変わったもの | 「ここに居るよ」いきなりAIDSを発症したゲイのHIVブログ

「ここに居るよ」いきなりAIDSを発症したゲイのHIVブログ

2010年の秋に「いきなりAIDS」を経験したHIV陽性者として生きるゲイのブログです。


現在はHIV陽性者のコミュニティースペースのスタッフをはじめ、予防啓発、検査会等に携わっています。

こんばんは。



今朝、職場に向かう地下鉄の駅で、見覚えのある顔とすれ違いました。



それは、俺がまだ30代の頃に勤めていた焼肉屋に、ほんの数日バイトに来ていた男の子でした。






「男の子」と言うのは、もう正解ではないと思います。



今朝の彼は、スーツ姿で、何処から見ても、若手のサラリーマンでした。


恐らくもう20代中盤になるでしょう。







俺の知っている彼は、バイト中に指を切り、その血を見ただけで、失神してしまうような「男の子」だったのです。



「立派になったなぁ。」


何となく、親にでもなった気分になりました。








あれから何年経ったのでしょう?



俺はもう焼肉屋の店長ではなく、非常勤の事務職員。



彼は恐らく無事大学を卒業して、就寝した事だろうと思います。








あの頃、俺はHIV陽性ではなかったはず。



最後に血液検査をしたのは、ちょうどその頃。








「何故こうなった?」







後悔しているって事ではなく、何の意味があって、今こうしているのかを知りたい。



この週末は東京に行きます。



昨年11月の日本AIDS学会に参加した感想をスピーチする為です。








過去は変えられない。



そんな話しではなく、様々な過去の経験があって、今ここに居られる事に感謝したい。



じゃなきゃ、きっと、こんなに強く居られる訳がない。








そんな事を考えている内、地下鉄は目的の駅に滑り込んで行きました。



少年はいつか大人になり、大人はいつか、自分が思っていたよりも大人にはなっていない事に気が付くんだろうね。



人生いつまでも修行なんだろうね。



それを受け入れて、楽しめたら良いと思っています。







変わったもの。



変わらないもの。



それは一体なんなんだろうね。




おしまい♪