保護施設で過ごしているストリートチルドレンだった子ども達が、少しでも今の生活を楽しいと思ってくれるように。この施設が子どもたちにとっての「居場所」となるように。


そんな思いを込めて、12月1日に「Masulita Ibasho Project~Walk together holding a hand of each other~」を実施しました。


今回の記事では、このイベントについてまとめたいと思います。

※マスリタの施設や子どもたちについて、詳しくはこちら↓↓↓

  リーダーの想い

この施設はUWESOが運営しています。UWESOに配属されている同期隊員がリーダーとなり、今回のイベントを企画してくれました。僕は企画メンバーの一人として参加させてもらいました。

リーダーとなってくれた同期隊員が「子どもたちの生活をよりよくしたい」「イベントを成功させたい」と、とても熱い想いをもって引っ張ってくれたので、企画もイベント本番も、とても楽しく、意義深いものになりました。

イベント後のミーティングでリーダーは「みんなのおかげで」と繰り返し伝えてくれました。でも企画メンバーや他の隊員たちが「協力したい」と思ったのはリーダーの想いがあったから。みんながスムーズに動いてそれぞれの力を発揮できたのは、リーダーが場を整えてくれたから

企画メンバーはずいぶん前から週1回のオンラインミーティングを行ってきましたが、これだって想いのないリーダーだったら「みんなにめんどくさいと思われていたら嫌だな」と、なくしてしまっていたかもしれません。


ミーティングの内容も毎回きちんと精査して事前に伝えてくれていなかったら、出てくる案もグダグダなものばかりだったかもしれません。

リーダーの想いがどれだけ大切か。このことが本当によくわかるイベントでした。今回のイベントの成功は、絶対にリーダーのおかげです。リーダー、ありがとう


  “Ibasho”に込められた想い

このイベントは「Masulita Ibasho Project」と名付けられました。これは企画メンバーで話し合って決定した名前ですが、次のような意味が込められています。



Ibasho(居場所)とは「安心して自分らしく暮らせる場所」のことを指しています。MCV(Masulita Children’s Village)が子どもたちにとってかけがえのない“居場所”になるように、このプロジェクトがその一翼を担えるように、この名前を付けました。このプロジェクトやMCVに関わる全ての人が、子ども達の自立に向けて手を取り合い、共に歩んでいく。その先には、子ども達が自分の力で、自分にとって最良の“居場所”をつくりだし、外の世界へ力強く羽ばたいていける、そんな未来が待っているのではないでしょうか。



以前の記事に書いたように、子ども達が保護されてからこれまで、施設から逃げ出してしまう子どもたちもいました。


このイベントを通して施設が「安心して自分らしく暮らせる場所」になったらいい。逃げ出してしまうような場所じゃなくて、子ども達が「ここにいたい」と思える場所にしていきたい。そんな想いがこめられていました。

日本の学校で行われる運動会や合唱祭も、仲間と協力することを通して、生徒たちにクラスや学年、学校を「居場所」と感じてもらうためのイベントです。決して勝ち負けを争って優劣をつけるためのイベントではありません(少なくとも僕はそう思っています)。

学校行事と同じで、1回のイベントですべての子どもたちを、100%変えることはできないでしょう。今回施設を「居場所」と感じられたとしても、時間が経つにつれて元の気持ち(ストリートに戻った方がいい)に戻ってしまうかもしれません。

でもこの1回が“変わるきっかけ”になったのは確かだと思います。今は「楽しかった」という小さな満足感しかなくても、これからの働きかけ次第でそれが「安心感」になり、施設を「居場所」と思えるようになっていく。


今回のイベントが子どもたちに与えた小さな満足感が、「楽しかった」という気持ちが、彼らの未来につながることを願ってやみません。


  当日の内容

当日はウガンダの協力隊員のほぼ全員が参加し、4つのブースを設けて子どもたちとアクティビティを楽しみました。


企画メンバーは各ブースの運営に、他の隊員は子どもたちのグループについて引率にあたりました。ブースの運営は大変でしたが、アクティビティ中も移動中も、隊員たちと子どもたちが笑顔で関わり合う様子が見られてとても素敵な時間でした!


 図画ブース

僕はこのブースを担当しました。学級目標づくりみたいに、絵の具を手に付けて布に手形を押し、全員で1つの大きな虹をつくりました。


汚れてしまった部分や絵の具が足りなくて薄くなってしまった部分もありますが、大切なのは「全員で1つの物を作った」ということ。


この絵を見るたび「自分はあそこに押したな」「みんなと一緒につくって楽しかったな」と思い出すことで、施設を「居場所」と感じられるようになっていくのではないでしょうか。


また練習として紙に押した手形には名前を書き、ラミネートして子どもたちにプレゼントします。


「自分の物」を持っていない子どもたちにとって、自分の名前の入った「自分の物」が手に入るのはとても大切な経験。


たかが手形、たかが紙1枚だけど、「自分の物を大切にしよう」とか「相手の大切なものだから奪ったり傷つけたりしないようにしよう」とか、そんな気持ちを高めることにつながるといいと思います。



 スポーツブース

日本の運動会でもおなじみ、台風の目を行いました。四人一組で棒をもって走る競技。友達と協力することの楽しさを感じてほしい。


それと同時に自分が楽しむだけじゃなく、順番を待って他の子の楽しみを邪魔しないようにしたり、他の子の応援をしたりして、みんなで楽しむことの大切さを知ってほしい。


そんな思いでこの競技が選ばれました。並んで待つことには慣れていないし、グループを作って一緒に棒を持つということも難しかったようですが、みんな楽しく競技に参加できたようです。


 英語ブース

以前の記事に書いたように、子ども達は英語がほとんど話せません。今回のイベントで、楽しく英語の勉強に触れてもらいたいという思いで企画したのが英語ブース。


日本で英語の先生をしていたメンバーが中心となり、絵本の読み聞かせフォニックスなど、楽しく英語を学べる活動を採り入れていました。


今回だけで英語が喋れるようになるわけではありませんが、「あの活動楽しかった!またやりたい!」という気持ちにつながり、自然に英語の学習に気持ちが向いてくれればいいな、と思います。


 クラフトブース

ものづくりを行うブース。今回は子どもたちが寝起きしているドミトリーに飾るクリスマス飾りなどを作りました。


クラフトの技術はお土産物づくりなどにつながり、将来の収入源になります。実際布の切れ端を使ってデザインされたポストカードや雑誌の切れ端を使って作ったビーズのブレスレット、バナナの葉っぱなどを使って作ったカゴなどがお土産品として人気です。


楽しくモノを作ってドミトリーに飾る。それと同時に将来の収入向上にもつなげたい。そんな思いで企画されたブースでした。


  大成功!、そしてここから

当日は予定していた時間に車が来なかったりと色々なトラブルがありながらも、大成功と言っていい1日でした。


子どもと関わることに慣れていない隊員もいるはずなのに、みんな笑顔で子どもたちに声をかけ、小さな子たちと手をつないで、ブースを回ってくれていました。


また大きな子どもたちが小さな子どもたちの面倒を見るシーンもたくさん見かけました。疲れた子を抱っこしてあげたり、日本人が英語でしゃべったことを現地語に訳して伝えてくれたり。こうした自発的な協力には感動させられました。


そして何より、子ども達が本当に楽しそうにしてくれていました。こんなに大勢で、こんなにたくさんのアクティビティをする事なんて、今までなかったのだと思います。


子どもたちのキラキラした笑顔がたくさん見られて、手を取り合って協力する姿も見られて、本当に素敵な時間になりました。


ただ最初にも書いた通り、1回きりのイベントですべての子どもを100%変えることはできません。


子ども達が施設に安心を感じられるようになるには、施設を「居場所」と思えるようにするためには、ここからが勝負です。


このイベントをきっかけにして、少しずつ子どもたちの心を開いていく。今回の「楽しかった」が「安心」につながって、その「安心」が子どもたちの成長につながっていく。


この施設が今後、そんな風に進んでいってくれたら嬉しいです。
 

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