日本語の教科書で知った「知里幸恵(ちりゆきえ)」さん | けんじいのイージー趣味三昧

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 曖昧にしか記憶していなかったのだが、日本の国会では2008年6月全会一致で「アイヌ民族は日本列島の先住民族であること求める」決議が採択された。「求める」って何?と思ったら、「認める」のは政府だから政府に「認めることを求めた」のだった。

 

 その後も日本政府は例によってしのごの言っていて、それに基づいた法律ができるのは2019年だが、昨日使った日本語の聴解の教科書は、冒頭とにかく国会がそう宣言したからとこの部分を導入部分として話していた。けんじいは全体として知らなかったことなので、ここで簡単に紹介しよう。

 

 

 多分国連決議に基づいているのだろうと思うが、「先住民族である」と認めることは単に以前からその土地に住んでいた民族という意味ではなく、「近代化の中で支配的集団により、土地や固有の言葉、文化などを否定され、奪われた民族」という意味だそうだ。

 

 導入の部分で学生に聞くと、「アイヌなんて全く知らない」、「聞いたこともない」という学生もかなりいた反面よく知っている学生も少しだけいた。

 

 

 教科書では、知里幸恵さん(上)という人物を紹介している。それによると、

・1903年北海道登別でアイヌの家庭の子として生まれ、おばあさんの歌うユーカラ(アイヌの伝統的な歌)を聞いて育った。

・学校では強制的に日本語を勉強させられて、アイヌ人は劣った民族であるという教育を受けた。当時アイヌは土地も仕事も取り上げられた。

・幸恵さん15歳の時、言語学者金田一京助(下、おお懐かしい名前だ)が幸恵さんの家にやってきて、おばあさんたちのユーカラを聞いた。その時金田一は幸恵さんの見事な日本語の作文に驚くとともに、ユーカラが世界に誇るべき文学であり是非文字にして残したいと伝えた。

・数年後幸恵さんは東京の金田一家に行き、4カ月でユーカラをローマ字で表しそれに日本語訳を完成、直後に心臓病で19年の生涯を閉じた。

 

 

 中国人学生は、アイヌは知らなくても「蝦夷」という漢字はすぐに書けた。けんじいが予習不足で書き方に迷っていると、代わりに黒板に書いてくれた。中国北方民族に対する感覚は多分ヤマトの日本人のアイヌに対する感覚と同じなのだろう。

 

 実はその共通する感覚から学生たちと議論をしたかったが、与えられたヒアリングの課題を済ませたら時間がなくなってしまった。残念。

 

 改めて2019年の法律を読んでみた。「アイヌの人々が民族としての誇りを持って生活することができ、及びその誇りが尊重される社会の実現を図り、もって全ての国民が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする。」とあり、第4条には「アイヌであることを理由として差別してはならない」と書いてある。

 

 

 国会議員である杉田水脈が「公金ちゅーちゅー」などとアイヌ支援事業を揶揄するなどもってのほか。それどころか「裏金アンケート」によれば、自らの政治資金収支報告書不記載額が衆議院議員で堂々のベストテン1564万円。こんな民族差別議員になんのお咎めもできない自民党は本当にまともな政党ではない。

 

 話が逸れたが、日本語教科書のおかげでこの知里幸恵さんという人のことを知った。