とうとう1月は山登りができなかった。咳も少し落ち着いてきたし熱も平熱に近づいてきたし、そろそろ試しに軽い山から再開しよう。そこで富士山が必ず見られ1時間そこそこで山頂に着く岩殿山を候補に挙げた。大月市の富嶽十二景の8番である。
ところが大月駅に降りてみると、去年の台風のせいか落石の危険とやらで登山禁止である。そこで同じ8番にお伊勢山があることを知っていたので、駅から上真木行きのバスに乗った。
10時半過ぎ、バスの終点から大神社の鳥居を潜って緩やかな登り道を行くと富士山が素晴らしい。山岳写真家の白籏史朗がこの場所を絶賛したというので、生きているうちから作られた彼の顕彰碑があった。
お伊勢山(550m)だけではウォーキングにもならないので、いったんバス道を郵便局まで戻り、11時半、道標の示すままに花咲山への山道に入る。破線ルートではあるが山頂まで1時間半ならなんとかなると思ったのだ。予想通り最初は歩きやすい道だ。
予想と違ったのは、富士山がフェンスの向こうではあるが常に寄り添ってくれること。ということは逆に言えば常に尾根道を行くわけなので、何度もピークを越えていく。厳しいというほどではないが、楽ではない。
かなり山頂に近づいたと思われるところに女幕岩という表示があった。鯨の背中のような大きな岩の上にいる(上の写真、途中出会ったハイカーはこの人を含めて二人だけ。富士山は後方に)。北側の山の眺めもなかなかいい。雁ヶ腹摺山あたりだろうか。
女幕岩からすぐに難路と迂回路という分かれ道に来た。山頂はもうすぐだろうといったん難路をとった。しかし胎内仏道という大岩の間は通り抜けたものの、その後の急降下道についているはずのロープが切れたままだ。もし滑り落ちるとかなりヤバそうなので戻ることにした。
ついでに先ほどの分かれ道のところで30分間昼食休憩とした。迂回路を下った後もなお少し下り、最後の登りを経て、13時半過ぎ花咲山山頂(768m)に着いた。ここには男幕岩の表示がある。山頂自体が大岩の上なのだろう。
小さな祠がポツンとあるだけの山頂だが、葉を落とした山は花も実もなくても、展望が開けて気持ちがよい。コーヒーで一休みしてから下山する。
急降下が多いが予想外に登り返しも多い。花咲峠を越え、サス平(でえら)山(610m)を越えようやく下り一方になった。しかし落ち葉が多くザレバも多いので、最後まで気が抜けない山だ。
(最初のお伊勢山からの見事な富士山をもう一度)
山頂から1時間半ほどで中央高速脇の道に出た。季節柄、花咲山の名前と違って花は見られなかったが、葉を落とした木々のおかげで期待以上の展望の山だった。さらに30分ほど歩いて大月駅到着。久しぶりの山歩きに身も心も満足した。
(大月市に下ってから草原にイノシシが走っているのを見た。左下の黒い奴です)