(前回記事の続き)
(おがさわら丸 @東京港航行)
おがさわら丸に乗船
東京港竹芝桟橋
小笠原海運の大型貨客船「おがさわら丸」、小笠原諸島父島行きに乗船
離島航路の中では日本最大の旅客船。
カーフェリーではないため船底まで客室を配置。
総トン数11,035トン、全長150 m、全幅20.4 m
タラップを上がり船内へ。
乗船
乗船口、4デッキ(4階)エントランス
小笠原航路の主要通過予定時刻
東海汽船最長航路の離島・八丈島さえ、小笠原航路では行程の3分の1に過ぎない。
エントランスには、東京から小笠原までの横長の巨大地図があり、レストラン、ラウンジ、売店などの営業時間が図示されている。
本航海中の日の入りは18時20分、日の出は4時55分。
乗客用のデッキは2デッキ(2階)から7デッキ(7階)まである。
エントランスのある4デッキ(4階)
東海汽船の大型貨客船「さるびあ丸」「橘丸」より格段に広い「おがさわら丸」の船内
エントランス階段には、ザトウクジラの尾ビレの大きなモニュメント
往路に利用する船室は、6デッキ(6階)の1等室(スタンダード)
窓の外にはデッキがある。
窓の外のデッキは、夜間を除いて乗客の往来がある。
1等室(スタンダード)は、定員2名(全39部屋)、
床面積8.8㎡、シングルサイズベッド2台(幅90cm、長さ200cm)、テレビ、アメニティ類(タオル小・スリッパ・歯ブラシ・ヘアーブラシ)、電気ポット、お茶が備わる。
室内にバス、トイレ、洗面台は無く、共用スペースのものを使用する。
1等室内(出入口側)
午前11時、東京港竹芝桟橋出港
4デッキ(4階エントランス)
間もなく出航時間
出帆5分前に乗組員が銅鑼(ドラ)を鳴らす。
6デッキ(6階)外部デッキへ。
出港合図の係員の笛が鳴ると、タラップを取り外す。
717名の乗客をのせ、
午前11時00分、東京都竹芝桟橋を出港
ゆっくり岸壁を離れる。
東京港竹芝桟橋を午前中に出港する大型客船は「おがさわら丸」のみ。
竹芝客船ターミナル屋上のボードウォークには見送りの人々の姿
岸壁の作業員も手を振る。
小笠原諸島・父島まで片道約1,000km、24時間の長い船旅の始まり。
東京と小笠原(父島)を結ぶ交通手段は、この「おがさわら丸」一隻のみ。航空便はない。
通常、「おがさわら丸」の一航海は、東京を出港し2日目に父島に入港。父島で3泊停泊した後、5日目に父島を出港し、6日目に東京に入港するスケジュール。このため1週間に約1便の運行。
したがって、通常、小笠原旅行は最低でも5泊6日必要になり、海外旅行よりハードルが高いといわれている。
しかし、年末年始、ゴールデンウィーク、夏季の繁忙期の「おがさわら丸」は、父島に到着したその日にすぐに東京へ向け出発するスケジュール(通称︰着発)が組まれる便があり、父島滞在時間僅か4時間半の弾丸旅行なら、最低2泊3日で旅することが可能になる。
小笠原諸島専門の旅行会社「ナショナルランド」でも、この2泊3日の弾丸・着発ツアーの旅行企画商品を販売している。
《ナショナルランドHP↓》
「おがさわら丸」は出航の汽笛を鳴らす。
往復48時間の船旅、父島滞在僅か4時間半の弾丸・小笠原諸島父島旅行へ。
岸壁では小笠原海運などの関係者が、「いってらっしゃい」と書かれた小笠原海運創立50周年記念に製作したマフラータオルを手に見送り。
大型の「おがさわら丸」は、港が狭い竹芝桟橋で向きを変えるのが難しいため、しばらく後進しながら桟橋を離れる。
船の両舷の外部デッキ通路。親会社の東海汽船の歴代貨客船と比較するとかなり広い。
竹芝桟橋の隣にある日の出桟橋が見えてくる。後ろには新交通システム「ゆりかもめ」東京臨海新交通臨海線の高架軌条も見える。
ビルの合間から東京タワーが見え隠れ。
日の出桟橋には、東京湾周遊レストラン船や、臨海部方面や隅田川浅草方面とを結ぶ水上バスが発着。
シーライン東京のレストラン船「シンフォニー クラシカ」
シーライン東京のレストラン船「シンフォニー モデルナ」
後進しながら竹芝桟橋を離れた「おがさわら丸」は、港内が広くなる日の出桟橋辺りで180度回転し向きを変え、前進を始める。
1等船室前に位置する右舷、左舷の外部デッキは、閑散期や夜間は閉鎖される。
6デッキ(6階)外部デッキの後部
船尾には貨物を積み降ろしするクレーンを装備
最上階8デッキ(8階)へ。
最上階の外部デッキには小笠原へ向かう大勢の乗船客が、去りゆく都会の風景を眺めている。
芝浦桟橋辺りで、東京港連絡橋「レインボーブリッジ」が近づいてくる。
レインボーブリッジを通過
レインボーブリッジは、高速道路、一般道路、歩道、新交通システムゆりかもめの併用橋
「おがさわら丸」は、東京から父島までノンストップ。
年に数回、南房総・館山、伊豆大島、八丈島などに臨時寄港することがある。
8デッキ(8階)前方に操舵室
8デッキ(8階)左舷には、救助艇
穏やかな東京湾を航行
高くそびえ立つ煙突
東京港を後に、亜熱帯の世界自然遺産の地・小笠原諸島父島に向かう。
航跡
船尾にたくさんのコンテナが積まれている。
大井コンテナ埠頭を通過(後方展望)
7デッキ(7階)後部
大井コンテナ埠頭は、世界とを結ぶ大型コンテナ船が発着する日本の貿易の一大拠点
東京都心が後ろに遠ざかる。
船尾にマストが立つ。コンテナを吊り上げるクレーンの支柱を兼ねる。
長い航海の序章。
7デッキ(7階)外部デッキには、それぞれのスタイルで寛ぐ乗客たち。小型テントを張っているグループも。
どんより曇った東京湾
東京国際空港(羽田空港)沖を通過
右舷側に広大な羽田空港
旅客機2機が同時に離陸
着陸態勢の旅客機
東京湾横断道路「アクアライン」の海底トンネルの換気塔「風の塔」。
かつて東京湾横断道路が出来る前は、川崎浮島港(神奈川県)と木更津港(千葉県)を結ぶ日本カーフェリー(その後、シーコムフェリー ⇒ マリンエキスプレスに社名変更)の航路があった。
7デッキ(7階)
6デッキ(6階)、7デッキ(7階)の両舷には細長い外部デッキを備える。
特1等室エリアの外部デッキは出港1時間後に閉鎖される。
7デッキ(7階)右舷外部デッキの最前部
波をかき分けて進む。
東京湾をゆっくり航行
速度制限がある東京湾を抜けるまで約2時間かかる。
羽田空港に発着する旅客機
東京湾横断道路アクアラインの海底トンネル換気塔「風の塔」。この真下に海底トンネルがある。
右舷には京浜工業地帯を望む。
横浜みなとみらい地区のランドマークタワーなどを遠望
6デッキ(6階)
6デッキ(6階)中央部にあり船内売店「ショップ ドルフィン」
7デッキ(7階)天井のアート
東京湾を出ると携帯電話の電波が届かなくなる。
伊豆大島、三宅島、八丈島近くを通るときだけ微弱な電波が入るが、基本、小笠原父島到着まで携帯電話は一切使えない。Wi-Fiも繋がらない。(Wi-Fiは将来的に繋がるよう技術的に検討中とのこと)