おはようございます! 薬剤科です。
今回は「骨卒中」についてお話ししようと思います。
皆さんは「骨卒中」という言葉を聞いたことはありますか??
漢字1文字間違ってない……?
「骨」ではなくて「脳」の間違いでは……?
と思った方は今回のブログで知っていただければ幸いです。
「脳卒中」という言葉は多くの方が聞いたことがあると思います。
脳卒中とは脳の血管が詰まったり破れたりすることによって、脳が障害を受ける病気です。
では、骨卒中とは何でしょうか?
骨卒中は、「高齢者の骨折後(主に大腿骨近位部骨折や脊椎骨折)に死亡までの期間が短くなること」を表す造語です。
なぜ「骨卒中」という言葉が造り出されたのでしょうか?
この言葉は「脳卒中」という語句をヒントに生み出されました。
「脳卒中」と聞くと、どのようなイメージがあるでしょうか?
①大したこと無い病気……
②死の危険性のある病気……
いろいろなイメージがあると思いますが、多くの方が②に近いようなイメージを持っていると思います。
では「骨折」に対してはどんなイメージがありますか??
「骨が折れるくらい、大したことないんじゃない?別に死ぬわけじゃないし。」
「脳卒中に比べたらそんなに心配する必要ないでしょ。」
と感じている方も中にはいらっしゃるか思います。
けれども、骨折は死に関係することがあります。
骨折は決して甘くみてはいけない病気ということを知っていただくために生まれた造語 これが「骨卒中」です。
では、どうして骨折が死に関係してくるのでしょうか。
ここで2019年の日本の死因割合を見てみましょう。
厚生労働省 令和元年(2019)人口動態統計月報年計(概数)の概況より引用
この中で第5位に「肺炎」があると思います。
肺炎の中には骨折が関係していることがあります。
肺炎の中でも多くの割合を占めているのは誤嚥性肺炎といわれるものです。
誤嚥性肺炎は嚥下機能の低下によって、異物が肺に侵入してしまうことによって起こる炎症ですが、寝たきりの患者様に多く発生します。
では寝たきりになってしまう原因として何があるでしょうか。
ここで原因の一つとしてあるのが、「骨折」です。
骨折の中でも特に大きな問題になってくるのが大腿骨近位部骨折です。
(太ももの付け根の骨折)
骨折により痛みが続くと、寝返りが打てなくなります。そのような状態が続けば筋力が落ちてしまい、再び歩くのが困難になり寝たきりになってしまうケースがあります。
「骨粗鬆症」→「骨卒中」→「寝たきり」→「誤嚥性肺炎」→「死亡」
これが骨折が死に関係する一連の流れです。
内容は終盤にさしかかっていますが、先程の流れで新たな言葉を出させていただきました。
骨がもろくなって、骨折しやすくなる病気である「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」です。
「骨卒中」の原因となるのが「骨粗鬆症」になります。
したがって、「骨卒中」にならないようにするためには「骨粗鬆症」を予防または治療する必要があります。
今回は内容が長くなってしまうので、簡単な説明になりますが骨粗鬆症の予防には適度な運動、カルシウムを含んだ十分な栄養を摂ることや日光に当たることが重要です。
以前、骨に関する内容のブログも投稿していますので、もし良ければそちらもご参照ください。
当院では骨粗鬆症の検査を行っていますので、骨について不安がある方は是非当院を受診していただければ幸いです。
(受診される際には、あらかじめ電話していただきますようお願い致します。
石巻健育会病院 代表電話 0225-94-9195)
今回は「骨卒中」の題で内容を書かせていただきました。
皆様の周りの中でこの「骨卒中」という言葉を聞いたことがない方に是非教えてあげてください。
「骨卒中」という言葉が一人でも多くの人の耳に届くことを願い、今回のブログを終わりたいと思います。
それではまたお会いしましょう。see you again.