誤嚥のメカニズムと当院での誤嚥予防のための取り組み | 大泉学園複合施設オフィシャルブログ

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大泉学園複合施設は、練馬区の地域包括ケアモデルの中核を担うことを目指した病院・施設です。

こんにちは!看護部です。

今回は、前回の続きで、誤嚥(ごえん)のお話をしていきます。

前回の記事はこちら

 

 

 

誤嚥は、自力で咳ができない乳児や、嚥下反射の機能が弱っている方に起こりやすくなります。

例えば、「飲み物を飲んでいるときにむせた」というのは誤嚥になります。

なお、嚥下反射の機能が弱っている方というのは、高齢者、脳卒中の患者さん、パーキンソン病の患者さんなどがあげられます。

誤嚥すると、一般的には咳き込んだり(むせる)声がガラガラになったりといった症状が見られます。

が、重度の嚥下障害がある場合や、非常に高齢の方の場合は、誤嚥しても何の症状も現れない場合もあります不顕性誤嚥といいます)

咳き込むことで、誤嚥したものを喀出できた場合は大事に至ることは少ないですが、誤嚥したままになってしまうと、肺炎に至る場合があります。

 

誤飲の場合は手の届くところや見えるところに小さなものを置かないようにすることで、予防することができます。

ですが、誤嚥の場合は、絶食や胃ろう栄養にしても完全に防ぐことができません

なぜなら、口の中に作られる唾によっても誤嚥は発生するからです。

また、「誤嚥=むせる」のイメージもお持ちの方が多いかと思われますが、上述の通り、誤嚥してもむせない場合があります。

 

誤嚥した場合は肺炎(誤嚥性肺炎)によって、呼吸機能の低下、呼吸困難等の症状を来たすことがあります。

これは、口の中の常在菌が誤嚥したものと一緒に気管に入り、そこで繁殖してしまうからです。

よって、まずは気管内吸引で誤嚥したものをなるべく取り除き、肺炎に移行することを避けます。

もしも肺炎に移行してしまった場合は、多くの場合は絶飲食とし、抗菌薬と点滴で治療を試みます。

特に注意が必要なのは、誤嚥した方というのは多くの場合、誤嚥しやすい要因を抱えている場合が多いということです。

つまり、「誤嚥は繰り返しやすい」上に、「絶食の間は食事をしないのでさらに飲み込む能力が下がる」ので「さらに繰り返す」という負の連鎖に陥りやすいのです。

 

 

よって、当院では誤嚥を予防すること、万が一誤嚥しても大事に至らないようにすることを重視して治療を行っております。

それらの取り組みとして、「言語聴覚士によるリハビリテーション」、「医師、言語聴覚士、看護師、栄養士等による誤嚥しづらい食事形態の検討」、「口腔ケア(歯磨き、義歯洗浄)の徹底により口腔内を清潔に保つ」、「歯科衛生士、訪問歯科診療による口腔内の治療」、「食後すぐにベッドに臥床するのではなく、しばらく起きた状態で過ごしてもらう」、「看護師、療法士による食事介助」、「食事の時は誤嚥しづらい態勢を整える」などの取り組みを行っています

 

当施設での取り組みについては、以下の記事も併せてご覧ください。