日本の1人あたりGDPが韓国、台湾に抜かれると聞いて50年前を思い出した | けんじいのイージー趣味三昧

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 野口悠紀雄さんの本はいくつか読んだので、このタイトルの話は曖昧ながら知っていたのだが、彼のネット記事によると今年の4月に公表されたIMFの世界経済見通しで次のように記述されていると言う。

 

 「2024年における1人当たりGDPは、日本が33,138ドルであるのに対して、韓国が34,165ドル、台湾が34,432ドルとなり、日本を抜く。」

 

 

 さらに、「IMFの統計では、2024年における1人当たりGDPは、シンガポールが88,447ドルで、香港は88,446ドル、そして、アメリカは85,372ドルだ。つまり、シンガポールはすでにアメリカより豊かな国になっており、香港はほぼ同程度だ。」と恐ろしいまでの日本の置いてけぼりを紹介する。以下はほぼそのネット記事の要約、抜粋である。

 

 「時価総額で世界100社に入っているのは、日、韓、台各1社。だが、トヨタはガソリン車の製造会社で古いタイプの製造業であるのに対し、サムスン(韓国)とTSMC(台湾)は新しい時代の企業で将来性に富んでいる。

 

 

 なぜこんなことになったのか。1990年代末のアジア通貨危機で韓国はIMFの管理下に置かれ、IMF特別融資でかろうじて生き延びた。この時の経験で韓国人は大きく変わった。生産性を高めなければ世界の中で生き延びていけないことを思い知らされた。そして教育に力を入れた。

 

 今や韓国の留学生の数は絶対数で日本より多い(当然人口あたりで見ればさらに多い)。また世界の大学ランキングにおいて上位100位以内に入る大学が3校と日本の2校よりも多い(下)。ちなみにシンガポールが2校、香港が5校。1人当たりGDPの数字がアジアの中で飛び抜けた値になっているのは、これと密接に関係している。

 

 

 上述のことは安全保障の観点からも重要な意味を持つ。最も重要なのは、集団安全保障の枠組みの中で日本が守る価値を持つ国であることを、集団安全保障のパートナー(とくにアメリカ)に納得させることだ。防衛費を増やすよりも、このほうが安全保障上はるかに重要だ。TSMCの工場が台湾にあることが、台湾有事の抑止力になるという考えだ。」

 

 これを読んでけんじいは、2つのことを思った。1つは、シンガポール、香港の都市国家は別として、政権交代が適度にあり民主主義が機能している韓国、台湾がそれのない日本を政治面だけでなく経済面でも追い越すこと。もう1つは自分が50年も前に会社の調査部で書いたレポートのことである。

 

 

 けんじいは若い頃、アジア経済の調査部署にいた。そこで「韓国、台湾の重化学工業化計画について」というレポートを書いた。けんくんの思い入れもあって「先進国への道」というイメージで書いたのだが、それは行き過ぎだろうという上司の考えで「成熟への前進」という書き振りに改められた(上)。

 

 けんくんは張り切って月例会議で発表したのだが、それを聞いた調査部長はつまらなさそうに「へっ、夢みたいなこと言ってるわ」と切り捨てた。ガッカリしたけんくんに上司は、「部長は海外経済協力基金に出向した時、韓国のいわゆる「不実企業」に手こずったから仕方がないよ」と慰めてくれたが、全く相手にされなかったことが情けなかった。

 

 綾小路きみまろではないが「あれから50年、本当に見る目がない部長さんでしたね」と言いたいが、「私も人のことをどうこう言えるレベルではありません」。