支援“してあげる”のではなく、協力し合う。そのためには相互理解が大切。


12月17日、灌漑プロジェクトが行われている地域で住民と関係者との相互理解を促進するため、文化交流イベントを行ってきました。


※アタリ地域について詳しくはこちら↓↓↓


  どんなことしたの?

文化交流のためのイベントということで、


①現地の方々に日本を知ってもらうこと

②一緒に活動して仲を深めること


の二つを目的に、3つのパートからなるイベントを実施しました。


 ステージパート

ステージパートでは、日本文化を紹介する〇☓クイズを行いました。


問題の答えを考えてもらいながら、柔道や空手、けんだま、わなげなどの実演をしました。


参加者が多すぎて〇☓クイズ(正解だと思う方へ移動する)としてあまり機能しなかった気もしましたが、実演には多くの歓声が上がっていたので、文化紹介としては成功だったのかなと思います。


 ウガンダの文化紹介~割礼~

ウガンダ人のステージではcircumciseの儀式を見せてくれました。


circumciseとは“割礼”のこと。子供の性器に手を加えることで、男らしさや女性の貞操を示すのだそうです。


ウガンダでは、特に東部の地域にこの儀式が残っているとのこと。


性器に手を加えると言っても、麻酔や清潔な手術室、清潔な道具を使って行うわけではありません。


屋外で、しかも錆びた鉈のようなものを使って行われます。血も飛び散るし、激しい(なんて言葉では言い表せないであろう)痛みも伴うでしょう。


そのため本物の儀式では、1日中(前夜からという話も)地域を練り歩いて体を疲労させ、憔悴しきったところで切断を行うそうです。


男性の割礼はHIV等の病気の感染率を下げるという説もあり、国は男性の割礼を推奨しているという話も聞きました。


反面女性に対する割礼(FGM)に対しては、2012年の国連総会で人権侵害として女性器切除を禁止する決議が採択されています(ウガンダでは女性に対する割礼はそれほど多くは行われていないようです)。


伝統として当然のように行われているこの儀式ですが、同じ伝統を持たない日本人には異様な光景。こういった伝統でも、“伝統を守る”ことは大切なのでしょうか?どう思いますか?


 ブースパート

ステージパート終了後は、協力隊メンバーで3つのブースを出して、日本文化を体験してもらいました。


体力測定輪投げ着付けの3ブースで、僕は着付けを担当しました。現地の人たちに浴衣や法被などを着てもらい、記念写真を撮影します。



といっても、僕は着付けなんてできません。役割は呼び込みと列の整理。


ウガンダ人は日本人以上に周りに合わせる傾向が強いので、一人目を呼びこむまではなかなか人が来ませんでした。


でも一人目が来るとその人に続いて人が殺到。しかもウガンダ人には、日本人のように列を作って静かに待つという習慣がありません。


そのため人数が増えると「我先に」と押し合いへし合いに。東京の満員電車さながらのカオスになってしまいました。


楽しいイベントで怒鳴るのも…とは思いましたが、このままでは喧嘩やドミノ倒しでけが人が出てしまいそう。


仕方なく“先生モード”で子どもたちを睨みつけながら「列を作れ!」と怒鳴ってしまいました…ブースに来てくれた子ども達よ、ごめんね🙏


ブース自体の評判は上々で、多くの方が浴衣や法被を着て写真撮影を楽しんでくれました。



 運動会パート

イベントの最後は運動会パート。ウガンダ人と、近くに農場を持つパキスタン人、そして日本人が1つのチームになって競技を楽しみました。


競技はミノムシ競争(袋の中に入って、ジャンプしながら進むやつ)と、マスリタ↓↓↓

でも行った台風の目



競技自体は単純なのですが、まず並んでもらうのが一苦労。日本の運動会を思い出すと、教え子たちがどれだけスムーズに動いてくれていたのかを実感します…


ただ僕のいた紫グループは協力的な人が多かったようで、一度理解すると比較的スムーズに並んでくれて、チームワークよく戦ってくれました。


結果は…


優勝!チームメイトだったウガンダ人やパキスタン人の方々と喜び合って仲良くなることもできて、「一緒に活動して仲を深める」という目的を達成できたと思います。



  連携の難しさ

このイベントは”アタリ灌漑プロジェクト”という、青年海外協力隊とは別のJICAチームが主催しました。僕たち協力隊は、プロジェクト側から依頼を受けて協力するという立場での参加。


だったのですが、プロジェクト側JICA事務所側、そして僕たち協力隊では、考えていることや見えているものが違います。そのため、連携を図るのにとても苦労しました。


今後の活動に活かすためにも、苦労したポイントをここに書き残しておきたいと思います。


※バッシングしたいわけではありません。今後の改善を目的とした反省です。


 ①目的は何?

イベントの企画が始まった当初、実施主体のJICAプロジェクト側から「楽しいイベントを」といった言葉を聞きました。


でもこれだけではイベントの目的としては不十分。 “何のため”に「楽しいイベント」を行うのかが明示されて初めて、その目的を達成するための「楽しいイベント」の内容を考えられます。


個人的には最初に書いた①②が目的だと理解しましたが、実施主体から明確な目的を示してほしかったな、と感じました。


 ②事務所とプロジェクト

企画をつくる際、プロジェクト側からOKが出た後、事務所側からNGがでるということがありました。


プロジェクト側がイベント実施を企画し、事務所が確認した段階で、どのような内容の企画ならOK/NGなのか、基準を明確にしておいてほしかったと思いました。


 ③リーダーの負担

②に書いたことで一番苦労していたのは、全体のリーダーとなってくれていた隊員でした。


ただこの隊員は、リーダーに立候補したわけでも、何らかの手続きを経て選出されたわけでもありません。


たまたま専門家と連絡が取りやすい立場にいたことで、最後まで大きな責任を負うことになってしまっていて、負担が大きすぎたのではないかと感じました。


事前にきちんとした手続きを踏んで、リーダーを選出する必要があったのではないかと思います。


 ④“知りたい”より“見てほしい”

前日準備の際に運動会パートの練習をしたところ、終了後にウガンダ人から「自分たちの競技も紹介したい」との声が上がりました。


また当日は、運動会パートが始まる直前に多くのウガンダ人がステージに乱入し、割礼の儀式本番を始めてしまいました。


今回のイベントは文化”交流”と言いつつ、日本の文化紹介という面が強く、ウガンダ人の“自分たちの文化を見てほしい、知ってほしい”という気持ちに応えるものにはなっていなかったかもしれません。


確かに学校でも、教えたりアドバイスしたりする“ティーチング”と話を聞いて受けとめてあげる“カウンセリング”の両方が必要です。


つい伝えることに重点を置いてしまいがちですが、文化交流・相互理解のためには、カウンセリング的な姿勢も重要かもしれません。


  まとめ

色々と書いてきたものの、他の隊員と協力してイベントを作り上げていく過程も、文化の違いを感じつつ交流ができた当日も、とても楽しい思い出になりました。


自分が生徒だったころの文化祭のような気持ちでした。遠い昔の話ですが… 


そして何より、このイベントがなければアタリをはじめとする東部地域に来ることはなかったと思います。


楽しい思い出や貴重な学びの経験を与えてくれたJICAプロジェクトチームの皆さんや、リーダー役を引き受けてみんなをまとめてくれた隊員に感謝です。
 

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