いつもは家に花を飾ることに「花粉が落ちる」などunwillingな反応を示す妻が正月を前にする時期だけは「花を買ってきてください」と言う。息子たちが来るので少しは家の中を明るく飾ろうということなのだろう。けんじいは言われるままに毎年末切り花のほか鉢植えを1つ選んで買ってくる。

 

 

 昨年末はシクラメンを買った。盛んに咲いていたのは赤い花だったが、慎み深いけんじいはどうもこれが好きになれず、小さくポチポチと咲いていた薄いピンクのを選んだ。見栄えは明らかに劣るがみんな3000円の棚に載っていたし、店の主人もけんじいに3000円と言った。

 

 ところが金を払う段になり、そこの奥さんが「あーそれは1000円ですよ」と訂正した。花付きの悪さからなんだそうだったのかと思ったが、少し得した気分になった。そして水やりなどのお世話をした。すると正月も過ぎ、2月も半ばになろうというこの時期になり、毎日大輪の花を次々と咲かせる。大器晩成というか、けんじいとしてはしてやったりの気分である。

 

 

 ついでにウイキペディアから転記すると、地中海地方が原産のサクラソウ科の球根植物。和名はカガリビバナ(または、ブタノマンジュウとも)。明治時代にさる貴婦人(九条武子とされる)が「まあ篝火みたい」と言ったので牧野富太郎が命名したそうだ。けんじいの拾い物は辺りを明るくする篝火というよりも見るたびに気持ちを明るくさせてくれるあどけない子供の笑顔のようである。