのせいだ・・・ぶっ殺す)
<盛岡、南部銀行にお勤めしているお客様赤城誠一の家>
大)本当にすみません、必ず大臣認定を取得しますので待って下さい
赤)何が大臣認定だ!建築主事が違反建築だと言ってるだろ!?
嘘を並べて騙そうとしてるなら警察に訴えますよ
大)東京の建築木材センターで受付してます・・・
違反建築は受付けないから「違反建築」ではない拓郎、受理証明書
拓)はい、これが財団法人建築木材センターの受理証明書です
赤城は怪訝そうであるが確かめるため覗き込む
赤)本物?何故、建築主事は違反建築だと言ったのですか?
拓)来る前に主事と話ましたが、可能性があると言っただけで
違反とは言ってないと・・・
赤)もうねぇ私は大臣認定なんかより普通の家でいいの
大)いや、より強くしよう、もっと良くしようと・・・
拓)本当なんです、一般的な建物より材料多くして強くしてるんです
大)頑張りますので完成済証はまってくださいお願いします(土下座)
赤)まあ、そこまで言うなら、納得できないけど住めてるからねぇ~・・・
じゃ、待ちますが代金は払いませんよ
大)それは・・・はっはい分かりました・・・
どうしてもお金を支払ってもらう交渉は出来ないまま2人は赤城の家を出た
大)ふっふぅ~・・・参ったなぁ~疲れるわぁ
拓)そうっすねぇ~
大)次の青山さん少し時間があるな、事務所に電話するか・・・
大は無意識に携帯を手に取り折畳を開いた
Cross Word(My・Home)④
<岩手県庁石割桜前>(大に戻った大)
大)俺、女子になった(デレデレへㇸ)、それと頭痛いけど・・・
拓)社長・・・今度は何一人でデレデレ、ブツブツ・・・やっぱ頭打ったせいか?
大)あっ拓郎、お前いたの?・・・俺何してた?
拓)さっきからいるでしょ!やっぱ馬鹿かも( 一一)
大)いや夢か?でも現実的感触が(両手を胸にあてながら)
拓)なんですか気色悪いっす、建築木材センターに電話しないっすか?
それとも東大名誉教授の橋本先生とか?・・・
大)ん~なんだっけ? 東大・・・誰?
拓)だから大臣認定の件で・・・(あぁ~この人について行っていいのかなぁ~)
大)あっあぁ~そうだった電話・・・電話??・・・(恐る恐る)
<大阪多田野設計>(舞になった翔)
舞・翔)ぶっブブ~胸・胸・・・(鼻血・・・何が起きてるか更にパニック)
女子?僕はどうしちまった、ここは何処だぁ~、やっぱり夢の中 (>_<)・・・
便器に座り込んで頭を抱えていると、そこにカツカツ、トイレに数人?が入って来た
多)如月のアホがぁ~、あんなん気づいたら、設計者責任まで問われるわ
上松君、如月にあのB材問題の件、見張っとってや
上松庄司は多田野設計課長で、上しか見ないマニュアル無気力人間
上)はい所長任せて下さい
舞・翔)やっヤバイここ男子トイレ?
女子の恰好でここでなにしてる?それにB材問題?・・・
くそっぉ~・・・下手に今出たら変態だな(>_<)
持っていたスマホを手に取って自分の姿を見ようと覗いた
<神田珠玉ホーム>(翔になった舞)
翔・舞)あなた達が、この耐力壁試験を?
耐力壁とは建物の倒壊を防ぐ最重要な構造壁
細)そうだが、本当に翔と入れ替わったというのか?SF映画か漫画だ・・・
中)部長・・・笑っちゃうけど私は信じます(笑)
初めまして如月舞?さん、私、中谷瑠偉、宜しくね
翔・舞)あっ宜しくお願いします
中)しかし、どうやって入れ替わったの?未来から?それとも過去?
翔・舞)それは?・・・でも現在だと思うけど・・・
それよりこの耐力壁試験、このB材とこの金物でやった試験ですよね?
中)あなたが?じゃない、うちの八雲翔課長がやった耐力壁実験よ
翔・舞)や・く・も・しょ・う?・・・えっ
中)どうかした?
翔・舞)いえっ・・・なんでも・・・
細)本当に信じられないが、演技ではないよね・・・まいさん?
翔・舞)はい2月の如月と舞踏会の舞・・・大阪の多田野設計勤務です。
このB材と接合金物の組合せ・・・耐震シミュレーションも悲惨です。
細)(翔のパソコンを開いて)こんな感じのシミュレーション?
翔・舞)同じ、私がやった時と同じ震度5で倒壊です
中)細木部長このB材は低価格で普及してヤバいですよ
細)御社では知っているのですか?
翔・舞)はい、でも「これ以上調べるとクビ・・・」って
知らない事にして、元請けの責任にしようとしてます
細)そうか責任転嫁ね・・・どっちもどっちってだなぁ~
中)ところで課長と舞さん戻れるの?私は舞さんのままでいいかも( 一一)
翔・舞)私も、こっちがいいかも(笑)・・・でも男は(泣)
細)それにしても肝が据わってるね、でも戻れないと困るね・・・
翔・舞)そうだ母に電話しなきゃ・・・あっお借りして?
舞は少し躊躇ったがスマホを手にした・・・
大に戻った大は建築木材センターに電話のため
舞になった翔は自分の姿を確認するため
翔になった舞は母親に電話するため、それぞれスマホを覗く・・・
<盛岡>
大に戻った大は、電話をしようとしたが開くのを止めていた
大)一旦事務所に戻って、お客様への説明の準備しよう
拓)はい、そうですね・・・どうせ期間は変わりませんよ
2人は車で事務所に戻った
大はそのまま八雲大であったが他の二人は・・・
Cross Word(My・Home)③
舞は「コンプライアンス遵守」と書かれた翔のパソコンの前に
大は数字が羅列され「NG」と赤文字で記された舞のパソコンの前に
翔は青空が綺麗な南部片富士を眼前に捉える盛岡建築審査センター前に
Mental movement(精神移動)発動
<大阪多田野設計>(舞に入れ替わった大)
多)如月ィ~、随分と逆らうやんけえぇ~本当にクビにするぞ!
舞・大)あれ、えっ・・・ここはどこ?あなたは誰っすか?
んっなんだこの格好・・・ひょぇ~胸が・・・
多)なっなんや・・・気が狂ったか!?
キョロキョロして辺りを見回し、とにかくこの理解しがたい状況から逃げ出すため
舞・大)とっトイレどこっすか・・・
多)はっあぁ~バカにしとんのか?
舞・大)いや、しっ失礼しあっす
10人程の人が働く事務所内を見渡しながら出ると、窓ガラスに自分の姿が映る
舞・大)リアルな夢か・・・?あった、んっ男子?女子?どっちだぁ~・・・
咄嗟に男子トイレに飛び込んだが、それはそれで問題になると思うが習慣だ
<神田珠玉ホーム>(翔に入れ替わった舞)
翔・舞)えっコンプライアンス遵守?それにこの資料・・・
B材と接合金物実験試料(机の上にある)・・・ここは・・・どこ?夢?
細)翔なにキョロキョロしてる、この問題は毎朝開くその画面の通りだよ
画面には「コンプライアンス遵守、違反をする事も隠す事も罪です。見たり聞いたりしたらコンプライアンス委員会に相談してください」と書いてある
翔・舞)はぁ、その通りですが・・・あっあの私・・・あなたは誰ですか?
細)お前なに言ってる・・・んっ・・・なんか雰囲気違うな( 一一)
細木は不審そうにじろじろ見るが、見た目の変化は何処にも見られない
翔・舞)ここはどこですか?それに私の恰好・・・男?
細木は翔の顏の前で手の平を横に振って不思議そうに
細)んっ?ここは珠玉ホーム研究開発部、俺は細木拓郎、お前の上司
でっお前は八雲翔だよな?
勘のいい細木は、この状況に何かを感じ確かめる様に言い聞かせる
翔・舞)私は・・・如月 舞・・・
細)はぁ~、きさらぎまい?・・・どういう事?
チョット待て、チョット待て、お前は翔じゃない?
翔・舞)たっ多分・・・
その様子を見ていた好奇心旺盛な翔の部下、中谷瑠偉(なかやるい)が会話に入る
中)課長どうしました?
翔・舞)課長?私が・・・
中)何だか変ですねぇ~・・・演技してる?
翔・舞)私も変です( 一一)でも演技はしてません
このフロアーだけで約100人以上のいる大会社だ
細)下原本部長の「無知は罪」って言葉に衝撃か?それともどこかで頭打ったか?
翔・舞)あっのぉ~私も信じられないですけど・・・私は如月舞30歳女子です
でも今は、男子ですか?・・・入れ替わった???
自分を確かめようとスマホを見る
<岩手県庁石割桜前>(大と入れ替わった翔)
拓)社長、社長、聞えてますか?
大・翔)はっ・・・何、誰?
大・翔はあたりを見回すと石割桜があり何時もの景色との違いに戸惑う
拓)社長何キョロキョロしてるっすか?電話つながってますか?
大・翔)社長?・・・僕は課長ですが?でっ君は?ここはどこ?
拓)まぁ~たまた冗談っすか?大臣認定の件で・・・建築木材センターに電話・・・
大・翔)認定?そうだ!橋本先生に電話する所だった・・・
階段がある事に気づかず、踏み出したらズッコケ前にあった街灯に額を打った
ぶっ痛っ、おぉ~痛い・・・こっこれは夢じゃない?
拓)一人で何を・・・さんざん叩かれ気が狂った?・・・それに橋本先生?
大・翔)東大名誉教授橋本好美先生だよ・・・とにかく電話
これガラケー?あぁ~なんじゃこりゃぁ~
大・翔はパニック状態になっていて、手に持っている携帯を開いた
<大阪市多田野設計・トイレ>(舞と入れ替わった大)
舞・大はトイレの中で自分の体を確かめていた・・・それも女子の恰好で男子トイレ
舞・大)俺の胸・・・ヤバイ俺は女になった?
いやいやいや、これは夢だ・・・もっかい(胸を揉みながら)
結構デカイ、でへへぇへ・・・ヤバイ、ヤバイ違反建築さらに痴漢って
自分の姿を確かめようと手に持ったスマホを見る
(舞・大)と(大・翔)がまたしても画面に文字が浮かび上がり、脳を揺さぶられ不思議な空間を通りすぎる。今回見えた光のシルエットは、お互い一人だけだった
二人だけのMental movement(精神移動)発動
Cross Word(My・Home)②
<岩手県庁隣にある盛岡建築審査センター>
大)何が違反建築だってんですか?
主事・相)私はそうは言ってませんよぉ、可能性があるとね
拓)そんな事主事に言われたら、お客様は違反だと思いますが
大)確認申請で構造計算書も添付し、建築許可も出したじゃないですか
主事・相)それは取下げてもらいましたよね
大)それはそっちが取下げてくれって・・・そもそも確認出さなきゃ・・・
あぁ~もう面倒だから、違反として是正通知書を下さいよ
主事・相)そこはあなた方の事考え大臣認定でもとねぇ~
おっと時間です、この後予定あるので・・・では
相沢はそう言い残すと都合悪そうに立ち去った・・・大と拓郎もセンターを出た
大)クッソぉ~さんざん、これ持ってこい、これ証明しろと・・・
ちっきしょぉ~どうすりゃいい・・・
拓)普通と少し違うだけで、違反じゃないから是正も出せる訳ないですよ
大)釘だけでくっついてる材料一体化して、明らかに強くしてるだろーよ
それを違反建築だって、アホらしくて死にたくなるわ・・・
拓)ホントバカみたいっす・・・大臣認定は時間かかるっす(泣)
大と拓郎は隣の岩手県庁駐車場に行くため、県庁前にある石割桜の前まで来た
大)クッソぉ~どう考えてもただの責任放棄だろぉ
拓)これから赤城様はじめ5人のお客様に説明ですがどうします(泣)
大)早く認定取得する方法ないか聞いて見っか・・・
石割桜の影から突然スケボーに乗った少女が出てきて大に接触した
少女)あっ痛っ・・・
大)おっと大丈夫?どこかぶつけた?
少女)ううんごめんなさい、あっ携帯落ちてるよ
大と拓郎は少女が指さす方に視線を落とし、同時に一緒に拾おうとしが大が先に拾い上げ
大)ありがとう、お嬢ちゃ・・・
拓)えっもういなくなった?消えた?
二人はあたりを見回したが女の子の姿はもう見当たらなかった
大)不思議な子だ・・・まっいっか建築木材センターに電話すっか・・・
拾った折畳携帯電話を広げてる
<東京都神田珠玉ホーム会議室3>
下)細木さんあんた会社潰す気か?
細)しかし本部長、これは非常に大きな問題で放置するわけには・・・
下)なんでこんな事に気が付いた?困るんだよねぇ
翔)このB材とこの接合金物は不適合で、重大な耐力不足になります
下)材料メーカーの責任、売ってる方が悪いだろ!
翔)メーカー責任は問えないですよ、接合金物は材料指定してます
それより設計耐力の約半分でヤバいです
下)あんたら何、正義感ぶってるの!技術者のプライドってかぁ~
そんな安っぽい感情で会社潰す気か?
翔)じゃあ欠陥住宅を放置し供給続けるつもりですか、それこそ大問題です!
新規物件だけでも今すぐ材料変えるべきです
下)簡単に言うな!材料変えるだぁ?コストはぁ?
変えた理由をなんて説明する!世間に晒し会社を潰すのかあぁ!?
細)会社潰すとかそう言う問題じゃ・・・
下)あんた従業員3000人以上、関係者その家族含めた人の事考えた事ある?
そういう背景・・・「無知は罪」って知ってる?
翔)お客様を裏切る事になります
下)黙ってりゃ誰も傷つかない!・・・そぉ~だろぉ!
翔)(くっそ何言ってやがる違うだろ)
下)パンドラの箱開けちゃ駄目なんだよ!絶対に口外するな、分かったな!
下原は言い残すと会議室から出て行った
翔)くっそぉ~!何が「無知は罪」何が「パンドラ」だ
欠陥住宅を製造している無知の張本人がお前だろぉ~が!
細)・・・
翔)部長あれは詭弁です!これは技術者として人間としての戦いです!
震度5が2度来たら倒壊、命の問題ですよ!
細)そうだが、慎重になろう・・・
翔)はぁ・・・僕はトイレで顔洗ってから戻ります
細木は弱気になった、それに気づいた翔は不満を感じ、それを払拭するようにザブザブ顔を洗った、そして事務所に戻ろうとエレベーターの前に立つと扉が開き、不意に少女が飛び出してきて腰のあたりが接触した
翔)あっゴメン大丈夫?
少女)大丈夫、あっお兄ちゃんのスマホ落ちてるよ、ほら(笑)
翔)おっと、あっありがとう・・・音もせずいつの間に・・・
少女)しっかりね、お兄ちゃん(笑)
少女はスマホを渡すと速足で廊下を左に曲がって消えて行った、何故ここに少女がいるのか不思議に感じながら自分の席に戻った
翔)なんだろう凄く懐かしい笑顔の気がする・・・橋本先生に電話するか・・・
如月舞は、告発情報を探すため・・・
八雲大は、財団法人木材建築センターに大臣認定取得の件で・・
八雲翔は、恩師東京大名誉教授・橋本好美に相談するため・・・
それぞれがスマホ画面を見た瞬間、謎の文字「Mental movement」と表示される
瞬間、画面に意識を吸い込まれ、脳が揺さぶられる感覚で景色が消え、中央に遺伝子配列のようなものが交差する不思議な空間を、各々二つの光のようなシルエットが通り過ぎた後、脳の揺さぶられる感覚が次第に消え、周りの景色が色を伴って鮮明になった
舞は「コンプライアンス遵守」と書かれた翔のパソコンの前に
大は数字が羅列され「NG」と赤文字で記された舞のパソコンの前に
翔は青空が綺麗な南部片富士を眼前に捉える盛岡建築審査センター前に