一昨年、川崎市の住宅で精神疾患があったとみられる37歳の長男を拘束し、必要な治療も受けさせずに死亡させた罪に問われた父親に対し、横浜地方裁判所は
 
・死亡させた罪については無罪
・公的支援を受ける機会は何度もあり長期間監禁した行為は悪質だとして監禁の罪について執行猶予の付いた有罪
 
という判決を言い渡しました。
 
そもそもどのようにして長男は亡くなったのでしょうか?
 
以下17年間の経緯を考えたいと思います(※裁判の冒頭陳述より)。
2004年5月 長男 大学に行かず引きこもる
2011年 長男 自宅の壁を壊したり、両親に暴力を振るう
→父親は区の保健所に相談。医師から統合失調症の疑いがあると促されたものの、保健所の自宅訪問を受け入れず、連絡もとらなくなった
2021年5月 長男が衣服をつけずに外出をしたことから監禁が始まる
→父親は福祉事務所に症状について相談をするも、その後、福祉事務所からかかってきた電話には応答せず、受診しなかった
2021年9月 死亡
 
 
【裁判でのやりとり】
弁護士:「病院について相談しましたか?」
父親:「病院に行ったとしてもまた暴れたらどうしようとか。紹介された病院も調べたが結論を出せなかった。死亡は予想できなかったが、かわいそうなことをしてしまい申し訳ないと思う」
 
 
こうした経緯をみてみると、最悪の事態を避けられるタイミングがあったのでは・・・と思います。
 
そこで、大変難しいですが、行政側がどのような公的支援を行ったらいいのかについて、考えていきたいと思います。
 
そもそも統合失調症とは・・・統合失調症 - Wikipedia
 
 
【専門家の指摘】
・自分が病気との認識ない人も多い
・受診に抵抗のケースが少なくない 
(→家族が病院に連れて行こうとしても抵抗される可能性もある)
・保健所の担当者等が自宅への訪問を申し入れても「本人を刺激する」という理由で家族が拒否してしまうケースもある
 
 
埼玉県所沢市。
精神疾患と疑われる方に、行政側から働きかけを行うという取り組みを行っています。
 
専門家チームが家庭訪問をし、診察・治療の必要性を説明し、医療機関を受診させるという『アウトリーチ型』支援です。
 
加えて、家族だけで抱え込まないように、「学校」・「民生委員」・「医療機関」などから24時間相談を受け付けているとのことです。
 
また、家族が訪問を拒否した場合も、電話や手紙で継続的にコンタクトをとって家族との関係を断ち切らないように努めているようです。
 
専門家コメント:「治療に繋げる段階の支援が日本は非常に貧弱で家族で何とかするしかない。家族が責任を負わされる形になっちゃうので、仕組みを変えることが一番大切だと思う」
 
 
私は市職員時代にケースワーカーの経験があり、似たような世帯を真に当たりにしている為か、胸が痛い事件です。
 
こうした事件をどのように防ぐのかは、真剣に考えなければなりません。所沢市のように「専門チーム」を組み、家族との関係を断ち切らないという「アウトリーチ型」支援の重要性を感じました。
 
松戸市には「福祉まるごと相談窓口」がありますが、
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『市民の声を待つ』ことから『アウトリーチ型』『プッシュ型』支援へ転換するタイミングではないでしょうか。今回は精神疾患を抱えた世帯でしたが、子育て世帯、高齢者世帯、悩みを抱えた世帯に対し、これからは「アウトリーチ型」の支援体制を構築することが重要だと思います。
 
行政には、今その転換期であるということを訴えたいと思います。
 
 
【参考HP】
 
 

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松戸市議会議員 大塚けんじ

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