「教育の超・人類史」ジャック・アタリ著、林昌宏訳(大和書房)(その3完) | けんじいのイージー趣味三昧

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けんじいの3大趣味である山歩き、鉄道模型製作、オカリナ・ハーモニカ演奏を中心に好きなことを書くブログです。Yahooからの移行ですが、よろしくお願いします。

(前回からの続き)

 第7章はまとめの章だが、まずは教育の未来についていくつかのシナリオを提示している。悲劇的なシナリオと悲劇的でないシナリオが描かれているが、どちらにしても最近のAIが発展した先の社会について、多くの著書が述べているのと大差はない。

 

 またいくつかの提言をしているが、これについても、「6歳まではデジタル機器に触らせない」とか、「スポーツや芸術に触れる機会を増やせ」などよく言われることでびっくりするようなことは書かれていなかった。終始特権階級に対する怒りや女性と恵まれない人々に対する支援の必要性なども、リベラルな知識人が繰り返し述べていることなので新鮮味は感じられなかった。

 

 

 それよりもけんじいの目を引いたのは、結論として述べている過去の教訓のいくつかだ。それはけんじいがこのブログでもよく言っていることだったからだ。例えば、

 

(1)子供が両親とは違う道を歩もうとする時、社会は進歩する。

(2)批判的な思考を鍛える教育が普及すると様々な集団との交流が加速する。

(3)知識伝達の際、当局は社会的規範から外れた思想を必死になって取り締まってきた。しかし、教育者が知的な交流や物質的な交換、そして科学の進歩に役立つ知識を伝える手段や自由を持つ国が世界を制する。

などである。

 

 

 最後に「読者に向けた20の具体的提言」というのがあったので、このうち自分に言い聞かせるべきと思ったものを摘記する。

(1)ひたすら読書する

(2)学習意欲を養う。

(3)暗記する。

(4)楽器や演劇をじっくり練習することによって注意力を養う。

(5)常に疑問を抱く。

(6)学び続ける。

(7)仲間と共に学ぶ。些細なことであっても、学習グループを作り知識を共有する場を設ける。

(8)教えることが最大の学習法であることを実践を通じて理解する。

(9)ビデオゲームなどの受動的な活動の誘惑に負けないようスポーツ、会話、美術館巡り、読書などを促す。

 

 大部な書物にしては平凡な結論だった。(このシリーズ終わり)