認知症の食支援 | 大泉学園複合施設オフィシャルブログ

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大泉学園複合施設は、練馬区の地域包括ケアモデルの中核を担うことを目指した病院・施設です。

こんにちは。

老健・摂食嚥下チームです。

 

先日『認知症の方の食支援』というテーマで、食事場面を見ながらグループディスカッションを中心とした勉強会を行いました。

 

アルツハイマー型認知症の食事場面での代表的な症状には、

 ・そわそわ、キョロキョロしてしまって集中できない

 ・食べ始められない

 ・食事に時間がかかる、途中で止まってしまう

 ・箸やスプーンの使い方がわからない

 ・まったく食べない

 ・食事中に目を閉じてしまう、起きていられない

 ・初期では誤嚥(誤って食べ物や飲み物が気管に入ってしまうこと)は起こりにくい

などがあります。

 

〇食べることに集中できる環境を整えよう

 ・「○○さんのお食事ですよ」「一緒に食べましょう」などの声掛けをする

 ・食事に集中できるように、テーブルの上を片づけ、テレビなどは消す

 ・箸やスプーンを持たせるなどの食べ始めの動作を一緒にやってみる

 ・途中で止まったら、食事開始と同じような誘導をしてみる

 ・迷わないように食具や食器の数を少なくしてみる

 

〇五感(視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚)を刺激し、食べる力を引き出そう

 ・温かいまたは冷たい器を持つ

 ・食器から食物をすくう所を見る

 ・においを嗅いでみる

 

〇生活する中で身についている動作である『手続き記憶』を利用した誘導が効果的です

 ・スプーンを持って掬う動作を一緒に行う

 ・目を開けて食べることを認識するまで口に運ぶ動作を繰り返す

 ・協力動作が乏しくなり口が開かなくなったら無理せず終了

 

 

認知症の方の食支援において、全員に当てはまるものはありません。ご本人の能力を引き出すようなお手伝いをすることが大切です。

 

☆参考・引用資料:野原幹司著『認知症患者さんの病態別食支援』(メディカ出版)

 

【勉強会の感想】

〇なるべく食事を楽しく過ごして欲しい気持ちがあるので、覚醒を促したり、食事を見てもらったり、環境を整えながら摂取を促していきたいと思いました(看護師)

〇グループディスカッションをしたことで、自分の疑問と他の方の疑問を一緒に解決することができましたし、動画で他の方のやり方を見られたので沢山学ぶことができました(ケアワーカー)

〇知識や技術も大事ですが、形式的なアプローチではなくその人に寄り添った食事介助をまずは意識する、という意見に賛成します(ケアワーカー)

〇覚醒不良な方の食事介助での終わり方はいつも悩んでいたので勉強になりました(看護師)