シンガポールの病院視察について | 大泉学園複合施設オフィシャルブログ

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大泉学園複合施設は、練馬区の地域包括ケアモデルの中核を担うことを目指した病院・施設です。

シンガポールでは、国際会議の合間をぬって、2つの大病院を視察しました。 

 

一つはTan Tock Seng Hospital という大病院です。こちらではリハビリテーション病棟、緩和ケア病棟、認知症病棟、ホスピスを見学させて頂きました。それぞれの教授が丁寧にシンガポールの医療を説明して頂きました。

 

 

リハビリテーション医療の実践には、十分量のコンベンショナル治療と最先端テクノロジー治療とが必要です。シンガポールでは医師数は日本と同じ比率ですが、療法士(PTとOTとST)数は日本の10分の1の比率のため、日本のような療法士が十分に時間をかける洗練されたコンベンショナル訓練は困難です。そのため、テクノロジーに特化したロボット、AI、マシンで訓練を行うCART(Center of Advanced Rehabilitation Therapeutics)が主流でした。Loh Yong Joo教授と話しこみましたが、重症者に必要なリハビリテーション治療に対して、療法士による十分量のコンベンショナル治療ができないのがシンガポールの問題だと言われました。一方で、バスやタクシーの訓練のために、本物のバスやタクシーが院内に置かれていたことに驚きました。また、快適なルーフガーデン散歩も素敵でした。私達もマシン、AIやロボットなど最先端テクノロジー治療は積極的に活用して、効果を発信していきたいと思いました。早速、審査を担当したBCI療法の導入を検討します。 

 

二つ目はChangi General Hospitalです。St. Andrew's Community Hospitalと院内でつながる大病院でした。老年医療の大家Christopher Lien Tsung Chien博士の案内と説明のもと、リハビリテーション病棟、認知症病棟、緩和ケア病棟、外来デイケアセンターを視察させて頂きました。大部屋が主体で一部屋に10床ほどあり、基本は臥床時間が長く、リハ時間は90分程度。病院構造は昭和の日本の大病院のスタイルでした。その後に、会議室で各責任者の医師と各職種の責任者が集まり、両国の高齢者医療とリハビリテーション医療の総合討論を行いました。シンガポール医療は、効率的にテクノロジーを優先して、マンパワー不足を補い進化していくスタイルが印象的でした。病院視察の後に、シンガポールのコミュニティを訪問して、高齢者の暮らしと在宅ケアも視察させて頂きました。普通のマンションの値段が軽く億を超える現状に、不動産は日本の地方都市の3倍以上の物価と感じました。 

 

日本を尊敬して大切に対応して頂けたシンガポールの皆さんに心より感謝します。                        文責 院長・老健管理者 酒向正春